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防災 最新(2026.07.27)震源被害想定 震度7以上 東京都新宿区西新宿の東京都庁を震源とする震度7以上の大地震発生時の被害想定

西新宿・東京都庁直下で震度7以上となる大地震の想定レポート

1. 前提と結論

まず重要なのは、「東京都庁を震源とする地震」は、政府・東京都が公表している正式な想定地震名ではない点です。実際の被害は、地下のどの断層面が動くか、地震の規模、破壊の進行方向、発生時刻、季節、風速、建物の耐震性能などで大きく変わります。

本レポートでは、次のような最悪級だが現実に起こり得る首都直下地震シナリオを仮定します。

  • 震源域:東京都新宿区西新宿、東京都庁付近の地下
  • 地震規模:マグニチュード7.0〜7.4程度
  • 深さ:地下20〜30km程度
  • 発生時刻:平日冬季の夕方から夜、強風の可能性がある時間帯
  • 最大震度:新宿区・中野区・渋谷区・豊島区・文京区・千代田区・港区・世田谷区などで震度7または震度6強
  • 影響地域:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県を中心に、全国の経済・行政・物流・金融へ波及
  • 二次災害:火災、建物倒壊、エレベーター閉じ込め、停電、断水、通信障害、鉄道停止、帰宅困難者の滞留、医療逼迫、サイバー・金融・サプライチェーン障害

結論として、西新宿直下で都庁周辺が震度7となる規模の地震が起きれば、新宿副都心の高層ビル群が一斉倒壊する可能性は高くない一方、都市機能が長期間麻痺する危険は非常に高いと考えられます。

高層建築の多くは新耐震基準以降に建設され、耐震・制震・免震対策を備えるものもあります。しかし、建物が倒れなくても、次のような問題が同時発生します。

  • エレベーター停止による数万人規模の閉じ込め・高層階孤立
  • 長周期地震動による高層ビル内の家具・設備・天井・ガラス等の損傷
  • 停電、断水、排水不能、通信障害によるオフィス・住宅・ホテル機能の停止
  • 新宿駅周辺に集中する通勤者、買い物客、観光客、宿泊者の滞留
  • 木造住宅密集地域を中心とする大規模火災
  • 鉄道停止と道路渋滞による救助・医療・物流の遅延
  • 都庁を含む行政中枢の業務継続能力の低下
  • 金融、情報通信、企業本社、海外取引への連鎖的影響

政府が2025年12月に公表した都心南部直下地震・マグニチュード7.3の想定では、死者約1万8,000人、全壊・焼失建物約40万棟、避難者約480万人が見込まれています。被災地の経済被害は約45兆円、全国の経済活動への影響は約38兆円とされています。<<1>>

西新宿直下という設定は、都心南部直下地震とは震源位置が異なるため、これらの数値をそのまま当てはめることはできません。ただし、新宿・渋谷・池袋・東京駅周辺などの巨大な業務・交通集積地により強い揺れが及ぶ場合、人的・経済的被害は首都直下地震の最大級想定に近い規模へ達し得ると考えるべきです。

2. 想定する地震の性質

地震動の特徴

東京都庁付近は、新宿区西新宿の高層ビル群に位置します。地下浅部または中程度の深さでマグニチュード7級の地震が発生した場合、震源に近い地域では、短時間に非常に強い揺れが到達します。

地震発生から数秒〜十数秒で、新宿区周辺では立っていられないほどの揺れとなり得ます。震度7では、耐震性が低い木造住宅や古い建物の倒壊、ブロック塀の崩壊、家具の転倒、道路の損傷などが広範囲で発生します。

特に問題となるのは、次の2種類の揺れです。

  • 強い短周期地震動
    比較的低層の建物、木造住宅、古い中低層ビル、室内家具、ブロック塀、電柱などに大きな影響を与えます。
  • 長周期地震動
    ゆっくり大きく揺れる性質を持ち、高層ビルの上層階を長時間揺らします。新宿の超高層ビル群では、低層階よりも高層階のほうが大きく長く揺れる場合があります。

東京都庁舎は超高層建築であり、耐震設計上、直ちに倒壊することを前提とした建物ではありません。しかし、「建物が倒れない」ことと「建物を使い続けられる」ことは別です。エレベーター、給排水設備、非常用発電機、空調、受変電設備、通信設備、天井、間仕切り、窓ガラスなどに被害が出れば、庁舎としての機能は大幅に制限されます。

新宿副都心の特殊性

西新宿は、住宅街ではなく、超高層オフィス、ホテル、商業施設、行政施設、病院、地下街、鉄道駅、バスターミナルが集中する巨大な都市業務地区です。

ここで地震が起きた場合、主な危険は「建物倒壊」だけではありません。

  • 地下通路・地下駐車場・地下設備空間への浸水や停電
  • 駅前・地下街・商業施設での群集事故
  • 高層階から地上へ避難する際の長時間の階段移動
  • 高齢者、障害者、乳幼児、観光客、外国人旅行者などの避難困難
  • ホテル宿泊者の一時滞在、帰国困難者の発生
  • オフィスワーカーが自宅に帰れず、職場や駅周辺に滞留する事態
  • 大量の救急要請に対して消防・救急車両が到達できない事態

新宿駅は世界有数の乗降客数を抱える巨大ターミナルです。鉄道が一斉停止した場合、駅構内、駅前広場、地下道、商業施設、甲州街道、青梅街道、靖国通りなどに人が集中し、群集滞留が発生する可能性があります。

3. 発災直後から72時間までの推移

発災直後:0〜10分

地震発生直後、新宿区西新宿周辺では激しい横揺れと縦揺れが発生します。高層階では揺れが長く続き、机、椅子、書棚、複合機、サーバーラック、什器、照明、天井材などが移動・転倒する可能性があります。

都庁、オフィスビル、ホテル、病院、商業施設では、エレベーターが緊急停止します。多数のエレベーターに人が閉じ込められ、救出には長時間を要することがあります。

鉄道各社は自動的に運転を停止し、新宿駅、都営地下鉄、東京メトロ、JR、私鉄各線で列車が駅間に停車します。運転再開には線路、架線、信号、橋梁、トンネル、駅設備の点検が必要であり、短時間での全面復旧は期待できません。

携帯電話は、発災直後に大量の発信が集中することでつながりにくくなります。音声通話は規制されやすく、データ通信も遅延・混雑します。家族の安否確認、従業員の連絡、救急要請、企業の初動対応に大きな支障が出ます。

発災後:10分〜6時間

揺れが収まった後、火災、落下物、建物損傷、道路障害、救急要請が急増します。

西新宿の超高層ビル群では、建物内部にとどまる「在館避難」が基本となる場合があります。高層階から一斉に階段で避難すると、階段内で転倒・将棋倒し・滞留が起き、かえって危険になるためです。

一方、耐震性が低い建物、損傷が確認された建物、火災のおそれがある建物では避難が必要になります。ここで問題となるのが、新宿駅周辺・歌舞伎町・大久保・中野・杉並・豊島区方面などを含む周辺地域からの避難者流入です。

冬季の夕方・夜に発生した場合、暖房停止、停電、照明喪失、低温、雨や雪などが重なると、屋外滞留者の低体温症リスクも高まります。

また、火災が複数地域で発生すると、消防力は急速に不足します。新宿区そのものは高層ビル・不燃建物が多い地域ですが、周辺には木造住宅が密集する地域があり、道路が狭い場所では延焼火災への対応が難しくなります。

発災後:6〜24時間

夜間に入ると、停電地域では照明が失われ、治安・安全管理の課題が増します。信号機の停止、道路の損壊、放置車両、緊急車両の集中により、道路交通は深刻に混乱します。

新宿駅周辺から徒歩で帰宅しようとする人が大量に発生すると、幹線道路・歩道・橋・交差点に人が集中します。しかし、大規模地震直後の一斉帰宅は、救助活動や物流を妨げるだけでなく、余震、火災、建物外壁・看板・ガラスの落下などに巻き込まれる危険があります。

企業、学校、ホテル、行政機関などは、本来であれば帰宅困難者を一時的に受け入れる体制を取る必要があります。しかし、電力・水・トイレ・食料が不足すれば、受入能力は急速に低下します。

東京都の被害想定では、首都直下地震により大規模な避難者・帰宅困難者が発生し、ライフライン、交通、医療、物流が同時に被災することが前提とされています。東京都は2022年5月に首都直下地震等による被害想定を公表し、震度分布、液状化、津波、ライフライン被害などを多角的に分析しています。<<3>>

発災後:24〜72時間

最初の72時間は、瓦礫下の救助、生存者の救出、消火、重症者搬送、透析・在宅医療・介護への支援が最優先となります。

ただし、首都圏では被災者数が極めて多く、救急搬送先の病院も被災し得ます。医療機関では以下の問題が生じます。

  • 病院建物・設備の損傷
  • 停電による医療機器・空調・照明への影響
  • 非常用発電用燃料の不足
  • 断水による手術、透析、衛生管理への影響
  • 医薬品、酸素、血液、食料の物流停止
  • 医療従事者自身の被災・出勤不能
  • 救急患者の集中によるトリアージの必要性

西新宿には大規模医療機関が立地していますが、周辺だけで首都圏全体の患者を受け入れることはできません。道路渋滞や燃料不足があれば、患者を他地域へ搬送することも困難になります。

4. 津波の想定

結論:西新宿で津波被害が直接発生する可能性は極めて低い

東京都庁のある西新宿は東京湾から内陸側に位置しており、地震による津波が西新宿まで直接到達することは通常想定されません。

したがって、このシナリオにおいて、新宿区西新宿での主要被害は津波ではなく、強い揺れ、火災、建物・設備被害、交通麻痺、ライフライン停止です。

ただし、「津波がないから東京全体への海上・湾岸影響もない」とは言えません。震源の位置、断層のずれ方、東京湾内の海底地形などによっては、東京湾岸部や港湾部で小規模から局地的な津波、潮位変動、船舶被害、岸壁・護岸への影響が起こる可能性があります。

東京湾岸部で起こり得る影響

東京湾では外洋に面した太平洋沿岸ほど大きな津波が発生しにくいと考えられますが、湾内の港湾・運河・河口部では、次のような影響が問題になります。

  • 港湾施設、コンテナヤード、岸壁の損傷
  • 停泊船舶の漂流、係留索の破断、衝突
  • 東京港・横浜港・川崎港などの荷役停止
  • 河川・運河における水位変動
  • 液状化や地盤沈下と重なった場合の浸水
  • 危険物施設、石油・化学関連設備への影響
  • 海上輸送、フェリー、港湾物流の停止

特に湾岸部では、津波そのものよりも、液状化、地盤沈下、護岸損傷、コンテナ・危険物・物流施設の機能停止のほうが、経済や物流に大きな影響を与える可能性があります。

西新宿の都庁周辺には直接的な津波避難の必要性は低い一方、東京港や横浜港が使えなくなれば、食料、燃料、医薬品、輸入部品、輸出貨物などの流れが止まり、新宿を含む首都圏全体の生活・経済に影響が及びます。

5. 人的被害の想定

死者数

西新宿直下で震度7以上の地震が発生した場合、死者数は発災条件によって大きく変わります。特に死者数を左右するのは、火災の規模、発生時刻、風速、木造住宅密集地域での延焼、建物耐震化率、救助到達時間です。

政府の最新想定では、都心南部直下地震で死者約1万8,000人とされ、その内訳は建物倒壊による死者約6,000人、地震火災による死者約1万2,000人とされています。<<1>>

西新宿直下地震について公式の死者数推計はありませんが、以下の条件が重なれば、死者数は首都直下地震の最大級想定に近づくおそれがあります。

  • 冬季の夕方〜夜間に発生する
  • 風速が強く、同時多発火災が延焼する
  • 木造住宅密集地域で避難が遅れる
  • 高齢者、要介護者、障害者、入院患者の避難が難航する
  • 道路障害により消防・救急が到達できない
  • 古い耐震基準の建物やブロック塀が多数損壊する
  • 高層ビルのエレベーター閉じ込め、転倒事故、落下物事故が多発する

一方で、東京都内では耐震化・不燃化が進み、揺れによる全壊棟数や死者数を減らす効果が見込まれています。東京都は、耐震化などの進展を踏まえた推計として、建物全壊約8万棟、揺れによる死者約3,200人という見通しを示しています。<<2>>

ただし、この数値は「火災、避難遅れ、医療逼迫、発災時間帯、地域ごとの建物状況」をすべて単純化して安全を保証するものではありません。都心部での強い揺れと大規模火災が重なれば、被害は急増します。

負傷者・要救助者

死者以外にも、多数の負傷者、閉じ込め者、避難困難者が発生します。

想定される負傷要因は次のとおりです。

  • 家具、書棚、家電、什器の転倒
  • 窓ガラス、外壁、天井材、看板などの落下
  • 階段・エスカレーター・駅構内での転倒
  • 火傷、煙吸引、一酸化炭素中毒
  • エレベーター閉じ込め
  • 自動車事故、信号停止下での交差点事故
  • ガス漏れ、火災、感電
  • 余震に伴う二次的な建物損傷

高層ビルの中では、揺れによるパニックや、停電時の避難誘導が大きな課題になります。高層階のオフィスやホテルでは、エレベーターが使えない状態で数十階分を階段で移動する必要が出る可能性があります。高齢者、けが人、妊婦、乳幼児連れ、車いす利用者などは、長時間その場に留まらざるを得ない場合があります。

6. 建物・都市インフラへの影響

東京都庁舎

東京都庁舎は災害時に東京都の対策本部機能を担う重要施設です。建物自体には耐震対策が施されていますが、震度7級の直下地震では、次のような機能障害が想定されます。

  • エレベーターの全面停止または一部停止
  • 非常用電源への切替、燃料不足
  • 通信回線の混雑・障害
  • 給水・排水設備の損傷
  • 執務室・会議室・サーバー室の什器転倒
  • 窓ガラス、天井、内装材、配管の損傷
  • 職員・来庁者の一時滞留
  • 周辺道路の混雑による参集困難
  • 他自治体、国、消防、警察、自衛隊との連携遅延

都庁が完全に倒壊することよりも、建物は残っているが、電力・通信・人員・交通・設備が機能せず、意思決定と情報共有が遅れることが現実的なリスクです。

行政中枢の機能低下は、避難所開設、物資配分、被害情報集約、救急・消防調整、海外向け情報発信、企業支援などに波及します。

高層ビル群

西新宿の高層ビルでは、構造躯体の大破よりも、非構造部材や建物設備の損傷が重大です。

  • 天井の落下
  • 配管破損による漏水
  • スプリンクラー作動・誤作動
  • 空調停止
  • 非常用発電機の稼働時間不足
  • サーバー室の温度上昇
  • 受変電設備損傷
  • 窓ガラスの破損
  • エレベーター機械室・制御盤の故障
  • オフィス家具や重量物の移動
  • 建物間連絡通路、地下接続部の損傷

高層ビルでは、建物内部に大量の人が残るため、飲料水、簡易トイレ、食料、毛布、医薬品、充電手段、情報提供体制の不足が問題になります。

鉄道・道路

新宿駅を中心とする鉄道網は、地震発生後に広範囲で停止します。安全確認後、一部路線から再開する可能性はありますが、首都圏の鉄道網は相互直通運転が多く、1社・1路線の被害が広範囲のダイヤ乱れにつながります。

道路も以下の要因で機能低下します。

  • 橋梁、陸橋、トンネル、地下道の点検
  • 電柱・街路樹・看板・外壁の倒壊
  • 信号機停止
  • 放置車両、事故車両
  • 緊急車両の集中
  • 帰宅困難者の歩行者流入
  • 瓦礫、火災、冠水、液状化による通行障害

特に、救急・消防・自衛隊・物資輸送のためには道路確保が必要ですが、首都圏では平時から交通量が多く、地震直後には道路が十分に機能しない可能性があります。

7. ライフラインの被害

電力

大規模停電は、首都直下地震で最も重大な二次被害の一つです。政府の最新想定では、都心南部直下地震において電力供給力がピーク需要の48%まで低下し、約1か月程度の計画停電などが必要になる可能性が示されています。<<1>>

西新宿直下の地震では、発電所そのものよりも、変電所、送電線、配電設備、地下ケーブル、ビル内受変電設備などの損傷が問題となる可能性があります。

停電が起きると、単に照明が消えるだけでは済みません。

  • エレベーター停止
  • 信号機停止
  • 携帯基地局の非常用電源切れ
  • ビルの給水ポンプ停止
  • 冷蔵・冷凍設備停止
  • ATM、キャッシュレス決済、レジの停止
  • 医療機器、人工呼吸器、透析装置への影響
  • 在宅医療・介護の継続困難
  • 鉄道信号、駅設備、トンネル換気への影響
  • サーバー・データセンターの稼働制限

水道・下水道

水道管、給水管、貯水槽、ポンプ、下水管、マンホールなどが損傷すると、断水や排水不能が起こります。

高層ビルは、電力とポンプがなければ上層階まで水を供給できません。建物に貯水槽があっても、数日間の大量使用には限界があります。

断水は飲料水だけでなく、トイレ、手洗い、清掃、医療、消火、調理、衛生管理を直撃します。排水管が損傷すれば、トイレが使えない、下水が逆流する、建物内に悪臭・衛生問題が広がるといった事態もあり得ます。

ガス・燃料

都市ガスは安全装置により供給停止される可能性があります。復旧には、配管の点検、漏えい確認、個別復旧作業が必要で、地域によっては長期化します。

ガソリン、軽油、灯油、LPガスなども物流停止の影響を受けます。燃料不足は、消防・救急・物流・建設機械・非常用発電機・病院・避難所のすべてに影響します。

8. 経済被害・経済損失

被害額を読む際の注意

首都直下地震の経済被害には、建物や設備の損壊などの直接被害と、生産停止・消費低迷・物流停滞・取引中断などの間接被害があります。

政府の2025年12月公表の都心南部直下地震想定では、被災地の経済被害は約45兆円、全国の経済活動への影響は約38兆円とされています。<<1>>

これらは異なる概念を含むため、単純に合算して「83兆円」と断定することには注意が必要です。直接的な資産・復旧損失と、全国に波及する経済活動の低下には重複する部分があり得るためです。

ただし、西新宿直下地震のように東京の業務・行政・交通中枢が強く被災する場合、数十兆円規模の経済損失が発生する可能性そのものは十分に現実的です。

新宿・都心部で大きい経済損失

西新宿周辺では、次の分野が強く影響を受けます。

  • 企業本社・支社の業務停止
  • 金融・保険・決済業務の遅延
  • 情報通信・クラウド・コールセンター機能の停滞
  • 小売・飲食・宿泊・観光業の営業停止
  • 建設・不動産・オフィス賃貸市場への打撃
  • 医療・介護・教育サービスの中断
  • 鉄道・バス・タクシー・航空接続への影響
  • 国内外の会議、展示会、イベントの中止
  • サプライチェーン寸断による製造業の減産
  • 海外投資家・取引先による日本事業のリスク再評価

新宿は単独で完結する経済圏ではなく、東京・日本・海外と接続された業務集積地です。たとえば、企業の意思決定、契約、融資、決済、顧客対応、ソフトウェア開発、広告、メディア、観光、物流などが一時停止すれば、被害は被災地域の外へ広がります。

金融・決済への影響

東京には銀行、証券、保険、決済、資産運用、企業本社が集積しています。西新宿は丸の内・大手町ほど金融中枢ではないものの、大手企業、保険会社、IT企業、行政機関、業務拠点が多く、業務停止の影響は広範囲です。

想定される問題は次のとおりです。

  • 銀行店舗、ATM、決済端末の停止
  • 通信障害によるオンラインバンキング・キャッシュレス決済の不安定化
  • 証券市場・企業取引に関する事務処理遅延
  • 保険金請求の急増
  • 被災企業の資金繰り悪化
  • 中小企業の売上消失と雇用悪化
  • 不動産価格・賃料・保険料の再評価
  • 海外市場における日本リスクの一時的上昇

現金だけに依存することも、キャッシュレス決済だけに依存することも危険です。停電や通信障害が起きると、現金、電子マネー、クレジットカード、QR決済のいずれも使いにくくなる可能性があります。

全国への波及

東京が機能停止すると、地方の企業や自治体も影響を受けます。理由は、東京に本社、決済拠点、営業拠点、データセンター、行政窓口、港湾・空港接続、物流統括機能が集中しているためです。

全国に広がる影響としては、次が考えられます。

  • 本社決裁停止による地方拠点の業務停滞
  • 部品・原材料・完成品の物流遅延
  • 金融・保険・決済の処理遅延
  • テレビ・通信・広告・報道の混乱
  • 行政手続き、許認可、補助金、税務対応の遅延
  • 観光予約・宿泊・イベント・国際会議のキャンセル
  • 東京港・横浜港などの機能低下による輸出入停滞
  • 海外企業による日本拠点の分散・移転検討

9. 行政・治安・情報面の影響

行政機能

東京都庁が被災地の中心に近い位置にある場合、災害対策本部の設置、職員参集、情報収集、関係機関との調整が重要になります。

しかし、都庁自身が強い揺れを受け、周辺道路・鉄道が機能不全になると、職員が参集できない、通信が混雑する、庁内設備が使えないといった問題が生じます。

そのため、実際には都庁舎だけでなく、複数拠点での代替指揮、クラウド・衛星通信・防災無線・紙媒体を含む情報手段、自治体間の相互応援が重要になります。

政府は首都直下地震に対し、首都中枢機能の確保、予防対策による被害軽減、災害対応力の強化、迅速な復興を重点事項として位置づけています。<<1>>

治安・デマ・情報混乱

大規模災害時には、正確な情報不足が不安を拡大させます。特に新宿は人口流動が多く、外国人観光客・留学生・在住外国人も多いため、多言語での避難情報、交通情報、医療情報、給水情報の提供が不可欠です。

発生し得る問題には、以下があります。

  • SNS上の虚偽情報、偽画像、偽の救援要請
  • 「特定地域で火災が拡大している」などの未確認情報による混乱
  • 買い占め、転売、詐欺
  • 空き巣、窃盗、なりすまし
  • 外国語情報不足による避難遅れ
  • 企業・行政の情報更新遅れによる不信拡大

行政、報道機関、通信事業者、企業は、情報を早く出すだけでなく、確度を示しながら訂正を継続する必要があります。

10. 復旧・復興に要する期間

数日〜数週間

発災後数日間は、人命救助、消火、医療、避難所運営、給水、食料供給、道路啓開が中心となります。

数週間の段階では、以下が課題になります。

  • 停電・断水・ガス停止の地域差
  • 住宅被害の判定
  • 仮設トイレ、避難所、福祉避難所の不足
  • 学校再開、保育再開
  • 企業の業務再開
  • り災証明書、保険、融資、生活再建支援
  • がれき処理
  • 被災者のメンタルヘルス支援

数か月〜数年

新宿の超高層ビル群は外見上残っていても、内部設備の点検・補修・安全確認に時間を要する可能性があります。耐震性能の再評価、設備交換、テナントの再入居、オフィス需要の変化も起こり得ます。

住宅地では、倒壊・焼失・液状化・インフラ損傷が重なった地域ほど復旧が遅れます。賃貸住宅、低所得世帯、高齢者、外国人、単身者、事業継続資金に乏しい中小企業ほど、生活再建が困難になるおそれがあります。

また、地震後には企業が本社機能・データ・人員を東京一極集中から分散させる動きが強まる可能性があります。これは短期的には東京経済への打撃ですが、長期的には全国分散型の経済・行政・通信体制を強化する契機にもなります。

11. この想定で特に重要なポイント

西新宿・東京都庁直下で震度7級の地震が起きた場合、最大の特徴は、住宅地だけでなく、行政・企業・交通・観光・高層建築・情報通信が極度に集中した地域が同時被災することです。

特に重要なのは次の点です。

  • 都庁や高層ビルは「倒壊しない」ことだけでは十分ではない
  • エレベーター停止、給排水停止、通信障害、非常用電源不足が都市機能を止める
  • 新宿駅周辺では帰宅困難者・観光客・通勤者の大量滞留が起こり得る
  • 西新宿自体の津波リスクは低いが、東京湾岸・港湾・物流の機能低下は首都圏全体に波及する
  • 死者数を大きく左右するのは、火災、建物倒壊、避難遅れ、救助遅延である
  • 経済損失は建物被害だけでなく、業務停止、物流停止、金融・通信障害、全国のサプライチェーン混乱により数十兆円規模へ拡大し得る
  • 首都機能の維持には、都庁・政府・企業の代替拠点、分散型通信、備蓄、業務継続計画が不可欠である

12. 総括

東京都庁のある西新宿を震源とする震度7級の大地震は、東京の「建物を壊す災害」であると同時に、人・情報・電力・水・交通・行政・企業活動の接続を断つ災害になります。

最悪の場合、東京23区を中心に多数の死傷者、数百万人規模の避難者・帰宅困難者、長期間の停電・断水・交通麻痺、数十兆円規模の経済損失が発生する可能性があります。政府の都心南部直下地震想定では、死者約1万8,000人、避難者約480万人、被災地の経済被害約45兆円、全国経済への影響約38兆円が見込まれています。<<1>>

ただし、被害は固定された未来ではありません。建物耐震化、不燃化、家具固定、感震ブレーカー、非常用電源、飲料水・トイレ備蓄、企業の在宅勤務・拠点分散、行政通信の多重化、帰宅困難者対策を進めることで、死者数・火災被害・混乱・経済損失を大きく減らせます。

東京都も耐震化・不燃化などの対策により、建物全壊や揺れによる死者数を大幅に減らせるとの見通しを示しています。<<2>>
一方で、首都直下地震では火災、ライフライン停止、交通・通信麻痺といった複合災害への備えが、建物の耐震性と同じくらい重要になります。

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防災認知ソース

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