名古屋市港区を震源とする大地震・陸上噴火・海底噴火の複合災害想定
結論から言うと、これは公的な被害予測ではなく、現実には成立しにくい三つの現象を同時に起こした場合の「条件付きの仮想シナリオ」です。 とくに、名古屋市港区で火山が新たに噴火することを示す情報は、ここで参照できる公的資料にはありません。地震が起きれば陸上・海底の火山も噴火する、という関係でもありません。
そのうえで、防災上の影響を考えるため、港区中心部で最大震度7の強い揺れが発生し、港区内で陸上噴火、名古屋港に近い伊勢湾内で海底噴火が重なるケースを設定します。日本の震度階級の上限は「7」であり、「震度7以上」に震度8などは含まれません。
この想定で最も深刻なのは、揺れ・液状化・津波・火災・噴火そのものに加え、避難路、名古屋港、物流施設、電力・水道設備が同時に被災し、通常なら使えるはずの避難・救助手段まで失われることです。以下の人数や金額は、地形・人口・建物・噴火規模を用いた数値シミュレーションの結果ではありません。被害の大きさを比較するために置いた仮定と計算例として読んでください。
1.実際の公的想定と、このレポートの境界
名古屋市が公表する南海トラフ地震の「最大クラス」の想定では、港区の最大震度は7、津波の最短到達時間は96分、津波水位の最高値は3.6メートルとされています。これは南海トラフ地震についての想定であり、港区直下の地震や、伊勢湾内の海底噴火についての予測値ではありません。〔名古屋市「震度分布・津波高等」|2025年10月16日更新〕<<1>>
また、愛知県は2026年6月2日に南海トラフ地震の被害予測調査結果を更新し、震度・液状化・津波などのハザード情報を公表しています。しかし、ここで扱う「港区直下の地震+陸上噴火+湾内の海底噴火」は、その調査結果を単純に合算して求められる事象ではありません。〔愛知県「南海トラフ地震被害予測調査結果」|2026年6月2日更新〕<<5>>
とくに津波については、次の違いが重要です。
- 南海トラフ地震の津波:遠方の海底が広範囲で変形して発生するもの。
- このレポートで仮定する局地的な津波:湾内の海底変形、海底噴火に伴う斜面崩壊などで発生するもの。
- 両者の到達時間・高さ:発生位置や仕組みが違うため、南海トラフの「最短96分」「最高3.6メートル」をそのまま転用できない。
以下では、確立している公的情報と、説明のための仮定を分けて記します。
2.仮想シナリオの設定
想定地点は、名古屋市港区の中心部、港区役所周辺を含む市街地・港湾背後地とします。「中心地」に厳密な地理上の一点は指定されていないため、震源位置は数キロメートル単位で固定しません。位置を少し変えるだけで揺れ、浸水、火災の分布は変わります。
発災時刻は、住民・就業者・来訪者がそれぞれ異なる場所にいる平日の昼間と仮定します。これは死者数を最大化するためではなく、学校、事業所、港湾施設、道路が同時に使われている状況を検討するためです。夜間や大型イベントの開催中なら、被害の形は変わります。
設定する現象は次のとおりです。
- 地震:港区付近を震源とする浅い地震が発生し、港区の一部で震度7を観測する。周辺の震度分布、地震の規模、断層の長さは計算していないため確定しない。
- 陸上噴火:港区内の一地点で、地下からマグマまたは高温の流体が上昇し、噴石・火山灰・火山ガスなどを伴う噴火が発生する、と追加で仮定する。
- 海底噴火:名古屋港に近い伊勢湾内の海底で噴火が発生する、と追加で仮定する。
- 局地的な津波:海底の急な隆起・沈降、海底斜面の崩壊など、十分な量の海水を急激に押し動かす現象も起きた場合に限り発生する。
海底で噴火しただけで、必ず大きな津波になるわけではありません。 また、陸上噴火の位置、噴出量、火山灰の粒子、風向、噴火継続時間を指定しなければ、被害区域を精密に描くことはできません。このレポートは「被害が重なった場合に何が起こり得るか」を検討するもので、「港区で噴火が起こりそうだ」という予測ではありません。
3.発災直後から1年間の進行
発災から数分:揺れが避難能力を奪う
震度7の区域では、耐震性の低い建物の倒壊、外壁・看板・天井材の落下、家具や設備の転倒が生じ得ます。揺れが収まっても、室内の散乱物や変形した出入口によって外へ出られない人が出ます。停電でエレベーターが止まり、通信が集中して家族や勤務先と連絡が取りづらくなります。
港湾施設では、岸壁・荷役機械・倉庫・配管・タンクを支える地盤が損傷するおそれがあります。港区や周辺の埋立地・低地では、揺れそのものに加えて液状化が問題になります。液状化とは、地下水を含む砂質地盤が強い揺れで一時的に強度を失い、地面が沈んだり横へ動いたりする現象です。建物が倒壊しなくても、道路の段差、マンホールの浮き上がり、地中の水道管・ガス管の破損が起こり得ます。
この段階で津波や噴火の危険が判明しても、全員が直ちに移動できるとは限りません。車いす利用者、入院患者、乳幼児連れ、倒壊建物に閉じ込められた人には支援が必要です。
数分から数十分:火災、噴火、局地的な海面変動
陸上噴火が住宅地や事業所の近くで発生した場合、火口近くでは噴石、熱、火山ガス、地面の亀裂が直接の脅威になります。噴火が水と接触して爆発的になる、あるいは可燃物へ着火する、といった展開も条件次第では考えられます。ただし、大規模な火砕流や大量の溶岩が必ず発生すると決めつけることはできません。
海底噴火によって海面が変色し、浮遊物やガスが生じれば、船舶の航行や港の操業に支障が出ます。さらに海底の急激な変形・崩壊を伴えば、湾内の局地的な波が沿岸へ向かいます。この場合、震源や波源が近ければ、避難に使える時間は数分から数十分という設定もあり得ます。これは今回の仮想条件を示す幅であり、港区沿岸について計算した到達予測ではありません。
湾内では、地形、岸壁、水路の向き、潮位によって海面変動の現れ方が変わります。第一波が最大とは限らず、引き波で船や設備が動いた後に次の波が入ることも想定しておく必要があります。
数十分から24時間:複合災害になる
沿岸部に浸水が生じる場合、水だけでなく、漂流する車両・コンテナ・木材・船舶、油類、壊れた建材などが危険を増やします。津波警報などに基づく避難が必要な場面で、海岸や河口へ見に行くことは極めて危険です。
同じころ、火山灰が降れば視界が悪化し、濡れた灰で路面が滑りやすくなります。灰は吸い込むと健康上の問題を起こし得ますし、機械の吸気口や電気設備、排水施設にも影響します。ただし、降灰量は風向や噴火規模を指定しない限り計算できません。
問題は、危険が一つずつ順番に来るとは限らないことです。倒壊建物から救助すべき人がいる一方で、救助隊も浸水や噴火に備えて退避を迫られます。避難施設が無事でも、そこへ通じる橋や道路が通れない可能性があります。
2日目から数週間:生活と経済の停止
地震直後の危険が落ち着いても、断水・停電・排水不良・交通規制が続けば自宅で暮らせません。港の安全確認、航路の障害物除去、道路・岸壁の点検、危険物施設の調査には時間がかかります。
避難者には、住宅を失った人だけでなく、建物は残っていても水が使えない人、噴火地点や浸水区域への立ち入りが制限された人、医療的ケアを継続するため域外へ移る人も含まれます。被害が広域に及べば、受け入れ先の学校・病院・宿泊施設にも負荷がかかります。
数か月から1年:復旧しても損失が残る
電力が戻っても工場や倉庫が直ちに再開できるとは限りません。機械の点検、浸水設備の交換、道路・航路の復旧、原材料の再調達、取引先の変更が必要です。住宅再建には土地の安全確認や資金調達も伴います。
死亡・負傷、失業、長期避難、地域の分断による影響は、1年間の経済額だけでは表せません。学校の再開が遅れたり、介護を受ける場所が変わったりする負担も残ります。
4.津波・浸水の詳しい想定
このケースの津波には、「起きるかどうか」と「起きた場合にどの程度になるか」という二段階の不確実性があります。
海底噴火が比較的小さく、海底の大きな変形や斜面崩壊を伴わなければ、沿岸に深刻な津波を生じない可能性があります。反対に、大きな海底変形を追加で仮定すれば、港周辺で危険な浸水を考える必要があります。しかし、波源の位置・移動した海水量・海底地形が未設定のまま、「津波は何メートル」と予測することはできません。
被害検討のためには、例えば港の一部の岸壁付近で、通常の水位より数メートル規模で水面が上がる条件を仮置きする方法があります。ただし、この「数メートル」は計算結果ではなく、浸水した場合の影響を点検するための入力条件です。名古屋市が公表する南海トラフ地震の津波水位最高3.6メートルと、数値だけを比較して安全・危険を判定してはいけません。波の発生源、到達時刻、浸水の広がりが異なるためです。<<1>>
浸水被害を左右するのは波の高さだけではありません。
- 潮位:満潮に近ければ、同じ海面変動でも陸地へ水が入りやすくなります。
- 地盤沈下と液状化:地震で地面や護岸が沈下・損傷すれば、浸水しやすい場所が変わります。
- 水門・排水施設の状態:停電や破損で操作・排水ができない場合、浸水が長引きます。
- 河川・運河への遡上:海岸線から離れた場所にも水が達する可能性があります。
- 漂流物:浸水深が比較的浅くても、漂流物の衝突でけがや建物の損傷が起こります。
また、港区内で噴火に伴う堆積物が排水路をふさげば、津波が引いた後も排水しにくくなるかもしれません。津波による海水、噴火による灰、地震による地盤変状が重なることで、通常の浸水想定より復旧が難しくなる、というのがこの複合シナリオの特徴です。
実際の避難判断では、このレポートの仮定した時間や水位ではなく、気象庁・自治体の発表と、その場所の避難情報を優先する必要があります。
5.人的被害:死者・負傷者・避難者
死者数を正確に予測できない理由
死者数を決めるには、少なくとも、各地区の人口と昼夜の滞在者数、建物の耐震性、津波の浸水深と到達時間、噴火位置・規模、火災の広がり、避難開始までの時間が必要です。これらを設定していない以上、特定の死者数を「港区で起きる予測」として提示することはできません。
それでも規模感を示すため、港区だけでなく周辺の浸水・倒壊・火災区域も含め、重い生命危険にさらされる人を仮に40万人と置いた計算例を示します。40万人は公表済みの対象人口でも、実測された危険区域の人口でもありません。
- 仮に、そのうち0.2%が死亡する条件なら、800人。
- 仮に1%なら、4,000人。
- 避難の遅れや救助の困難が著しく、仮に3%なら、1万2,000人。
したがって、この仮定から機械的に得られる範囲は800~1万2,000人です。これは地震工学・津波計算・火山シミュレーションから算出した死者予測ではなく、「対象40万人」と「死亡割合0.2~3%」を置いた掛け算にすぎません。実際には、波が発生しなければ小さくなり得ますし、対象区域・噴火規模・火災の拡大によってはこの枠自体が適切でなくなります。
重複にも注意が必要です。同じ人を「建物倒壊による危険」「津波による危険」「噴火による危険」にそれぞれ数え、足し合わせると死者数を過大評価します。一方、発災後の医療途絶による死亡を見落とすと過小評価します。正式な推計には、一人を一度だけ数える方法と、直接死・災害関連死を区別する方法が必要です。
負傷者と医療への影響
負傷の原因は倒壊建物による圧迫だけではありません。ガラス・外壁の落下、火傷、煙の吸入、津波の漂流物、灰による目や呼吸器の症状などが重なります。港湾や工場内では、設備停止時の事故や危険物への接触も考える必要があります。
患者を運ぶ救急車があっても、道路が通れず、受け入れ病院に水・電力・医薬品が届かなければ治療能力は落ちます。透析、酸素療法、インスリンの保管、在宅医療など、毎日または定期的な支援を必要とする人への影響も重大です。患者の搬送先を市外まで広げる必要が生じる可能性があります。
負傷者数には、ここで信頼できる数値を付けません。 死者数以上に、軽傷から重症までの定義と集計範囲で値が変わり、根拠のない数値を置くと医療需要を誤って伝えるためです。
避難者の規模感
広域に停電・断水・立ち入り制限が重なるという強い仮定のもとでは、港区および周辺市区を合わせて、一時的な避難・転居を要する人を20万~60万人と置く検討例は考えられます。ただし、これも実人口や避難率から算出した予測ではありません。また、「発災当日の避難人数」「避難所で寝泊まりする人数」「数週間以上の転居人数」は異なります。
避難所の収容人数だけを見ても対応できません。自宅の上階に安全を確保する人、親族宅へ移る人、ホテルを利用する人、病院や福祉施設へ搬送される人がいます。他方、火山ガスや浸水の危険がある場所では、建物が残っていてもそこにとどまれない場合があります。
6.住宅・建物・都市基盤の被害
建物被害には、全壊・半壊だけでなく、使用できないが外見からは分かりにくい被害があります。液状化で建物が傾く、配管が壊れて水が出ない、受変電設備が浸水する、灰が機械に入り込むといった状態です。
広域の経済計算用に、港区と周辺地域で5万~15万棟が何らかの修理・建て替えを要するという仮定を置くことはできます。しかし、これも計測された被災棟数ではありません。特に「5万~15万棟すべてが全壊する」という意味ではなく、被害程度の異なる建物を合計した入力条件です。
都市基盤では、次のような連鎖が考えられます。
- 道路・橋梁:路面の段差、橋の取り付け部の損傷、漂流物や灰による通行止め。見た目に無事でも安全点検が終わるまで使えない場合があります。
- 鉄道・公共交通:線路や駅設備の点検、電力・信号設備の停止、駅周辺の浸水による運休。代替バスも道路被害の影響を受けます。
- 電力:変電・配電設備の損傷や浸水。停電はポンプ、通信、冷蔵設備、医療機器に波及します。
- 上水道・下水道:地中管の破損、ポンプ停止、排水能力の低下。浸水後の衛生環境にも直結します。
- 通信:停電や設備損傷に加え、安否確認・通報の集中でつながりにくくなります。
- 港湾施設:岸壁の変形、コンテナや荷役機械の転倒・損傷、航路上の障害物、船舶の安全確認によって操業が止まります。
復旧は「壊れた箇所を直す」だけでは終わりません。道路を通して資材を運び、電力を回復して排水設備を動かし、浸水区域を排水してから設備を調査する、といった順序が必要です。複数の設備が互いを復旧の前提にしていることが、期間を長引かせます。
7.名古屋港、空港、産業活動への影響
名古屋港
この想定で経済被害が特に大きくなる経路は、名古屋港の機能低下です。荷役設備や道路が損傷し、航路に障害物があれば、船が着けられても貨物を運び出せません。逆に陸側が無事でも、航路・岸壁の安全が確認できなければ港は使えません。
コンテナ、完成車、原材料、燃料などは、種類によって代替港への振り替えの難しさが違います。振り替えが可能でも、受け入れ側の岸壁能力、倉庫、トラック、鉄道、通関体制に限界があります。貨物をほかの港へ回した費用と、実際に失われた生産額は分けて考える必要があります。
港区周辺の事業所そのものが被災すれば、完成品を輸出できないだけでなく、部品や原材料が入らず、別の地域の工場まで操業を調整する可能性があります。ただし、港の取扱貨物額をそのまま「経済損失額」として数えてはいけません。遅れて輸送できる貨物、ほかの港に振り替えられる貨物、実際に生産が失われる貨物を区別する必要があるためです。
中部国際空港と航空輸送
中部国際空港は港区内にはありません。したがって、港区中心部の地震というだけで、滑走路がどの程度損傷するかは決められません。一方、広域の揺れ、停電、アクセス交通の停止、降灰、湾内の海面変動が空港周辺にも及ぶ条件なら、航空機の運航や旅客・航空貨物の移動に影響し得ます。
特に降灰は、飛行経路、滑走路、地上設備への影響を確認しなければなりません。「空港が必ず水没する」「長期間閉鎖する」とは、この設定から断定できません。 港湾と空港を同時に使えない条件を置く場合、被害は一段と大きくなりますが、それは追加の仮定です。
周辺地域への波及
交通と物流の停滞は、港区以外の製造業、小売業、医療機関、建設業にも広がります。企業が在庫でしのげる日数、代替調達先の有無、交通がどの順番で復旧するかによって、影響は大きく変わります。
また、復旧工事には資材・人手・仮設住宅が必要です。調達競争が起これば工期や費用が増える可能性があります。一方で、復旧のための支出が増えることを「失われた豊かさの回復」と混同してはいけません。支出が増えても、災害がなければ使わずに済んだ資源が投入されています。
8.火山特有の影響
陸上噴火
火口近くの被害範囲は、噴火様式に強く左右されます。主な危険は噴石、火山灰、火山ガス、熱、地面の変形です。大きな噴石は遠くまで一様に降るわけではなく、火口の位置や噴火の勢いによって危険域が変わります。火山ガスも種類、濃度、風向、地形によって危険な場所が移ります。
市街地での噴火では、「建物内に入れば常に安全」とは言えません。火口のすぐ近くでは構造物への衝撃やガスが問題になり、離れた場所では灰から身を守る行動が重要になるなど、必要な対応が異なります。公式の立ち入り規制が出た場合は、それに従う必要があります。
火山灰が降ると、呼吸器への負担だけでなく、交通標識・路面の見えにくさ、換気設備の目詰まり、飲料水の確保、排水溝の閉塞など、生活の広い部分に影響します。ただし、「港区全域に何センチ降る」といった数値は、このシナリオの情報だけでは算出できません。
海底噴火
海底噴火では、海中のガスや浮遊物、海水温・水質の変化、航路の変化が問題になります。船舶にとっては、津波が生じなくても、視界や安全水深、漂流物の状況が不確かになれば危険です。
津波が生じるかは、爆発の有無だけでなく、どの程度の海水が急激に動くかによります。したがって、「海底火山が噴火する=名古屋市内に巨大津波が来る」ではありません。逆に、湾内の近い場所で十分な海底変形が起きるという追加条件を置いた場合には、遠方から来る津波と違い、短い時間で避難判断を要する可能性があります。
9.経済被害・経済損失の試算例
ここでは、意味の違う二つの金額を分けます。
- 直接被害:建物、設備、道路、港湾施設など、壊れたり使用不能になったりした資産の損失。
- 間接的な経済損失:操業停止、物流停滞、販売機会の喪失などによる、一定期間の経済活動の減少。
次の数字は、港区単独ではなく周辺地域への被害拡大を含めた仮想的な計算例です。愛知県や名古屋市の公式試算ではありません。
直接被害:仮に4兆~15兆円
内訳を考えるため、以下の幅を置きます。
- 住宅・店舗・工場・倉庫などの建物と付帯設備:1兆~6兆円。
- 道路、橋、港湾、水道、下水道、電力などの基盤:2兆~5兆円。
- 工場の機械、在庫、車両、荷役機械など:1兆~4兆円。
単純な合計は4兆~15兆円です。ただし、これは各項目の仮定を足したもので、実際の資産台帳から積み上げた数字ではありません。「建物の付帯設備」と「機械設備」、「港湾施設」と「荷役機械」の境界を統一しなければ二重計上が起こるため、正式な査定では項目ごとに整理し直す必要があります。
例えば、被害を受ける建物を仮に5万~15万棟と置いても、全棟に同じ修理費を掛けることはできません。建て替えが必要な建物と、設備の交換や部分修理で済む建物では金額が大きく異なります。したがって、この4兆~15兆円を「計算で導いた確からしい予測範囲」と扱うべきではありません。
間接的な経済損失:最初の1年間で仮に1兆~6兆円
港の停止、事業所の休業、通勤・物流の寸断が続くという条件のもと、発災後1年間に実際に失われる経済活動を1兆~6兆円と仮置きします。ここでいう損失は、取扱貨物の総額や、営業できなかった日の売上高を単純に足した額ではありません。後から生産して取り戻せる分、他地域で代替できる分、企業間取引の重複を除く必要があります。
直接被害の仮置き4兆~15兆円と、1年間の間接損失の仮置き1兆~6兆円を、定義が重ならないよう整理できたと仮定すれば、合計5兆~21兆円という検討用の幅になります。これも公式予測ではありません。復旧が1年以上に及べば、その後の損失を別に計算する必要があります。
さらに、死亡や健康被害、教育の中断、生活環境の悪化をこの金額だけで十分に表すことはできません。金額が同じでも、命や住まいを失う人への影響は置き換えられません。
10.被害が大きく変わる分岐点
このレポートの幅が広いのは、単なる「誤差」ではありません。次の条件が変わると、災害の性質自体が変わります。
第一に、海底噴火が大きな海底変形を伴うか。 伴わなければ、想定した津波被害は大幅に小さくなり得ます。伴う場合も、波源の位置と規模を計算しなければ浸水域は決まりません。
第二に、噴火がどこで、どの程度続くか。 火口が市街地・危険物施設・重要な交通路に近いかどうか、噴火が短時間か長期間かによって、死傷者と経済損失は変わります。
第三に、地震とほかの現象の順番です。 地震から十分時間が空けば、設備を止め、危険区域から人を離せるかもしれません。同時に起これば、その余裕がありません。逆に、先に噴火で交通規制が敷かれているところへ地震が起きても、避難は難しくなります。
第四に、地盤と施設の損傷です。 揺れに耐えた施設でも、地盤が沈み、電気設備が浸水すれば機能しません。堤防・護岸・水門・ポンプがどの程度使えるかは、浸水域に直結します。
第五に、人のいる時間帯です。 昼間は港湾・工場・学校・商業施設での滞在者が増えます。夜間は自宅での被害が中心になります。休日や大規模イベントの有無も、駅や道路での混雑を変えます。
第六に、避難情報が伝わるか。 携帯電話が使えない、停電で放送が聞こえない、観光客が避難先を知らない、といった条件は避難開始を遅らせます。危険が迫る時間だけでなく、情報を理解し、安全な場所まで移動できる時間を考える必要があります。
11.実際にこの規模を推計するために必要な調査
精度のある被害想定を作るなら、まず地震・陸上噴火・海底噴火をそれぞれ独立した入力条件として明示する必要があります。そのうえで、同じ人・建物・設備を重複して数えない統合モデルを作ります。
最低限、次の情報が必要です。
- 地震の設定:震源位置、深さ、断層の向きと大きさ、揺れの分布、地盤条件。
- 陸上噴火の設定:火口位置、噴出量、継続時間、噴石・灰・ガスの性質、気象条件。
- 海底噴火・津波の設定:海底地形、海底変形量、斜面崩壊の有無、潮位、護岸の被災状態。
- 地区別の曝露情報:昼夜・平日休日ごとの滞在者、建物用途、耐震性、要支援者の分布。
- 避難・救助条件:徒歩で使える経路、垂直避難先、道路閉塞、通信障害、消防・医療の稼働能力。
- 資産・経済情報:建物と機械の資産額、港の停止期間、企業の在庫、代替輸送能力。
- 複合被害の処理:倒壊後に浸水した建物などを一件として扱い、人的被害と金額の二重計上を防ぐ方法。
こうした情報を使い、単一の数字ではなく、「津波なし」「局地的な浸水あり」「交通・港湾の長期停止あり」など複数の条件で結果を比較するのが適切です。とくに噴火は現実の港区について確立した発生条件をここで示せないため、実際の防災計画にそのまま採用することはできません。
12.総合評価
この極端な複合シナリオでは、被害の核心は「強い揺れに、すぐ次の危険が重なる」点にあります。建物倒壊や液状化で避難・救助能力が落ちたところへ、噴火による立ち入り制限と、条件次第では湾内の局地的な津波が加わります。名古屋港や都市基盤が同時に止まれば、被害は港区の外へも広がります。
規模感を示すための仮定に基づく計算例を一か所にまとめると、以下のとおりです。
- 津波:海底噴火だけでは発生・規模を確定できない。大きな海底変形などを伴う場合、近い沿岸では避難可能時間が短いケースを検討する必要がある。
- 死者:危険にさらされる人を仮に40万人、死亡割合を0.2~3%と置くと、800~1万2,000人。公的な死者予測ではない。
- 一時的な避難・転居:広域のライフライン停止まで仮定すると、周辺地域を含め20万~60万人という検討用の設定。ただし、避難所滞在者数とは異なる。
- 建物被害:周辺地域を含め、修理・建て替えを要する建物を仮に5万~15万棟と設定。全棟が全壊する意味ではない。
- 直接被害:建物・設備・都市基盤について仮に4兆~15兆円。
- 最初の1年間の間接損失:操業・物流停止などについて仮に1兆~6兆円。
- 金額の合計例:重複を除けた場合に限り、5兆~21兆円。命や健康、生活への影響は十分に含まない。
これらの数値は、港区で予測されている被害ではありません。 とりわけ陸上・海底噴火を伴う設定は、現実の発生可能性を示すものではなく、複数の危険が同時に起きたときの弱点を考えるための仮定です。実際の備えを検討する際は、この仮想的な死者数や金額よりも、名古屋市・愛知県が公表する地震、液状化、津波のハザード情報と、居場所ごとの避難先を確認することが優先されます。
防災関連情報
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今日にも来るかもしれない津波に備え、自宅に家族分、自家用車に乗車人分、職場にも人数分のライフジャケットを用意しておきましょう!
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※高い標高を基準とした防災移住のご参考に。標高60メートル以上(理想は100メートル以上)を推奨します。候補地は奈良県、京都府、兵庫県、岡山県、群馬県、埼玉県(大宮、所沢)です。地盤の強さも確認し、候補地の周りに豪雨による土砂崩れ、河川の氾濫による浸水の恐れが無いかも確認してください。
極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント? GX入門/身近な疑問vs東大
標高・地盤認知の推奨
ステップ1
あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。
移転予定先の標高も調査しておきましょう!
※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)
ステップ2
あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。
移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!
ステップ3
地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!
海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。
縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?
防災認知ソース
今日のシューマン共鳴予報(ライブ周波数チャート&健康影響)
PM2.5 環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)
移住・住宅・移住先の仕事
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