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防災 最新(2026.08.25)震源被害想定 震度7以上 北海道札幌市の中心地を震源とする震度7以上の大地震発生時の被害想定

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札幌市中心地直下・震度7級大地震の被害想定レポート

1. 要約

札幌市中心地、すなわち大通・札幌駅・すすきの周辺を含む都心部の直下で、浅い内陸活断層または未知の断層によるマグニチュード7級の直下型地震が発生し、市内の広範囲で震度7または震度6強を観測する事態を想定します。

札幌市は人口約200万人を抱える北海道最大の都市であり、行政、医療、金融、交通、物流、情報通信、観光、教育、商業の機能が集中しています。そのため、建物倒壊や火災だけでなく、北海道全域の経済・行政機能に長期的な影響が及ぶ可能性があります。

札幌市が公表した第4次地震被害想定では、月寒断層による最大震度7の地震について、死者数は夏季1,789人、冬季2,637人、厳冬期には8,234人、直接経済被害は約6兆2,700億円、間接被害は約4,500億円と推計されています。<<1>><<4>>
本レポートでは、この公的想定を重要な基準としつつ、より「札幌市中心地直下」に震源が置かれた場合に想定される、都心業務地区・地下空間・交通結節点・高層建築・積雪寒冷環境への影響を詳しく整理します。

特に冬季、しかも平日昼間または夕方に発生した場合には、死傷者、帰宅困難者、避難者、凍死・低体温症のリスク、停電と暖房停止、道路障害、物流停止が重なり、被害が最大化します。

本レポート上の厳冬期最悪ケースでは、以下のような規模を想定します。

これは将来の被害を断定するものではなく、被害軽減策を考えるための条件付き想定です。実際の被害は、地震の規模、断層の位置、揺れの周期、季節、時間帯、積雪深、火災発生件数、停電範囲、住民・企業の備えなどによって大きく変動します。

2. 想定する地震の条件

本レポートでは、次の条件を置きます。

札幌市の公式被害想定では、月寒断層を含む複数の想定地震について検討が行われています。第4次地震被害想定は2021年8月に公表され、積雪寒冷地である札幌特レス有の被害、避難生活、医療、帰宅困難、経済損失などを含めて検討されています。<<2>>

札幌市中心地直下を震源とする場合、中央区を中心に、北区、東区、白石区、豊平区、西区、厚別区、手稲区、清田区、南区の一部まで強い揺れが広がると考えられます。地盤条件によっては、震源に近い地域だけでなく、沖積低地や埋立地、軟弱地盤の地域で揺れが増幅します。

3. 地震発生直後の揺れと建物被害

3-1. 都心部で起きる強い揺れ

震度7では、多くの人が自力で立っていることが困難になります。固定していない家具は激しく移動・転倒し、棚やロッカーから物が落下します。窓ガラス、外壁材、看板、照明、天井材、配管、空調設備などが破損・落下する可能性があります。

札幌駅周辺、大通、すすきの、創成川東側、苗穂、桑園、円山、白石、東札幌、平岸、豊平などでは、建物密集度、地下施設、交通施設、商業機能、住宅地が複雑に重なっています。都心部では高層建築が多いため、短周期の強い揺れに加え、長周期地震動による高層階の大きな横揺れも問題になります。

高層建築では、建物自体が倒壊しなくても、次のような機能停止が起こり得ます。

札幌市の被害想定では、月寒断層地震の冬季想定で、閉じ込めの可能性があるエレベーターは4,579台とされています。<<3>> 都心直下地震では、札幌駅・大通・すすきの周辺のホテル、オフィスビル、マンション、商業施設、病院などに集中するエレベーターで、多数の閉じ込め事案が同時に起きるおそれがあります。

3-2. 木造住宅と旧耐震建築物の被害

札幌市には比較的新しい住宅も多い一方、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物、十分な耐震補強が実施されていない木造住宅、老朽化した集合住宅、空き家なども残っています。

特に、以下のような建物は大破・倒壊の危険性が高まります。

冬季は屋根雪の重量が建物に加わります。通常であれば倒壊を免れた建物でも、揺れによる柱・壁・接合部の損傷と積雪荷重が重なることで、部分倒壊や屋根崩落に至る可能性があります。避難後に余震や融雪で損傷が進行する危険もあります。

3-3. 非構造部材による負傷

現代の都市地震では、建物そのものの倒壊だけでなく、天井、照明、ガラス、家具、商品、看板などの「非構造部材」による負傷が大きな問題になります。

札幌市中心部では、百貨店、地下街、ホテル、飲食店、オフィス、学校、病院、公共施設、駅施設などで、多数の人が同時に被災します。

特に危険性が高いのは次の場所です。

4. 津波・河川・浸水の想定

4-1. 札幌市中心部での津波リスク

札幌市中心部は石狩湾から離れた内陸側に位置するため、都心部に海から大規模な津波が直接到達する可能性は高くありません。したがって、この想定地震における主要被害は、津波よりも強い揺れ、建物倒壊、火災、液状化、停電、断水、寒冷環境下の避難生活になります。

ただし、「札幌市内では津波を完全に無視できる」という意味ではありません。震源の位置や断層運動の性質によっては、石狩湾沿岸部、石狩川河口周辺、港湾部、低地部に小規模から中規模の津波・水位変動が生じる可能性があります。

札幌市の北西部や石狩湾に近い地域では、以下のような影響を警戒する必要があります。

ただし、札幌市中心部の死傷者や都市機能停止を左右する主因は津波ではなく、直下型地震による震度7級の揺れと、その後の複合災害です。

4-2. 河川・下水道・地下空間の浸水

札幌市には豊平川、創成川、琴似川、発寒川、新川など、多くの河川・水路があります。地震によって河川護岸、堤防、橋梁、排水施設、下水管が損傷すると、降雨や融雪と重なった場合に内水氾濫や河川氾濫の危険が増します。

特に札幌市では、地震直後よりも数日から数週間後に起こる「融雪期の複合災害」が重要です。地震で損傷した道路、下水道、ポンプ場、河川護岸に、春先の雪解け水や降雨が加わると、浸水被害が拡大する可能性があります。

地下鉄駅、地下街、地下駐車場、地下通路、地下の商業施設では、次のようなリスクがあります。

札幌駅前地下歩行空間、大通周辺の地下街、すすきの周辺の地下施設などでは、構造物自体の耐震性だけでなく、停電・浸水・群集滞留・情報不足が重なった場合の避難誘導が重要になります。

5. 液状化・地盤沈下・道路被害

5-1. 液状化が起こりやすい地域

液状化とは、地震の強い揺れによって地下水を多く含む砂質地盤が一時的に泥水のような状態になり、地盤の支持力を失う現象です。

札幌市内では、旧河道、埋立地、低湿地、沖積低地、河川沿い、造成地などで液状化の可能性があります。特に豊平川、石狩川、新川などの周辺低地や、地下水位が比較的高い地域では、地盤の変形や沈下が発生するおそれがあります。

液状化が起きた場合、次の被害が想定されます。

5-2. 積雪による道路啓開の遅れ

札幌の地震対応で特に深刻なのは、雪によって道路啓開、すなわち緊急車両が通れる道路を確保する作業が難しくなることです。

倒壊家屋、電柱、看板、落雪、放置車両、積雪、凍結路面、道路陥没が同時に発生すると、消防車、救急車、自衛隊車両、給水車、燃料輸送車、除雪車が被災地へ進めなくなります。

通常であれば数時間から1日程度で通行可能にできる道路でも、冬季には数日を要する可能性があります。特に生活道路や住宅密集地では、救助・消火・物資輸送の遅れが直接的に死者数の増加につながります。

6. 火災被害

6-1. 同時多発火災の可能性

札幌は冬季に暖房器具を使用する世帯・店舗が多く、地震発生時にはストーブ、給湯器、厨房、ボイラー、電気配線、燃料設備などが火災原因になり得ます。

地震による火災は、次のような要因で起こります。

札幌市中心部では消防力が比較的充実している一方、地震直後には消防署自体も被災し、道路障害、断水、通信障害、救助要請の集中により対応能力を超える可能性があります。

消火栓が断水で使えない場合、消防活動は大幅に制約されます。積雪は延焼を抑える面もありますが、道路を狭め、消防車両の進入を妨げる面もあります。また、寒冷地では放水した水が凍結し、消防隊員や避難者の転倒、車両の走行不能、避難路の閉塞を招く可能性があります。

6-2. 都心繁華街の火災リスク

すすきの、大通、狸小路、札幌駅周辺などには、飲食店、雑居ビル、ホテル、商業施設、地下店舗が集中しています。火災が発生した場合、次のような困難が予想されます。

特に夜間、週末、イベント開催日、観光繁忙期などに発生した場合、都心部の一時滞留者が多く、避難誘導が難しくなります。

7. 人的被害の想定

7-1. 死者数

札幌市の公的想定では、月寒断層による最大震度7の地震において、死者数は夏季1,789人、冬季2,637人、厳冬期には8,234人とされています。<<1>><<4>>

都心直下で発生する地震では、震源の位置や時間帯によって被害分布が変わります。住宅地の倒壊だけでなく、駅、地下街、オフィス、学校、病院、商業施設、ホテル、飲食店などにいる人々が同時に被災するため、昼間人口が多い都心部では負傷者が大幅に増える可能性があります。

本レポートでは、死者数を次の範囲で想定します。

死者の主な要因は、建物倒壊、家具転倒、火災、落下物、道路・橋梁被害、避難中の事故、救助の遅れ、低体温症、持病の悪化、医療途絶などです。

7-2. 負傷者と医療逼迫

負傷者は、軽傷者を含めると数万人規模になる可能性があります。想定される負傷者数は30,000人から90,000人程度、重傷者は5,000人から15,000人程度です。

重傷者には以下のような人が含まれます。

札幌市内には高度医療機関が多くありますが、病院も被災します。建物被害、停電、断水、医療ガス停止、職員の出勤困難、患者の殺到、医薬品不足、燃料不足によって、通常の医療提供能力は大きく低下します。

救急搬送では、道路障害と119番通報の集中により、救急車の到着が大幅に遅れる可能性があります。徒歩や自家用車で病院に向かう人が集中すると、救急外来の前が渋滞し、本当に緊急性の高い患者の搬送にも影響します。

8. 停電・断水・ガス停止・通信障害

8-1. 電力供給への影響

札幌市は電力需要が大きく、特に冬季には暖房、融雪、交通、商業施設、病院、通信設備などが電力に強く依存します。

地震によって変電所、送電線、配電設備、電柱、地下ケーブル、非常用発電設備が損傷すると、数十万戸から100万戸規模の停電が起こる可能性があります。札幌周辺の地震リスクについては、月寒断層地震で大規模な停電が予測されるとの報道もあります。<<5>>

停電が起きると、照明が消えるだけでは済みません。

北海道では2018年9月の北海道胆振東部地震で大規模停電を経験しました。札幌市中心地直下の震度7級地震では、発電・送電設備の被害だけでなく、市内の配電網や需要側設備も多数損傷するため、復旧はより複雑になる可能性があります。

8-2. 冬季停電と凍死・低体温症

札幌において停電は、生命維持に関わる問題です。冬季に暖房が止まり、住宅の断熱性能や備蓄状況が不十分な場合、屋内でも急速に室温が低下します。

特に危険なのは、次の人々です。

札幌市の公的想定で厳冬期の死者数が大きく増える背景には、倒壊・火災だけでなく、寒冷環境下での避難、救助遅延、暖房停止、低体温症リスクがあります。<<1>>

8-3. 上下水道の被害

断水は数十万人から100万人規模に及ぶ可能性があります。水道管、配水池、浄水場、ポンプ場、給水設備、マンションの受水槽などが損傷すると、復旧には長期間を要します。

断水によって発生する問題は多岐にわたります。

マンションでは、建物が無事でも停電で給水ポンプが止まれば水が使えなくなります。高層マンションの上層階では、階段で水を運ぶ必要が生じ、高齢者や子育て世帯への負担が極めて大きくなります。

8-4. 都市ガス・灯油・燃料供給

都市ガスの供給停止は、家庭の調理・給湯だけでなく、飲食店、病院、学校、福祉施設、事業所に影響します。札幌では灯油暖房を使用する家庭も多いため、灯油の在庫と配送能力が重要です。

しかし、道路障害、給油所の停電、タンクローリー不足、油槽所・物流拠点の被災が起きると、灯油やガソリン、軽油を必要な場所に届けられません。

燃料不足は、次のような二次被害を引き起こします。

9. 交通・物流・帰宅困難者

9-1. 鉄道・地下鉄の停止

札幌市中心部では、JR北海道、札幌市営地下鉄、路面電車、バス、タクシーなどが重要な移動手段です。地震発生直後には、安全確認のため全線または大部分の路線が運転見合わせとなる可能性が高いです。

地下鉄では、トンネル、駅、電力設備、信号設備、軌道、ホームドア、エスカレーター、換気設備などの点検が必要になります。構造物が大きく損傷していなくても、余震や浸水、停電、駅周辺の混雑によって再開まで時間がかかります。

JR札幌駅は北海道全体の鉄道ネットワークの中核です。札幌駅周辺で地震被害が大きい場合、道内各地への鉄道輸送が止まり、通勤・通学・観光だけでなく、物流・郵便・宅配・人員派遣にも影響します。

9-2. 道路交通の混乱

道路では、信号停止、道路陥没、橋梁点検、倒壊建物、電柱倒壊、積雪、放置車両、救急車両の通行などが重なり、通常の交通機能はほぼ停止します。

札幌市中心部では、国道5号、国道12号、国道36号、国道230号、環状通、石山通、創成川通、北1条宮の沢通などの幹線道路が重要です。これらの道路が寸断・渋滞すると、救助、医療搬送、物資輸送、除雪、燃料配送、行政活動に深刻な支障が出ます。

また、札幌新千歳空港間のアクセスが途絶えると、道外からの救援隊、医療チーム、物資、観光客の移動にも大きな影響があります。

9-3. 帰宅困難者

札幌市の月寒断層地震の冬季平日想定では、帰宅困難者は約11万6,000人とされています。<<3>> 都心部直下の地震では、札幌駅・大通・すすきの周辺の利用者、オフィス勤務者、学生、観光客、買い物客、イベント参加者が集中するため、帰宅困難者は15万人から35万人程度に増える可能性があります。

帰宅困難者が一斉に徒歩で帰宅しようとすると、次の問題が起こります。

冬季には「歩いて帰る」こと自体が危険になる場合があります。企業、学校、商業施設、ホテル、公共施設には、利用者をむやみに移動させず、安全な場所に一時滞在させる計画が求められます。

10. 避難所・仮設住宅・生活再建

10-1. 避難者数

札幌市の公的想定では、月寒断層の冬季地震で避難者は約15万人とされています。<<3>> 都心直下地震では、住宅被害、停電、暖房停止、断水、火災、マンションのエレベーター停止などによって、自宅が残っていても生活できない「在宅避難困難者」が大量に発生します。

本レポートでは、避難所・親族宅・ホテル・車内・福祉施設などを含む避難者を20万人から45万人程度と想定します。

避難者の内訳には、次の人々が含まれます。

10-2. 避難所の寒冷地課題

札幌の避難所では、暖房、電力、燃料、水、トイレ、寝具、除雪が生命線です。体育館や学校施設は広く収容力がありますが、暖房能力が不十分な場合、長時間の避難には向きません。

避難所で深刻化しやすい問題は以下です。

厳冬期には、避難所に入れず車内や屋外で過ごすことが命に関わります。避難所の収容人数だけでなく、「暖かく安全に過ごせる場所」を確保することが重要です。

10-3. 仮設住宅と復興住宅

札幌市の想定では、月寒断層地震の冬季ケースで仮設住宅需要は約1万4,000戸とされています。<<3>> 都心直下地震で住宅被害が拡大した場合には、仮設住宅、みなし仮設住宅、公営住宅、民間賃貸住宅、ホテル、親族宅などを組み合わせた大規模な住まいの確保が必要になります。

札幌では積雪、凍結、土地不足、建設人材不足、資材輸送の困難が仮設住宅建設を遅らせる可能性があります。仮設住宅の建設予定地については、冬季施工の困難さ、除雪体制、通院・買い物・通学の利便性、孤立防止をあらかじめ考慮する必要があります。

11. 経済被害・経済損失

11-1. 直接経済被害

札幌市の公的想定では、月寒断層による地震の直接経済被害は約6兆2,700億円から約6兆3,000億円規模、間接被害は約4,500億円とされています。<<1>><<4>>

直接経済被害とは、地震によって物理的に壊れた建物、設備、道路、橋、鉄道、水道、電気、通信設備、在庫、車両などを復旧・再建するために必要となる損失です。

都心直下の地震では、次のような直接被害が想定されます。

本レポートでは、札幌市中心部直下の震度7級地震による直接経済被害を、6兆円から10兆円程度と想定します。

中心部には高額な不動産、企業本社、金融機関、商業施設、観光施設、公共施設、地下インフラが集中しているため、建物の被害棟数が同じでも、1棟当たりの損失額が大きくなります。

11-2. 間接経済損失

間接経済損失とは、建物などが壊れる直接被害とは別に、営業停止、物流停滞、観光客減少、雇用悪化、サプライチェーン断絶などによって生じる損失です。

札幌は北海道経済の中心であり、札幌市内の被災は全道に波及します。間接損失は、次の分野で特に大きくなります。

札幌市中心部が長期間使えない場合、北海道の行政、企業活動、金融取引、卸売、観光、教育、医療、報道、通信が同時に停滞します。

間接経済損失は、被害の大きさと復旧期間により1兆円から5兆円程度に達する可能性があります。直接被害と合算した総経済損失は、7兆円から15兆円程度を想定します。

11-3. 北海道全体への波及

札幌市は単独の大都市ではなく、北海道の人口・経済・行政機能が集中する中枢都市です。そのため、札幌で大規模な機能停止が起きると、旭川、函館、帯広、釧路、北見、苫小牧、小樽などを含む道内各地にも影響が広がります。

主な波及経路は以下です。

12. 産業別の影響

12-1. 観光・宿泊業

札幌は雪まつり、食、都市観光、スポーツ、国際会議、ライブ・イベントなどで国内外から多くの観光客を集めます。地震が冬季の観光シーズンや大規模イベント開催中に発生した場合、観光客の避難、宿泊、帰国・帰宅支援が大きな課題になります。

ホテル自体が避難所化し、宿泊予約の取消しや営業停止が相次ぐ可能性があります。海外からの旅行者には、多言語による避難情報、交通情報、医療情報、在留手続支援が必要です。

12-2. 商業・飲食業

札幌駅・大通・すすきの周辺の店舗では、商品落下、冷蔵設備停止、断水、ガス停止、従業員の出勤不能、決済端末停止、仕入れ停止が起こります。

地震後数日間は営業を再開できない店舗が多く、営業再開後も食材不足、従業員不足、観光客減少、消費自粛によって売上低下が続く可能性があります。中小零細事業者は資金繰り悪化の影響を受けやすく、復旧費用を負担できず廃業するケースも懸念されます。

12-3. 情報通信・金融・事務機能

札幌市中心部には企業本社、支店、コールセンター、データセンター、行政機関、金融機関が集積しています。建物が使用不能になると、電話、インターネット、電子決済、給与計算、顧客対応、契約業務、物流管理などが止まります。

クラウドサービスを利用していても、職員が出勤できない、ネットワークが使えない、認証端末が壊れる、電源がないといった問題で業務は継続できません。企業は代替拠点、在宅勤務、紙の手続、衛星通信、非常用電源、データバックアップを組み合わせる必要があります。

12-4. 食料供給

札幌市は人口が多く、日常的に大量の食料を道内外から受け入れています。道路、鉄道、港湾、倉庫、冷凍設備、卸売市場、配送センターが被災すると、スーパーやコンビニの棚から食品が急速に減ります。

冬季は屋外で食品を保管しやすい面もありますが、輸送車両の燃料不足、道路凍結、配送人員不足が大きな障害になります。乳幼児用ミルク、アレルギー対応食、介護食、透析食、温かい食事、飲料水の確保が重要です。

13. 災害廃棄物と環境問題

大地震後には、倒壊建物、家具、家電、ガラス、コンクリート、木材、断熱材、石膏ボード、土砂、雪、汚泥など、大量の災害廃棄物が発生します。

札幌市中心部の高層ビルや地下施設が被災すると、通常の解体廃棄物よりも複雑な分別・搬出作業が必要になります。道路が狭く、雪が残る時期には、がれきの仮置場確保も難しくなります。

災害廃棄物の処理が遅れると、次の問題が発生します。

14. 時系列でみる被害と復旧

14-1. 発災直後から3時間

地震発生直後は、建物倒壊、家具転倒、火災、停電、断水、携帯電話のつながりにくさ、交通停止が同時に起きます。

札幌駅、大通、すすきの、地下街、地下鉄駅、病院、商業施設では、多数の利用者が滞留します。救急要請が集中し、消防・警察・行政の情報収集も困難になります。

冬季の場合、屋外に避難した人々が寒さにさらされ、数十分から数時間でも低体温症の危険が生じます。

14-2. 発災後24時間

火災対応、倒壊家屋からの救助、避難所開設、道路啓開、病院のトリアージ、安否確認が最優先になります。

この時期には、携帯電話は一部回復しても、充電切れや通信混雑によって情報格差が広がります。店舗の在庫が急減し、現金、飲料水、防寒用品、モバイルバッテリー、灯油、簡易トイレなどを求める人が集中します。

14-3. 発災後3日間

人命救助の重要期間です。倒壊建物に閉じ込められた人の救助、病院の患者転送、透析・在宅医療患者の支援、要配慮者の避難支援が課題になります。

避難所では、暖房、トイレ、食料、水、医薬品、毛布、携帯電話充電、情報提供が不足しやすくなります。断水が続く地域では衛生環境が悪化します。

14-4. 発災後1週間から1か月

電力・通信は徐々に復旧する地域が出る一方、断水、都市ガス停止、道路・建物の損傷、営業停止が長引く地域が残ります。

復旧の地域格差が顕著になり、「自宅に戻れる人」と「避難所・親族宅・ホテルを転々とする人」の差が広がります。仕事を失う人、学校に通えない子ども、介護を受けられない高齢者など、生活再建の問題が表面化します。

14-5. 発災後数か月から数年

住宅再建、仮設住宅、事業再建、インフラ復旧、がれき処理、メンタルヘルス支援、地域コミュニティの再生が中心課題になります。

特に札幌では、次の冬を迎えるまでに被災者の住まいと暖房を確保できるかが極めて重要です。復旧が間に合わなければ、冬季の二次被害が再び拡大します。

15. 被害を減らすための重点対策

15-1. 家庭で必要な対策

札幌では、一般的な防災備蓄に加えて、防寒・暖房・除雪・水確保を重視する必要があります。

15-2. マンション・事業所の対策

15-3. 行政・インフラ事業者に求められる対策

16. 結論

札幌市中心地直下で震度7級の大地震が発生した場合、津波は都心部の主要被害になりにくい一方、建物倒壊、火災、液状化、地下空間の混乱、停電、断水、交通停止、通信障害、暖房停止、低体温症、医療逼迫、帰宅困難者、経済活動停止が複合する大災害となる可能性があります。

札幌の最大の特徴は、人口・都市機能が集中する大都市であることに加え、積雪寒冷地であることです。冬の停電や断水は生活の不便にとどまらず、暖房停止、凍結、低体温症、除雪不能、燃料不足を通じて生命に直結します。

札幌市の公式想定でも、月寒断層地震では厳冬期に死者8,234人、直接経済被害約6兆2,700億円、間接被害約4,500億円という非常に大きな被害が示されています。<<1>><<4>> 都心直下で発生し、地下空間・高層建築・繁華街・交通結節点への被害が集中した場合、直接被害と間接損失を合わせた総経済損失は7兆円から15兆円規模に達する可能性があります。

被害を小さくする鍵は、住宅・建物の耐震化、家具固定、感震ブレーカー、暖房・燃料・水・トイレの備蓄、避難所の寒冷対策、道路啓開と除雪の連携、企業の事業継続計画、地下空間の避難対策、要配慮者支援です。

地震そのものは防げませんが、犠牲者数、避難生活の厳しさ、経済損失、復旧期間は、平時の備えによって大きく変えられます。

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