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防災 最新(2026.09.28)震源被害想定 震度7以上 愛知県常滑市の中心地を震源とする震度7以上の大地震と火山噴火(海底火山噴火)発生時の被害想定

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愛知県常滑市中心部で大地震・陸上噴火・海底噴火が同時発生した場合の仮想被害想定

このレポートは、常滑市中心部の直下で震度7の地震が起き、さらに市街地付近の陸上噴火と伊勢湾内の海底噴火が重なる、極端な仮想シナリオです。実際の発生予測でも、行政機関による被害想定でもありません。 特に、常滑市街地とその沖合に新たな火山が同時に形成されるという前提には、現在示されている地域の地質・火山活動からみて強い非現実性があります。

そのうえで、「もし三つの現象が重なったら、何が被害を拡大させるか」を検討します。以下の人数、浸水深、金額などは計算モデルで検証した予測値ではなく、被害の規模感を考えるために置いたシナリオ上の概算値です。避難計画や土地ごとの危険判断には使用できません。

1.結論――被害を左右するのは「同時発生」と「逃げ道の喪失」

この想定で最も深刻なのは、地震、津波、噴火の被害を単純に足し合わせたものではありません。強い揺れで建物や道路が損傷した直後に、沿岸部には短時間で津波が迫り、場所によっては噴石・火山灰・火災が避難を妨げます。さらに、中部国際空港と対岸を結ぶアクセスが損傷すれば、島内にいる人の移動や救援も難しくなります。

冬の平日夕方、強風、沿岸部への大きな浸水、空港アクセスの長期停止など、厳しい条件を重ねた場合の検討用の規模感は次のとおりです。

  • 常滑市内の死者:おおむね1,000~3,500人。避難の遅れなどが重なる極端な場合は3,500~6,500人。
  • 周辺地域を含む死者:おおむね2,000~8,000人。広域の火災・津波・医療機能の低下まで重なる極端な場合は8,000~1万2,000人。
  • 常滑市内の全壊・焼失建物:おおむね4,000~1万棟。ただし、噴火口の位置や浸水範囲次第で大幅に変わります。
  • 常滑市内の避難所等への避難者:発災後数日間のピークで、おおむね2万~5万人。空港利用者や市外からの滞在者を含むため、市の人口だけでは収容需要を測れません。
  • 周辺地域を含む避難者:おおむね8万~25万人。
  • 常滑市内の直接被害:住宅、事業所、空港関連施設、道路・上下水道などを合わせ、おおむね1兆~3兆円。
  • 周辺地域を含む直接被害:おおむね2兆~6兆円。
  • 広域の間接的な経済損失:空港停止、生産・物流の停滞、観光需要の減少などで、おおむね1兆~4兆円。
  • 周辺地域を含む総経済損失:直接被害と、重複を避けて数えた間接損失の合計として、おおむね3兆~10兆円。

これらの範囲は、同じ条件で一斉に下限または上限になるという意味ではありません。例えば、津波による死者を減らせる条件と、空港の復旧が長引く条件は両立し得ます。また、死者・避難者・経済損失の各数字は、同一の詳細シミュレーションから算出した整合済みの結果ではありません。

2.現実の資料との関係

愛知県が2026年に公表した南海トラフ地震の被害予測は、現実の防災を考えるうえで重要な基礎資料です。県の2026年6月の調査結果を紹介する資料では、常滑市について、過去地震最大モデルで最大震度6強、津波高4.4メートル、最短津波到達時間58分、浸水面積410ヘクタールなどの数値が示されています。建物被害や死者数も、地震のケースや発生条件ごとに推計されています。愛知県の調査結果掲載ページは2026年8月26日に更新されています。〔愛知県「南海トラフ地震被害予測調査結果」(2026年6月、公表ページ更新:2026年8月26日)〕

本レポートの想定は、その県の予測を常滑市向けに拡大したものではありません。 県の資料が扱う南海トラフ地震と、ここで仮定する「市中心部直下の地震+市街地の噴火+伊勢湾内の海底噴火」は、震源、津波の発生源、火山災害の有無が異なります。したがって、県の「津波到達58分」を本シナリオの避難可能時間として転用することも、県の死者数に噴火分を加えて本シナリオの死者数を求めることもできません。

また、日本の震度階級の最大は震度7です。「震度7以上」という表現は、以下では「震度7に達するほどの極めて強い揺れ」と解釈します。震度7を超える「震度8」があるわけではありません。

3.想定する発災条件

被害が広がる過程を具体的に追うため、次の条件を置きます。

発生日時は冬の平日午後5時ごろとします。市街地には通勤・買い物・帰宅途中の人がいて、中部国際空港には利用者や従業員が滞在しています。日没が近く、停電すると屋外での避難や救助が難しくなります。風は比較的強く、火災の延焼と火山灰の拡散に不利な条件とします。

地震は常滑市中心部の地下数キロメートルから十数キロメートル程度に震源を置く、仮想の浅い地震です。市街地の一部で震度7、周辺でも非常に強い揺れが生じると仮定します。マグニチュードや断層の形状は特定しません。これらを決めずに精密な震度分布を描くことはできないためです。

陸上噴火は、市中心部またはその近傍に新しい火口が形成されるという、現実性の低い追加条件です。爆発を伴う噴火、噴石、降灰、火山ガスが発生するとします。ただし、流れる溶岩が市街地全体を短時間で覆うような描写は採りません。火口の正確な位置、噴火規模、継続時間は未設定であり、危険区域を地図上に確定することはできません。

海底噴火は、常滑沖の伊勢湾内で海底が急激に変形し、水を押しのける爆発的現象が起きるとします。単に海底で噴火しただけで、必ず大きな津波になるわけではありません。このシナリオでは、津波が生じる条件として短時間に相当量の海水が動くことを明示的に仮定します。津波は地震による海底変形や海底地すべりでも発生し得るため、実際の発生源の区別は観測なしにはできません。

対象は常滑市だけでなく、知多半島西岸、対岸の三重県側、伊勢湾の港湾・航路、空港に依存する中部地方の物流まで含めます。ただし、各地が同じ高さの津波や同じ震度に襲われるという想定ではありません。

4.発災から数日間の経過

発生直後~10分:揺れ、倒壊、火口周辺の危険

地震発生と同時に、耐震性の低い住宅や店舗、古い塀、看板、屋根材などが損傷します。家具の転倒やガラスの破損も多発します。市街地の狭い道路では、建物外壁の落下や電柱の傾きによって通行が妨げられるでしょう。

揺れが収まる前後に市街地近くで噴火が始まれば、火口周辺では噴石や爆風、火山ガスへの警戒が必要になります。地震で屋外へ逃げ出した人にとって、屋外が必ずしも安全とは限らないのが、この複合災害の難しい点です。

一方、沿岸部では「震源が陸上だから津波は来ない」と判断するのは危険です。このシナリオには、別の発生源である海底噴火が含まれます。強い揺れを感じた海沿いの人は、警報を待たずに海から離れ、高い場所へ向かう必要があります。

10分~1時間:津波、火災、交通遮断

仮定した海底の水の動かし方によっては、常滑沿岸の一部に数分~20分程度という非常に短い時間で第一波が達する展開も考えます。ただし、この時間は地形・水深を用いて計算した値ではなく、避難時間が短くなる条件を検討するための設定です。実際の到達時間として使用できません。

火山灰が風下へ流れ、視界の悪化、車両の走行障害、屋外設備の故障が起こります。漏電やガス設備の損傷などから火災が発生しても、断水や道路閉塞で消火活動が遅れる可能性があります。津波が火を消すとは限らず、漂流物や損傷した設備が被害を複雑にします。

1~24時間:救助需要が集中

倒壊建物の下敷きになった人、浸水区域から逃げ遅れた人、空港島や道路上で足止めされた人への救助要請が重なります。沿岸へ向かう消防・警察・自衛隊の経路自体が損傷していれば、救助隊がいても現場に到達できません。

通信障害により、被害が大きい地区ほど状況が伝わりにくくなります。「情報が少ない地区は被害が軽い」とは判断できません。医療機関では外傷、熱傷、溺水、呼吸器症状への対応が同時に求められます。

2日目~1週間:避難生活と産業停止が拡大

津波が引いた後も、瓦礫、泥、汚水、壊れた設備が残ります。噴火が続けば降灰や火山ガスによって屋外作業が制限されます。空港、港、鉄道、道路の再開が遅れるほど、被害は知多半島以外の企業活動にも波及します。

避難所では、水、トイレ、食料、薬に加え、乳幼児、高齢者、障害のある人、外国人旅行者への対応が必要です。長期化すると、災害そのものによる負傷だけでなく、持病の悪化や生活環境の悪化による健康被害が重要になります。

5.地震による建物・地盤被害

震度7の揺れが市街地に及ぶという条件では、建物の被害は構造、建築年代、耐震改修の有無、地盤によって大きく分かれます。耐震性を備えた建物でも、外壁、天井、設備、配管が損傷し、しばらく使えない場合があります。「倒壊しなかった」ことと「避難所や病院として機能する」ことは別です。

とくに懸念されるのは、次のような連鎖です。

  • 住宅の倒壊や屋内の家具転倒による圧迫・外傷。
  • 店舗や公共施設での天井材・ガラスの落下。
  • 古い建物が並ぶ道路での瓦礫による閉塞。
  • 宅地の盛土や斜面の損傷、擁壁の崩壊。
  • 沿岸の埋立地や軟弱地盤での液状化、地盤沈下、埋設管の破損。
  • 工場の生産設備、倉庫の棚、危険物設備の損傷。

このシナリオでは、市内の全壊・焼失建物をおおむね4,000~1万棟、それとは別に、修理が必要な一部損壊などを多数想定します。ただし、これは建物台帳と震度分布を照合して算出した数字ではありません。火口が市街地のどこにできるかによっても大幅に変動するため、建物棟数を細かい地区別に割り振ることはしません。

液状化は、地盤中の砂と水の状態によって生じる現象です。建物の傾きに加え、道路の段差、マンホールの浮き上がり、上下水道管の損傷を招きます。空港島や臨海部についても、実際の地盤改良の状況、施設ごとの設計、揺れの性質を踏まえずに「全面的に液状化する」とは言えません。しかし、滑走路や誘導路が見た目には残っていても、段差や設備故障の点検が終わるまでは安全に使用できません。

6.陸上噴火による被害

火口周辺:短時間での退避が難しい

市街地または近傍に新たな火口ができるという設定では、火口に近い区域が最も危険です。噴石は落下地点の予測が難しく、屋外にいる人だけでなく、屋根や窓を通じて屋内にも被害を及ぼし得ます。爆発の規模によっては、飛散物や爆風が周辺建物を損傷します。

ただし、「火口から何キロメートル以内が致命的」といった一律の線引きはしません。 噴石の大きさ、噴出角度、噴火口の位置、建物の構造が決まっていないためです。具体的な立入規制範囲は、現実には噴火状況を観測して専門機関が判断する必要があります。

降灰:広域で機能を止める

火山灰は、単なる灰色のほこりではなく、細かな岩石やガラス質の粒子です。降灰が続くと、道路の視界や摩擦、機械の吸気、電気設備、雨どい、排水設備に影響します。雨でぬれた灰は重くなり、屋根や仮設設備への負担が増します。

風向き次第では、常滑市内だけでなく、知多半島の他地域や伊勢湾周辺にも影響が出ます。ただし、「名古屋まで何センチメートル積もる」といった数値は、噴出量と風の条件がない以上、提示できません。航空機についても、目に見える降灰が空港にある場合だけが問題ではありません。上空の火山灰はエンジンや機体に危険を及ぼすため、運航判断は航空当局・航空会社による観測と空域評価に従います。

火山ガスと水の汚染

火山ガスは種類や濃度によって、呼吸器や目に影響を及ぼします。低い場所にたまるガスがある一方、風によって広く薄まる場合もあります。地震で換気設備が止まった建物や地下空間では、測定しないまま安全を判断できません。

降灰や浸水が浄水設備、受水槽、井戸、貯水施設に影響すれば、飲み水の確保も課題になります。「灰を払えば水が使える」とは限らず、水質の確認が必要です。

火山と地震の関係について

このシナリオでは両者が同時に起こると設定していますが、常滑市直下の地震が現実にマグマを生み、市街地と沖合の二つの火山を直ちに噴火させるという因果関係を示す根拠はありません。 地震の揺れで既存の火山活動が変化する可能性を議論することと、火山が想定されていない場所に新しい火山が形成されると予測することは別です。

7.海底噴火と津波の想定

津波の発生条件

海底噴火の津波は、爆発の規模、海底の隆起・陥没、海底地すべり、水深、湾の形によって大きく異なります。水面に変色や気泡が現れただけで、沿岸に大津波が来ると決まるわけではありません。

以下では、常滑沖で海水を急激に押しのけるほど大きな現象が起きるという、厳しい条件を仮定します。市内の一部海岸では、浸水をもたらす波が短時間で到達し、港湾部、河口、低地、臨海施設が被害を受けるとします。

津波高と浸水深は別物

この仮想シナリオでは、常滑沿岸の一部で海岸付近の津波の高さが数メートル規模となり、地形によってはそれを上回る局所的な水位上昇も起こり得ると置きます。また、浸水する区域の多くでは水深が数十センチメートル~数メートル、低地や流れの集中する場所ではさらに深くなる可能性を考えます。

ただし、これは津波数値計算の結果ではありません。津波高、地面から測った浸水深、海岸を駆け上がった高さは異なる量です。「海岸の津波高が4メートルなら、市内のどこでも4メートル浸水する」わけではありません。 また、湾内の波の反射や海底地形によって、同じ市内でも海岸ごとに到達時間と高さが変わります。

浸水面積についても、地形データを用いない一律の予測はできません。本シナリオでは、沿岸の複数地区と臨海施設が浸水する展開を考えますが、どの町丁目まで水が届くかは特定しません。現実の避難場所を判断する際には、愛知県・常滑市の津波浸水想定やハザードマップを確認する必要があります。

人命被害を増やす条件

津波による死者が増えるのは、波の高さだけが原因ではありません。このシナリオでは、次の条件が重なります。

  1. 地震で階段、橋、道路、建物が損傷し、高い場所への移動が遅れる。
  2. 火山灰や停電で標識・周囲が見えにくくなる。
  3. 陸上噴火を避ける方向と、津波を避ける方向が一致しない地区がある。
  4. 自動車避難が渋滞し、徒歩避難者の通行も妨げる。
  5. 空港や臨海事業所に、土地勘のない旅行者・従業員がいる。
  6. 第一波の後に戻った人が、続く波や強い流れに巻き込まれる。

重要なのは、津波から逃げるための行動を、噴火口へ近づく形にしないことです。この特殊な複合災害では、通常の避難方向が使えない可能性があります。現場の危険情報に応じ、指定された高所、堅牢な建物の上階、別経路などを選ぶ必要があります。

8.中部国際空港への影響

常滑市沖の人工島にある中部国際空港は、人の移動だけでなく、貨物や地域経済にも関わる重要な施設です。ここでは「空港が必ず全壊する」とは想定しません。その一方、一部施設が無傷でも運航全体は止まり得る点が重要です。

滑走路・旅客施設

滑走路や誘導路には、段差、亀裂、漂流物、降灰の有無を確認する必要があります。航空灯火、管制、通信、燃料、消防、保安検査、旅客ターミナル、手荷物設備のうち、どれか一つが重大な損傷を受けても運航能力は低下します。

津波による浸水が限定的でも、非常用電源や地上の電気設備が被害を受ければ、復旧には時間がかかります。逆に、地震後の点検で使用可能と分かる施設もあり得ます。空港全体が何日間閉鎖されるかを一つの数字で決めることはできません。

検討用には、数日間の全面的な運航停止または大幅な制限、復旧が難しい設備では数週間以上の機能低下を考えます。より長い停止は、橋や地盤、燃料設備、航路上の火山灰の被害が重なる場合の厳しい条件です。

空港島と対岸を結ぶ経路

空港への鉄道・道路アクセスが損傷すると、島内にいる人の避難、物資搬入、救急搬送、職員交代が難しくなります。橋の外観が保たれていても、地震後には構造点検が必要です。鉄道は線路や電力設備の点検も欠かせません。

島内に滞在する旅行者や従業員は、直ちに全員が市街地の避難所へ移動できるとは限りません。空港側に一定期間とどまる人と、対岸へ移動する人の双方を考え、水、トイレ、医療、情報提供を用意する必要があります。外国語での案内や、家族・航空会社との連絡手段も課題です。

国内外への波及

中部国際空港が使えなければ、旅客便や航空貨物の一部を他空港へ振り向ける必要があります。しかし、他空港に機材、発着枠、通関、地上輸送の余力が十分にあるとは限りません。部品を短納期で輸送する企業、海外から人を受け入れる企業、観光業は影響を受けます。

また、この災害では代替輸送先も地震や交通規制の影響を受ける可能性があります。単に「別の空港を使えば解決」とは言えず、代替空港までの陸上輸送を含む調整が必要です。

9.港湾、海上交通、工業・商業への影響

港と船舶

伊勢湾内の海底噴火が疑われる場合、船舶は津波だけでなく、海底地形の変化、漂流物、視界不良、噴出物などに警戒する必要があります。港内や航路の安全確認が終わるまで、入出港の制限が考えられます。

常滑市内の沿岸施設に加え、伊勢湾・知多半島の港湾物流が間接的に影響を受けます。ただし、常滑沖で現象が起きたからといって、名古屋港や湾内のすべての港が同じ高さの津波に襲われるという意味ではありません。湾内の場所ごとの影響は、津波計算と実測に基づいて判断すべきものです。

製造業と供給網

知多半島やその周辺には、製造、物流、エネルギー関連の事業活動が集まっています。直接被災していない工場でも、道路の通行止め、従業員の避難、部品・原材料の不足、電力・水の制限によって操業が止まることがあります。

設備の再開には、単に電気を戻すだけでなく、配管、精密機械、品質管理設備、危険物設備の点検が必要です。降灰が製品や原材料に混入すれば、清掃や検査に追加の時間がかかります。取引先が中部地方以外にあっても、必要な部品が届かなければ生産への影響は全国に広がり得ます。

常滑の地場産業・観光

常滑焼に関わる工房や窯、店舗などは、建物や設備の被害に加え、観光客減少の影響を受けます。作品や原料が水・灰・瓦礫で損傷すれば、金額だけでは捉えにくい文化的損失も生じます。

宿泊、飲食、小売、空港関連サービスも、施設が直接被災しなくても交通遮断によって売上を失います。一方、復旧工事に伴う需要が一部で生まれても、それを観光業や地域の小規模事業者の損失が埋め合わされたことにはできません。

10.ライフラインと通信

電力

地震による送配電設備の損傷に、浸水や降灰が加わると、停電が長期化する地区が生じます。停電は照明や携帯電話の充電だけでなく、病院の医療機器、給水ポンプ、下水処理、冷蔵設備、信号機に影響します。

非常用発電機があっても、燃料補給の道路が使えず、運転を維持できない可能性があります。復旧の順番は安全確認と重要施設の優先度に左右されます。「市内全域が同じ日数停電する」という想定は適切ではありません。

上下水道

水道管が地震で破損し、さらに津波の塩水や泥が浄水・配水施設に入り込めば、断水や水質の問題が起こります。水が出る場合でも、飲用可能とは限りません。下水道が止まれば、避難所のトイレと衛生管理が早期の課題になります。

仮設トイレの設置場所も重要です。浸水が続く場所、噴火口に近い場所、道路が閉じた場所には、必要な物資を届けられない場合があります。

通信と情報

基地局や通信回線が損傷すると、家族の安否確認、避難情報、救助要請が滞ります。通信が残っていても、アクセス集中でつながりにくくなる可能性があります。空港利用者には、運航情報と避難情報の両方を、多言語を含めて届ける必要があります。

噴火と津波の情報は、時間とともに更新されます。発災直後の「噴火はここ」「津波はこの程度」という情報を固定的に扱わず、公式発表や現場からの確認に応じて避難範囲を見直さなければなりません。

11.人的被害と医療

死者数の見方

本シナリオの市内死者を1,000~3,500人、極端な悪条件で3,500~6,500人と置いたのは、建物倒壊、津波、火災、火口付近の災害、救助・医療の遅れが重なる場合の規模感を示すためです。周辺地域を含めた死者数の範囲には、市内の死者が含まれます。両者を足し算してはいけません。

さらに、原因別の死者を単純に合計できません。地震で建物に閉じ込められ、その後浸水した人を「地震」と「津波」の二重に数えてしまうからです。避難が迅速に進めば死者はこの範囲より小さくなり得ますし、想定外の噴火規模や広域津波が起これば、範囲外になる可能性も否定できません。この数字に統計的な信頼区間や予測精度はありません。

負傷者と救助需要

負傷者は、軽傷から集中治療が必要な重傷まで多数に及びます。倒壊による圧迫、ガラスによる切創、津波での溺水、火災による熱傷、灰やガスによる呼吸器症状が同時に発生します。必要な治療や搬送方法が異なる患者が短時間に集中するのが特徴です。

道路が寸断されれば、重傷者を市外の病院へ搬送するにも時間がかかります。空港を広域搬送の拠点として使いたくても、空港自体の安全が確認できなければ利用できません。医療従事者自身の被災や出勤困難も、受け入れ能力を下げます。

災害関連死

避難生活が長くなると、持病の治療中断、脱水、感染症、寒さ、睡眠不足、精神的負担などによる健康被害が生じます。これは発災直後の外傷死とは分けて把握する必要があります。本レポートの死者数は、そうした長期の災害関連死を精密に織り込んだ数字ではありません。

高齢者、透析や在宅酸素などを必要とする人、妊産婦、乳幼児、障害のある人については、避難所に入れた時点で支援が完了するわけではありません。必要な医療・介護を継続できる受け入れ先まで考える必要があります。

12.避難者と避難生活

常滑市内で2万~5万人が避難所等を利用するという想定には、住宅を失った住民だけでなく、浸水や降灰で自宅へ戻れない人、空港周辺で移動手段を失った滞在者が含まれます。反対に、住民全員が公的避難所へ行くわけでもありません。親族宅や市外の宿泊施設などへ移る人もいます。

市内で求められる避難先は、単一の「体育館」ではありません。

  • 津波の到達まで時間がないときに命を守るための、一時的な高所・建物上階。
  • 建物の安全を確認した後、数日間生活する避難所。
  • 医療・介護を必要とする人向けの受け入れ先。
  • 空港利用者など、市外へ移動できるまで滞在する場所。
  • 降灰や火山ガスを避けるため、換気や建物の安全性を確認した屋内空間。

特にこのシナリオでは、津波に対して安全な高い建物が、噴石や灰に対しても安全とは限りません。 逆に、火口から遠ざかるため低地の海沿いへ向かえば、津波の危険が増す場合があります。避難先の選定は「高い場所」だけで完結せず、火口からの距離、建物の損傷、浸水可能性、風向きを合わせて判断する必要があります。

避難所では、断水下のトイレ、暖房、衛生用品、携帯電話の充電、食物アレルギーへの対応などが必要です。空港関係者や旅行者には、地元住民向けの情報だけでは足りません。航空便の再予約、旅券・所持品、帰宅方法に関する相談も発生します。

13.経済被害・経済損失の内訳と数え方

ここでは、直接被害を「壊れた住宅・事業所・設備・インフラなどを復旧または再取得するための損失」、間接損失を「操業停止、輸送の迂回、観光需要の減少など、活動が止まることで生じる損失」として区別します。両者には会計上の重複が生じやすく、単純な足し算は危険です。

常滑市内の直接被害:1兆~3兆円程度

この概算には、住宅・店舗・工房などの建物、在庫や設備、道路・橋・上下水道、臨海施設、中部国際空港の施設・設備を含めます。空港施設の損害額が大きくなる場合、市内の被害額は住宅被害だけから推測できません。

一方で、空港が一時的に使えないことによる航空会社の売上減や、他地域での生産停止まで、すべてを市内の直接被害に算入するわけではありません。海底噴火で新しい火口や航行障害が生じた場合の調査・航路復旧費も不確実性が大きく、この範囲にどこまで含めるかで数字は変わります。

周辺地域を含む直接被害:2兆~6兆円程度

常滑市以外の沿岸被害、周辺の建物・工場・港湾・道路などを含む概算です。この2兆~6兆円には、常滑市内の1兆~3兆円を含みます。 両者を合算して「3兆~9兆円の直接被害」としてはいけません。

また、知多半島や伊勢湾全域で震度7になるという意味でもありません。地震動、津波、降灰の影響を受ける地域と程度が異なることを前提に、広域への波及を含めています。

広域の間接損失:1兆~4兆円程度

主な要因は、空港便の欠航・貨物輸送の停滞、企業の操業停止、交通の迂回、観光客の減少、取引先への納品遅延などです。企業が別の拠点で生産を続けられるか、空港の機能をどの程度早く戻せるかによって、損失額は大きく変わります。

例えば、空港の旅客ターミナルが早期に復旧しても、鉄道・道路アクセスや航空貨物の設備が長く止まれば経済影響は続きます。逆に、物流の代替経路を確保できれば、施設の直接損傷が大きくても間接損失を抑えられる場合があります。

総経済損失:3兆~10兆円程度

以上から、広域の直接被害2兆~6兆円と、重複を避けて計上した間接損失1兆~4兆円の合計を、3兆~10兆円程度と置きます。これは保険金の支払総額、行政の復旧予算、地域総生産の減少額のいずれか一つと同義ではありません。

なお、愛知県の南海トラフ地震による経済被害の推計値と比較する際には注意が必要です。災害の範囲も、被害額の集計方法も異なるため、本レポートの金額を公式推計の上に加算したり、大小だけで妥当性を判断したりすることはできません。

14.復旧の見通し

復旧は地域や施設ごとに進み方が異なります。以下は期限の予測ではなく、優先順位を整理するための目安です。

発災後72時間

最優先は救命です。津波や噴火の危険が続く場所への立ち入りを慎重に判断しながら、閉じ込められた人の救助、重傷者の搬送、火災の拡大防止、飲み水の確保を進めます。海底噴火が続く場合、海上からの救助や空港施設への接近にも制約が生じます。

この段階で必要なのは、被害地図を完成させることよりも、不明な場所を「安全」と扱わないことです。通信が途絶えた地区には、別の手段で状況を確認する必要があります。

1週間~1か月

道路、橋、鉄道、空港、港、水道、電力の安全確認と応急復旧が中心になります。津波で入った泥や漂流物の撤去、降灰の清掃、建物の応急危険度判定も必要です。水道は通水後の水質、道路は開通後の継続的な安全確認が欠かせません。

避難者の居場所が市内外に分散するため、住民票上の所在地だけに頼らず、医療・福祉支援を届ける仕組みが求められます。小規模事業者には、設備の修理費だけでなく、休業中の資金繰りへの対応が重要です。

数か月~数年

住宅再建、事業所の再開、空港・港湾設備の本復旧、沿岸の土地利用の見直しが続きます。噴火で新しい地形や危険区域が生じたという設定なら、従来の位置で建て直せるかどうか自体を検討しなければなりません。

空港や観光施設が再開しても、利用者や取引先がすぐに戻るとは限りません。常滑焼などの地場産業では、失った設備や作品だけでなく、職人の活動場所、販売経路、観光とのつながりを回復することも復興の一部です。

15.被害を減らすために重要なこと

この仮想シナリオから得られる教訓のうち、現実の防災にも通じるのは次の点です。

第一に、揺れへの備えと津波避難を分けずに考えることです。 建物の耐震化や家具固定は、地震による死傷を減らすだけでなく、津波から逃げ始めるための時間と動ける体を守ります。沿岸部では、強い揺れの後に警報を待ってから行動することを前提にしない避難計画が重要です。

第二に、避難路を一本に頼らないことです。 橋、幹線道路、階段が使えない場合を考え、徒歩で行ける複数の経路と、短時間で到達できる安全な場所を確認する必要があります。観光客や空港利用者に伝わる案内も欠かせません。

第三に、空港や港を「被災地を助ける拠点」と見込む前に、施設自体の被災を想定することです。 救援物資や患者搬送を一つの交通手段に依存させず、陸路・海路・他空港への切り替えを準備しておくことが、広域の機能停止を抑えます。

第四に、複数の危険について情報を更新し続けることです。 地震直後に安全に見えた道路が後から浸水することも、噴火や風向きの変化で使えなくなることもあります。避難指示、津波情報、火山に関する情報、交通規制を別々の部署だけで扱わず、住民に矛盾の少ない形で伝える必要があります。

16.総括

常滑市中心部で震度7の地震が起こり、同時に市街地近くの陸上噴火と伊勢湾内の海底噴火まで発生する――これは、現実の地域リスクをそのまま表した想定ではなく、複合災害の弱点を洗い出すための極端な仮定です。

その仮定の下では、住宅倒壊や津波だけでなく、避難経路の破損、噴火による避難先の制約、中部国際空港の孤立、救急医療の逼迫、広域物流の停滞が被害を大きくします。本レポートでは、常滑市内の死者をおおむね1,000~3,500人、極端な悪条件では3,500~6,500人、周辺を含む総経済損失をおおむね3兆~10兆円という検討用の範囲に置きましたが、いずれも公式予測値ではありません。

現実の防災判断では、この仮想数字よりも、愛知県・常滑市の公表する地震・津波の想定、現在のハザードマップ、避難場所、最新の警報・避難情報を優先してください。

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今日にも来るかもしれない津波に備え、自宅に家族分、自家用車に乗車人分、職場にも人数分のライフジャケットを用意しておきましょう!

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※高い標高を基準とした防災移住のご参考に。標高60メートル以上(理想は100メートル以上)を推奨します。候補地は奈良県、京都府、兵庫県、岡山県、群馬県、埼玉県(大宮、所沢)です。地盤の強さも確認し、候補地の周りに豪雨による土砂崩れ、河川の氾濫による浸水の恐れが無いかも確認してください。

極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント? GX入門/身近な疑問vs東大

標高・地盤認知の推奨

ステップ1

あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。

移転予定先の標高も調査しておきましょう!

※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)

ステップ2

あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。

移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!

ステップ3

地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!

海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。

縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?

防災認知ソース

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