名古屋市中心部で「1時間400mm超」の線状降水帯が発生した場合の被害想定レポート
非常に極端な想定ですが、都市災害としては最悪級です。1時間400mm以上の降雨は、日本の都市排水・河川管理の通常想定を大幅に超える規模であり、名古屋市中心部では内水氾濫、地下空間浸水、河川氾濫、交通・電力・通信の同時機能停止が連鎖する可能性があります。
以下は、線状降水帯が名古屋市の都心部、特に中区・中村区・東区・西区・熱田区・中川区の一部を中心に、少なくとも1時間にわたり400mm以上の雨を降らせた場合を想定した被害シナリオです。実際の被害規模は、降雨継続時間、降雨域の広さ、庄内川・矢田川など上流域での降雨、潮位、満潮との重なり、地下施設の止水状況などによって大きく変わります。
名古屋市は「想定し得る最大規模」の洪水、内水氾濫、高潮について被害想定とハザードマップを公表しています。市内の排水施設の能力を超える豪雨では、場所を問わず路面冠水や浸水が起こり得るとしています。〔名古屋市「想定し得る最大規模の風水害」更新2026年7月17日〕<<1>>〔名古屋市「雨水出水浸水想定区域」更新2025年10月16日〕<<2>>
1. 想定する降雨の異常性
1時間400mmとは、1平方メートル当たり400リットル、1平方キロメートル当たり40万立方メートルの雨が1時間で降ることを意味します。
たとえば、都心部を含む50平方キロメートルに同程度の雨が降った場合、総雨量は約2,000万立方メートルになります。これは25mプール約5万3,000杯分に相当します。
都市部では、アスファルト、コンクリート、屋根、駐車場などが多く、雨水が地中にしみ込みにくいため、降った雨の大部分が短時間で道路や下水道、河川へ流れ込みます。そのため、実際には次のような事態がほぼ同時に起きます。
- 雨水ます、側溝、下水道管が短時間で満水になる
- マンホールから水が噴き出す
- 道路の低い場所に水が集中する
- 地下街、地下鉄出入口、地下駐車場へ水が流れ込む
- 中小河川や水路が急激に増水する
- ポンプ場や排水機場の能力を超える
- 停電や通信障害で排水・避難・救助が遅れる
この規模では、「河川が氾濫してから浸水する」のではなく、まず市街地の排水が追い付かずに起こる内水氾濫が、最初かつ最大の被害要因になる可能性が高いです。
2. 名古屋市中心部の地形・都市構造上の脆弱性
名古屋市中心部は、名古屋駅地区、栄地区、伏見地区、金山地区、熱田周辺などに、商業施設、オフィス、ホテル、病院、行政機関、鉄道駅、地下街、地下鉄、地下駐車場が密集しています。
特に名古屋駅周辺は比較的低地であり、雨水が集まりやすい地域です。名古屋市の資料では、2000年9月の東海豪雨で名古屋駅周辺に床上浸水185戸、床下浸水2,677戸の被害が発生したとされています。市はポンプ場増強、雨水調整池、下水道管の改修、地下空間の浸水対策を進めていますが、1時間400mmという降雨は、こうした対策の設計条件を大幅に上回る可能性があります。〔名古屋市「名古屋都心域豪雨対策推進プラン」〕<<4>>
都心部のリスクを高める要素は次のとおりです。
- 地表面が舗装され、雨水が浸透しにくい
- 建物、道路、鉄道施設が高密度に集中している
- 地下街や地下鉄など、地下空間が広く連結している
- 駅周辺に人が集中し、帰宅困難者が大量に発生しやすい
- 大規模商業施設、ホテル、オフィスビルに地下設備が多い
- 地下駐車場、機械式駐車場、電気室、発電機室が低層部に置かれている場合がある
- 庄内川水系などの広域河川で増水が生じた場合、内水排除が難しくなる
- 満潮や高潮と重なれば、河川・排水路からの排水がさらに困難になる
3. 発災直後から24時間までの時系列被害想定
降り始めから15分
降雨強度が毎時100mmを超えた段階で、道路の排水能力を上回る箇所が出始めます。毎時400mm級では、開始後数分から十数分で冠水が顕在化すると考えられます。
起こり得る現象は以下です。
- 雨水ますから逆流し、道路に噴水のように水があふれる
- 交差点、アンダーパス、地下道入口、立体交差付近で急速に冠水する
- 視界不良により自動車事故や歩行者の転倒事故が増える
- 信号機、道路監視カメラ、屋外通信設備が故障する
- バス・タクシー・配送車が走行困難になる
- 駅出入口や商業施設の地下入口に水が流れ込み始める
- 地下駐車場の利用者が避難を始めるが、出庫渋滞が起きる
とくにアンダーパスや地下道は、周囲から水が流れ込む「水の受け皿」になりやすく、短時間で数十cmから1m以上の水深に達するおそれがあります。車両は30cm程度の浸水でも走行性能が著しく低下し、50cm程度で浮き始めることがあります。水没車内からの脱出不能による死傷事故が最も懸念されます。
15分から1時間
この段階では、下水道、側溝、ポンプ設備の処理能力を超え、広範囲で内水氾濫が進行します。
道路冠水は単なる「水たまり」ではなく、流速を伴う濁流になる可能性があります。道路の勾配、地下空間への入口、河川や水路への流入部では、水の流れが集中します。
想定される状況は次のとおりです。
- 幹線道路で数十cmから1m前後の冠水
- 低地、窪地、アンダーパス、地下道で1m以上の浸水
- マンホールふたの浮上・飛散
- 路盤流失、舗装の剥離、道路陥没
- 水圧や浮力により車両が流される
- オフィス・店舗の1階が浸水し、商品、什器、電子機器が被害を受ける
- ビル地下階の受電設備・空調設備・通信設備が浸水する
- 建物内のエレベーターが停止し、閉じ込めが発生する
- 地下鉄駅、地下街、地下連絡通路の閉鎖または浸水が進む
- JR、名鉄、近鉄、地下鉄、あおなみ線などで運転見合わせが拡大する
- 名古屋駅・栄駅・伏見駅・金山駅などで避難者、滞留者、帰宅困難者が集中する
線状降水帯が都心に停滞すれば、駅や地下街の止水板、防水扉、土のうだけでは対応できない事態が想定されます。特に地下空間は、一度浸水が始まると水が集まり続ける構造であり、避難の遅れは重大な人的被害につながります。
1時間から6時間
雨が弱まったとしても、被害のピークは直後に終わりません。上流域の降雨による河川増水、ポンプ排水の制約、地下空間への流入、交通停止が続きます。
この段階で問題になるのは、都市機能の複合的な停止です。
- 河川水位の上昇により、堤防越水や越流の危険が高まる
- 河川水位が高く、下水道・排水機場から十分に排水できない
- 内水氾濫が数時間から半日以上継続する地域が発生する
- 地下設備の浸水により、建物全体が停電する
- 携帯電話基地局、通信中継設備の停電により通信品質が悪化する
- 医療機関、福祉施設、ホテル、商業施設で孤立者が発生する
- 消防・救急車両が冠水道路を通行できず、救助要請に対応しにくくなる
- 飲食店・食品販売店の冷蔵設備停止により食品廃棄が発生する
- 浸水した電気設備からの感電、漏電火災、油流出が起こる
- 流された車両や倒木、漂流物が道路・水路を塞ぐ
6時間から72時間
降雨停止後は、排水、復旧、衛生、交通再開が課題になります。地下施設に浸水した場合、地上の水が引いても地下階や地下鉄設備の復旧には数日から数週間を要することがあります。
- 排水ポンプによる排水が続く
- 浸水住宅・店舗で泥、汚水、廃棄物の除去が必要になる
- 下水の逆流による衛生悪化、悪臭、感染症リスクが発生する
- エレベーター、受変電設備、機械設備の点検・交換に時間を要する
- 浸水車両の撤去、廃車処理、保険査定が集中する
- 鉄道・地下鉄の設備点検により長期間の運休・間引き運転が続く
- 物流停滞により、コンビニ・スーパー・飲食店で品薄が起こる
- 企業のサーバー、書類、在庫、設備が被災し、事業再開が遅れる
- 学校・保育施設の休校、休園が発生する
- 被災者のホテル避難、親族宅避難、二次避難が必要になる
4. 河川氾濫の被害想定
名古屋市では、庄内川、矢田川、堀川、山崎川、天白川などの河川・水路が都市機能と近接しています。河川氾濫の危険度は、都心部だけの降雨ではなく、流域全体の降雨量と継続時間によって決まります。
このため、「名古屋市中心部で1時間400mm」という条件だけで庄内川などの大河川が必ず氾濫すると断定はできません。しかし、線状降水帯が庄内川・矢田川などの上流域にもかかり、数時間以上の豪雨が続いた場合には、河川氾濫の危険性は著しく高まります。
名古屋市は洪水ハザードマップを公表し、河川氾濫時の浸水想定区域を示しています。河川ごとの危険区域や浸水深は、住所単位で確認する必要があります。〔名古屋市「洪水ハザードマップ【分割版】」更新2023年6月19日〕<<5>>
河川氾濫で想定される被害
- 堤防越水、堤防決壊、護岸損傷
- 河川沿い低地での急速な浸水拡大
- 河川から市街地への濁流流入
- 橋梁周辺の漂流物堆積、道路・鉄道の通行不能
- 水門・樋門・排水機場の運用制約
- 河川水位上昇に伴う内水排除能力の低下
- 工場、倉庫、物流施設、住宅地の長時間浸水
- 災害廃棄物、油類、化学物質、下水の流出
- 河川沿いの公園、駐車場、地下施設での孤立・水没
河川氾濫と内水氾濫が重なると、道路冠水の排水先がなくなり、浸水がより長期化します。この複合災害が、都市部における最も深刻なリスクです。
5. 住宅・建物への被害想定
戸建住宅・低層集合住宅
都心部周辺の低地や、地下室・半地下駐車場を持つ住宅では、短時間で床上浸水に至る可能性があります。
床上浸水は、居住空間の床面より上まで水が達する被害です。室内の家具、家電、畳、壁材、断熱材、給湯設備、分電盤などが損傷します。浸水後に水が引いても、建材内部に湿気や汚水が残るため、乾燥、消毒、解体、改修が必要になります。
想定される被害は以下です。
- 1階居室、台所、浴室、トイレの浸水
- 冷蔵庫、洗濯機、テレビ、パソコンなどの故障
- 分電盤・コンセント浸水による感電・火災リスク
- 家具転倒、漂流物の流入、窓ガラス破損
- 車庫・地下駐車場の車両水没
- 住宅基礎周辺の土砂流出、沈下
- 浸水後のカビ、悪臭、害虫、衛生問題
- 高齢者、障害者、乳幼児、在宅医療利用者の避難困難
中高層マンション
マンションは高層階に避難できる場合がある一方、停電・断水・エレベーター停止により生活継続が難しくなります。
- 地下受電設備・ポンプ設備の浸水による全館停電
- 給水ポンプ停止による断水
- 排水ポンプ停止によるトイレ使用制限
- エレベーター停止による高層階住民の孤立
- 地下駐車場の車両水没
- 宅配ロッカー、機械室、防災設備の損傷
- オートロック・インターホン・監視カメラの停止
- 非常用発電機が地下にある場合の機能喪失
高層マンションでは「水が部屋に入らなければ安全」とは限りません。停電、断水、通信障害、食料不足、救急搬送の困難さが重大な生活被害になります。
オフィスビル・商業施設・ホテル
名古屋駅、栄、伏見、金山などの業務・商業集積地では、建物被害だけでなく、営業停止による損失が大きくなります。
- 地下階テナント、食品売場、倉庫の浸水
- 受変電設備、空調設備、ボイラー、通信機器の故障
- エレベーター・エスカレーター停止
- POSレジ、決済端末、サーバー、在庫管理機器の停止
- 商品在庫、什器、展示品の廃棄
- ホテル宿泊客の避難、予約取消、長期休業
- 飲食店の衛生基準不適合、食材廃棄
- 企業の業務停止、在宅勤務への切替不能
- テナント従業員・来街者の避難誘導負担
6. 床上浸水・床下浸水の規模感
実際の浸水戸数は、降雨域、地盤高、排水能力、河川水位、建物の止水性能によって変動するため、ここで正確な戸数を断定することはできません。
ただし、1時間400mm超の雨が都心部に集中し、排水能力を大きく超えた場合、低地や地下空間では以下のような浸水深が発生する可能性があります。
- 道路上:20cmから50cm程度の冠水が広範囲で発生
- 低い交差点、地下道、アンダーパス:1m以上の急速な冠水
- 住宅地の低地部:床下浸水から床上浸水
- 半地下・地下室:短時間で天井近くまで浸水する危険
- 地下駐車場:出入口から流入し、車両の屋根近くまで水没する危険
- 地下街・地下鉄連絡通路:流入防止に失敗した場合、広範囲に浸水が拡大する危険
名古屋市は、排水施設の能力を超える雨では、市内のどこでも一時的な路面冠水が発生する可能性があるとしています。内水氾濫の危険性は、河川沿いだけではなく、地形の低い都心部や地下空間を持つ地区でも確認する必要があります。〔名古屋市「雨水出水浸水想定区域」更新2025年10月16日〕<<2>>
7. 車両水没と交通被害
車両水没は、このシナリオで非常に発生しやすい被害です。特に名古屋市は自動車利用が多く、通勤、配送、営業、物流を車両に依存する割合が高いため、都市機能への影響も大きくなります。
想定される車両被害
- 路上駐車車両の冠水・水没
- 地下駐車場、立体駐車場低層部の水没
- アンダーパス内での立ち往生
- 渋滞中の車両への浸水
- EV・ハイブリッド車を含む電装系故障
- エンジン吸気口からの浸水によるエンジン損傷
- 流された車両が道路や橋梁部を塞ぐ
- 水没後の車両火災、感電、油類流出
- レンタカー、カーシェア、社用車、配送車の大量損失
車は水深が浅く見えても危険です。水圧でドアが開かなくなることがあり、冠水した道路では路面の穴、側溝、マンホール、障害物が見えません。避難行動としては、車で移動を続けるより、建物の高い階など安全な場所へ早期に退避することが原則になります。
鉄道・地下鉄・道路網への影響
- 名古屋駅を中心とする鉄道ネットワークの停止
- 地下鉄駅への浸水・安全確認による長時間運休
- 地下鉄トンネル、電気設備、信号設備の浸水点検
- 高架下や地下道の冠水による道路通行止め
- 名古屋高速の出入口、接続道路の通行障害
- バス路線の全面的な運休・迂回
- タクシー、救急車、消防車、配送車の移動困難
- 名古屋駅、栄駅、金山駅などで多数の帰宅困難者が発生
交通停止は、単なる移動の不便ではありません。医療、物流、救助、避難、食料供給、企業活動のすべてに連鎖的な影響を及ぼします。
8. 地下街・地下鉄・地下駐車場の重大リスク
名古屋駅周辺や栄地区には、商業施設、地下街、地下鉄、地下通路、ビル地下階が集積しています。地下空間は、地上よりも浸水の進行を把握しにくく、避難経路が限られるため、人的被害のリスクが高い場所です。
主な危険は次のとおりです。
- 出入口・換気口・搬入口からの急激な流入
- 地下通路を通じた浸水範囲の拡大
- 停電による照明・案内表示・監視カメラの停止
- エスカレーター・階段への水流集中
- 地下店舗・倉庫への閉じ込め
- 地下駐車場での車内閉じ込め
- 浸水した電気設備による感電
- 排水ポンプ停止、または能力超過
- 携帯電話がつながりにくくなり、避難情報が届かない
- パニックによる転倒・将棋倒し
地下空間の安全確保では、浸水が始まってから避難するのでは遅い場合があります。気象警報、河川情報、道路冠水情報を踏まえ、事業者が早い段階で地下施設を閉鎖し、利用者を地上または上階へ誘導できるかが被害を左右します。
9. 経済損失の想定
経済損失は、建物や車両の修理・再取得費用だけではありません。営業停止、物流停止、交通麻痺、観光キャンセル、サプライチェーン寸断、雇用・所得への影響まで含める必要があります。
正確な損失額を算定するには、浸水深別の建物棟数、床面積、業種別売上、地下設備の配置、車両台数、交通停止時間、保険加入状況などの詳細データが必要です。そのため、この条件だけで「総額何兆円」と断定することは適切ではありません。
ただし、名古屋市中心部で広範囲の浸水と地下施設被害が発生した場合、被害は少なくとも数百億円規模、浸水範囲が名古屋駅・栄・伏見・金山などの主要業務地区に広がり、交通・商業機能の停止が数日から数週間続けば、直接・間接損失を含めて数千億円規模に達する可能性があります。これは公的な確定推計ではなく、都心部の高い資産集積と事業中断を前提とした概略的なリスク評価です。
直接被害
- 住宅の修繕、解体、建替え
- 店舗・オフィス・ホテルの内装、設備、在庫の損失
- 地下街・地下鉄・駅施設の復旧費
- 道路、橋梁、下水道、ポンプ場、電力設備の修復
- 自動車、バス、配送車、営業車の廃車・修理
- 医療機器、サーバー、通信設備、業務機器の損失
- 浸水ごみ、廃棄物、土砂、汚泥の処理費
間接被害
- 企業の操業停止、休業、売上減少
- 百貨店、商店街、飲食店、宿泊施設の営業損失
- 鉄道運休、道路閉鎖による通勤・物流の停滞
- 工場・倉庫・配送拠点の稼働低下
- 保険金支払いの増加
- イベント中止、観光客減少、宿泊キャンセル
- 取引先への納品遅延、契約不履行リスク
- 被災従業員の出勤不能、育児・介護負担の増加
- 不動産価値やテナント出店意欲への中長期的影響
10. ライフラインへの影響
電力
地下受電設備、配電盤、変電設備が浸水すると、建物単位ではなく街区単位で停電が起こる可能性があります。停電は照明、空調、通信、エレベーター、給水ポンプ、冷蔵設備、医療機器、信号機に波及します。
非常用発電機があっても、燃料タンクや発電機室が地下・低層階にある場合、浸水で使えなくなるおそれがあります。
上下水道
浸水や停電により、浄水・送水・排水・ポンプ設備に支障が出る可能性があります。断水が発生しなくても、集合住宅などでは給水ポンプ停止により蛇口から水が出なくなることがあります。
また、下水道の逆流やマンホールからのあふれにより、汚水が市街地や建物内に流入する危険があります。
通信
携帯電話基地局や通信設備は非常用電源を備えている場合がありますが、長時間停電、浸水、回線混雑が重なると、通話・通信が困難になる可能性があります。
災害直後は安否確認、避難情報、救助要請が集中するため、通常の通信サービスが不安定になりやすいです。
ガス
ガス供給設備が直接浸水しない場合でも、建物内の設備損傷、漏電火災、ガス漏れ確認などにより、再開まで時間がかかることがあります。浸水後の復旧作業では、電気・ガス・水道の安全確認を個別に行う必要があります。
11. 医療・福祉・人的被害
人的被害は、建物倒壊よりも、急な浸水、車内閉じ込め、地下空間での避難遅れ、救助の遅延によって拡大する可能性があります。
特に危険が高い人は以下です。
- 地下街、地下鉄、地下駐車場にいる人
- アンダーパスや冠水道路を車で通行する人
- 1階・半地下・地下室にいる人
- 高齢者、障害者、乳幼児、妊婦
- 在宅酸素、人工呼吸器、透析など医療依存度の高い人
- 保育園、学校、福祉施設の利用者
- 屋外作業者、配送員、警備員、建設作業者
- 帰宅困難者、観光客、日本語での情報取得が難しい人
救急搬送が必要な患者がいても、冠水で救急車が近づけない、病院の受入能力が低下する、通信障害で連絡が取れないといった問題が起こります。
また、浸水後には、低体温症、外傷、感染症、ストレス障害、持病の悪化、服薬中断などの二次的な健康被害も発生します。
12. 消防・警察・行政対応への負荷
この規模の豪雨では、119番・110番通報が同時多発し、消防・警察・自治体の対応能力を上回る可能性があります。
想定される要請は次のとおりです。
- 車両水没からの救出
- 地下施設・エレベーターからの救助
- 浸水住宅からの避難支援
- 河川・水路への転落者捜索
- 感電・漏電火災への対応
- 道路閉鎖・交通規制
- 避難所開設、帰宅困難者の受入れ
- 高齢者施設・病院への支援
- 避難情報、通行止め、断水・停電情報の発信
一方で、消防車、救急車、パトカー、自衛隊車両であっても、深い冠水路を安全に通行できるわけではありません。救助要請があっても、現場到着まで長時間を要する状況があり得ます。
13. 二次災害・複合災害
1時間400mm超の豪雨では、浸水だけでなく、次のような二次災害が起こる可能性があります。
- 感電事故
- 漏電火災
- 浸水した自動車からの油・燃料流出
- マンホールの浮上や道路陥没による転落事故
- 流木、ごみ、看板、車両などの漂流物による衝突
- 河川・水路への転落
- 下水逆流による衛生被害
- 建設現場の資材流出
- 倉庫・工場からの化学物質流出
- 長時間停電による冷蔵・冷凍食品の腐敗
- SNS上の誤情報による危険な移動や避難遅れ
- 避難所・駅での混雑、熱中症、感染症拡大
また、大雨が台風、高潮、満潮、強風、落雷と重なれば、被害はさらに複雑化します。伊勢湾に近い名古屋市では、豪雨と高潮が同時に発生する複合水害にも注意が必要です。名古屋市は洪水だけでなく、内水・高潮を含む最大規模の風水害リスクを公表しています。〔名古屋市「想定し得る最大規模の風水害」更新2026年7月17日〕<<1>>
14. 想定される地域別の特徴
名古屋駅周辺・中村区
名古屋駅周辺は鉄道、地下街、ホテル、オフィス、商業施設が高密度に集まるため、地下浸水と帰宅困難者の発生が大きな問題になります。
- 地下街・地下連絡通路への浸水
- 鉄道駅の機能停止
- ホテル宿泊者・観光客の避難支援
- 駅周辺道路の渋滞と車両水没
- オフィスビル地下設備の被害
- 商業施設・飲食店の営業停止
栄・伏見・中区
栄・伏見地区では、百貨店、地下街、地下鉄、飲食店、オフィスが集中し、地下空間の安全確保が最重要課題です。
- 地下鉄駅・地下街の浸水リスク
- 繁華街での避難誘導の難しさ
- オフィスビルの受変電・空調設備被害
- 飲食店・小売店の在庫・設備損失
- 夜間人口、来街者、観光客の安全確保
金山・熱田周辺
鉄道乗換拠点としての金山地区では、交通機関の停止が広域の通勤・通学・帰宅に影響します。熱田周辺も低地や水路・河川との位置関係を確認する必要があります。
西区・中川区など低地部
低地部では、内水氾濫の長期化や、河川水位の上昇による排水困難が重大な問題になります。住宅地、物流施設、工場、倉庫、幹線道路などへの影響が広がる可能性があります。
15. 被害軽減のために必要な対策
行政・インフラ事業者に求められる対策
- 雨量・水位・道路冠水情報のリアルタイム発信
- 地下街、地下鉄、地下道の早期閉鎖基準の明確化
- 防水扉、止水板、排水ポンプ、非常用電源の多重化
- 受変電設備・通信設備の地上階以上への移設
- アンダーパスへの自動遮断機・水位監視カメラの整備
- 河川・下水道・排水機場の統合運用
- 避難所だけでなく、帰宅困難者受入施設の確保
- 福祉施設、病院、地下施設との情報共有
- 浸水想定区域を前提とした土地利用・建築基準の強化
- 防災無線、スマートフォン通知、デジタルサイネージの多言語化
企業・施設管理者に求められる対策
- 地下階・地下駐車場の早期閉鎖ルール
- 電気室、サーバー室、非常用発電機の浸水対策
- 止水板・土のうだけに依存しない多層防御
- 従業員・来館者の垂直避難計画
- テレワーク・業務代替拠点・データバックアップの整備
- 浸水時のエレベーター停止・避難誘導手順の訓練
- 店舗在庫、危険物、重要書類の高所保管
- BCP、すなわち事業継続計画の見直し
市民・来訪者に求められる行動
- 大雨特別警報級の予報時は、不要不急の外出を避ける
- 地下街、地下鉄、地下駐車場、アンダーパスに近づかない
- 冠水道路を車で走行しない
- 避難は原則として早めに行い、浸水が始まってから移動しない
- 自宅が危険な場合は、近隣の頑丈な建物の2階以上へ垂直避難する
- 河川、水路、用水路、側溝を見に行かない
- 気象庁、名古屋市、鉄道会社、道路管理者の公式情報を確認する
- モバイルバッテリー、飲料水、常備薬、ライト、携帯ラジオを備える
- 地下駐車場の車は、危険が迫る前に安全な高所へ移動する。ただし、すでに強い雨や冠水が始まっている場合は車の移動を優先しない
16. 総合評価
名古屋市中心部で1時間400mm以上の雨を降らせる線状降水帯が発生した場合、最大の初動被害は、庄内川などの大河川の氾濫より先に起こり得る広域内水氾濫と地下空間浸水です。
その後、降雨が流域全体に及び、河川水位が上昇すれば、河川氾濫、排水不能、浸水長期化が重なります。被害は住宅浸水や車両水没にとどまらず、名古屋駅・栄・伏見・金山などの交通・商業・業務拠点の停止、地下鉄・地下街の被害、広域物流の混乱、停電・断水・通信障害、医療・救助の逼迫へと波及する可能性があります。
特に重大なのは、以下の5点です。
- 地下街、地下鉄、地下駐車場での急激な浸水と避難遅れ
- アンダーパス・冠水道路での車両水没と人的被害
- 受変電設備・通信設備の浸水による長期停電と建物機能停止
- 鉄道・道路・物流の同時停止による都市経済への大規模な影響
- 河川氾濫、内水氾濫、高潮、満潮が重なった場合の複合災害化
被害を完全に防ぐことは難しい規模の豪雨ですが、早い避難、地下空間の早期閉鎖、車による移動の抑制、重要設備の高所化、正確なハザードマップ確認によって、人的被害と復旧期間は大きく変えられます。名古屋市の洪水・内水氾濫ハザードマップで、自宅、職場、学校、よく使う駅、地下駐車場、避難経路の浸水深を事前に確認しておくことが重要です。〔名古屋市「内水氾濫ハザードマップ【分割版】」更新2023年6月19日〕<<3>>
防災関連情報
今日のシューマン共鳴予報(ライブ周波数チャート&健康影響)
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※高い標高を基準とした防災移住のご参考に。標高60メートル以上(理想は100メートル以上)を推奨します。候補地は奈良県、京都府、兵庫県、岡山県、群馬県、埼玉県(大宮、所沢)です。地盤の強さも確認し、候補地の周りに豪雨による土砂崩れ、河川の氾濫による浸水の恐れが無いかも確認してください。
極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント? GX入門/身近な疑問vs東大
標高・地盤認知の推奨
ステップ1
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移転予定先の標高も調査しておきましょう!
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ステップ2
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防災認知ソース
今日のシューマン共鳴予報(ライブ周波数チャート&健康影響)
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