愛知県犬山市直下の震度7級地震と火山噴火・海底火山噴火が重なった場合の複合災害想定
0. 本レポートの位置づけと前提
0-1. 公的予測との関係
- 本レポートは、公的機関の被害想定ではありません。ご指定の極端な条件を仮定して組み立てた思考実験的シナリオです。
- 数値はすべて「仮定に基づく幅」です。実際の被害は、発生時刻、季節、天候、建物の耐震化率、火災の延焼、対応の速さで大きく変わります。
- 参考にした公的情報は次のとおりです。
- 犬山市の既存の被害予測(東海・東南海連動時)では、震度5強が市域の約26%、建物全壊・死者は「若干」、帰宅困難者は約12,000人とされています(犬山市防災交通課、令和2年4月1日更新)。<<1>>
- 愛知県の南海トラフ地震被害予測調査(愛知県防災会議地震部会、2026年6月)では、犬山市の震度は過去地震最大モデルで5強、理論上最大モデルで6弱です。県全体では建物被害約36.7万棟、死者約2.7万人、経済被害は直接約19.4兆円・間接約3.4兆円とされています。<<3>>
- 内閣府(令和元年6月)の南海トラフ巨大地震の経済被害想定では、資産被害が基本ケース100.5兆円、陸側ケース171.6兆円です。サプライチェーン寸断による全国的な波及も重視されています。<<4>>
- 犬山市は、南海トラフ地震、木曽川の外水、入鹿池、土砂災害などのハザードマップを公開しています(令和8年3月31日更新)。<<2>>
- 上記のとおり、公的想定での犬山市は震度5強〜6弱です。「市中心部直下で震度7以上」は、それを大きく上回る仮想の局地的内陸直下地震です。
0-2. シナリオの設定(仮定)
| 項目 | 仮定内容 |
|---|---|
| 地震 | 犬山市中心部(犬山城・名鉄犬山駅周辺)直下、深さ約10km、M7.3〜7.8級の内陸直下型。市中心部で震度7、周辺で震度6強〜7 |
| 発生時刻 | 冬の平日18時頃を基本とし、早朝5時台と平日昼12時台を比較する |
| 陸上の噴火 | 愛知県内に活火山はないため、現実には起こりにくい事象。仮想の割れ目噴火や、同時期の遠方火山(御嶽山など)の噴火による降灰を、幅を持たせて想定する |
| 海底火山噴火 | 伊勢湾・三河湾・遠州灘方面で海底噴火が発生し、噴火に伴う津波・軽石・海上交通障害が生じると仮定する |
| 地域の前提 | 犬山市の人口は約7万人台、周辺の小牧市・春日井市・江南市・岩倉市・各務原市などを含む広域圏への波及を考える |
0-3. 津波についての重要な注意
犬山市は海に面していません。市内で「海からの津波」は起こらず、津波リスクは次の経路で考えます。
- 伊勢湾・三河湾沿岸(名古屋港、知多半島、三河湾)に到達する海底噴火起因の津波。これは県全体の物流・経済への影響として効いてきます。
- 内陸の水害型の「津波様」被害。具体的には入鹿池(ため池)の損傷による溢水、木曽川の堤防損傷による氾濫、地震後の降雨による洪水です。これらは市内の人的被害に直結しうるため、本レポートでは「内陸の津波的被害」として別に扱います。
1. 全体像(先に結論)
| 区分 | 犬山市内 | 周辺広域(尾張北部・岐阜県南部) | 愛知県全体への波及 |
|---|---|---|---|
| 死者(仮定) | 約1,500〜6,000人 | 約3,000〜1万5,000人(市内含まず) | 海底噴火津波を含め追加で数百〜数千人 |
| 建物全壊・焼失 | 約1.2万〜2.5万棟 | 約3万〜8万棟 | 港湾・沿岸の浸水等で追加 |
| 避難者(ピーク) | 約3万〜5.5万人 | 約20万〜50万人 | 全県で100万人規模も |
| 経済損失(直接) | 約1.5兆〜4兆円 | 約8兆〜20兆円 | 全国のサプライチェーン影響を含む |
| 経済損失(間接) | 約1兆〜3兆円 | 約5兆〜15兆円(1〜2年) | 全国に波及 |
これらは「幅」であり、中央的な見積もりは、市内の死者約3,000人前後、全壊・焼失約1.7万棟前後、直接被害約2.5兆円前後です。ただし幅の理由は、建物の築年数、夜間人口、火災の拡大、土砂災害の有無にあります。
2. 地震そのものの想定
2-1. 揺れの分布
- 市中心部(犬山城下町、名鉄犬山駅周辺、犬山橋周辺)は震度7が想定されます。
- 木曽川沿いの低地、扇状地末端、旧河道は表層地盤が軟弱で、揺れが増幅し、液状化も起きやすくなります。
- 東部の丘陵・台地(善師野、継鹿尾、羽黒周辺)は、揺れは相対的に小さい一方、造成地・盛土・斜面で崩壊の危険が高まります。
- 周辺の小牧市、江南市、岩倉市、扶桑町、大口町、各務原市、可児市は震度6強〜6弱程度が見込まれ、広域災害になります。
- 名古屋市中心部は震度5強〜6弱程度で、長周期地震動による高層ビルの影響も出ます。
2-2. 揺れの継続と余震
- 本震の強い揺れは20〜40秒程度続くと仮定します。
- 本震後の24時間以内に、震度6弱以上の余震が複数回起きる可能性があります。
- 余震のたびに、既に損傷した建物の倒壊、斜面の崩壊、避難所の天井落下などが重なります。
2-3. 参考となる歴史的事例
- 1891年の濃尾地震(M8.0)は、愛知・岐阜で約7,000人以上の死者を出した、日本の内陸地震史上最大級の災害です。犬山周辺も大きな被害を受けた地域です。
- 犬山は、濃尾平野北端にあたり、断層帯と河川に挟まれた地形です。このため、直下型地震の想定は「あり得ない想定」とは言い切れず、備えを考える材料になります。
- 1995年の阪神・淡路大震災は、都市直下で震度7となり、死者約6,400人、全壊約10.5万棟という被害でした。木造密集地の火災・圧死が主因でした。本想定でも同様の構造が出ます。
3. 建物被害の想定
3-1. 犬山市内
犬山市中心部は、城下町の木造密集地、旧耐震(1981年以前)の住宅、商店街、古い寺社、文化財が集中しています。
| 項目 | 想定(幅) | 備考 |
|---|---|---|
| 全壊・焼失棟数 | 約1.2万〜2.5万棟 | 旧耐震木造、城下町、低地の液状化地帯で顕著 |
| 半壊棟数 | 約1.5万〜3万棟 | 市内建物総数に対し半数規模の被害 |
| 液状化による被害 | 約3,000〜8,000棟 | 木曽川沿いの低地、宅地造成地 |
| 急傾斜地崩壊・土砂災害 | 数百〜2,000棟 | 丘陵部、造成地、東部の山麓 |
| 火災による焼失 | 約1,000〜6,000棟 | 冬の夕方は火気使用が多く最大化 |
3-2. 文化財・観光資源
- 国宝犬山城は、現存12天守の一つで、天守の石垣・建物の損傷が予想されます。倒壊までは至らない可能性もありますが、重大な損傷は避けがたいでしょう。
- 城下町(本町通り周辺)の町家、寺社、旧家屋は倒壊・火災の危険が高いです。
- 博物館明治村、リトルワールド、日本モンキーパークなど、貴重な建築物・展示物・動物施設は大きな損傷が見込まれます。
- 文化財の喪失は、金額換算が難しい「取り返しのつかない損失」です。観光産業の回復にも長期にわたる影響が出ます。
3-3. 公共施設・インフラ建築
- 市役所、消防署、病院、学校、体育館は、耐震化済みでも設備損傷や機能停止の可能性があります。
- 避難所に指定されている学校体育館は、非構造部材(天井・照明)の落下で、使えなくなる施設が出ます。
- 橋梁(犬山橋、犬山頭首工周辺など)、鉄道(名鉄犬山線・小牧線・広見線)、道路は、被災と通行止めが発生します。
4. 津波・水害(内陸型と沿岸型)
4-1. 犬山市内での水害リスク(内陸の津波様被害)
犬山市は入鹿池(愛知県最大のため池)、木曽川、五条川、郷瀬川などの水系を持ちます。市はこれらについてハザードマップを公開しています。<<2>>
入鹿池
- 入鹿池は愛知県最大級のため池で、堤体や取水設備が損傷した場合、下流域に溢水・氾濫が及ぶ危険があります。
- 本震で堤体に亀裂・沈下が生じた場合、最悪の場合は決壊・越流が起こり、下流の集落・低地が浸水します。決壊に至らなくとも、水位低下の緊急放流が必要になり、下流側の避難指示が出るでしょう。
- 仮定(幅)として、決壊に至る確率は低いものの、起きた場合は数百人規模の死者(200〜800人)と数千棟規模の浸水被害が予想されます。ここでは「リスクとして低確率・高被害」で扱います。
木曽川
- 木曽川の堤防が地震で沈下・亀裂を起こすと、地震後の降雨、上流の増水、ダム放流で、氾濫の可能性が高まります。
- 冬季なら増水リスクは低めですが、梅雨・台風期の発生であれば危険度は一段と上がります。
- 堤防の液状化被害は、地震の直後だけでなく、復旧までの数週間〜数か月にわたって「無防備な期間」をつくります。
土砂災害
- 東部丘陵の斜面や造成宅地では、地震で崩壊・地すべりが生じ、直後に降雨があれば二次災害になります。
- 河道閉塞(土砂による一時的なダム)が起きた場合、決壊による土石流の可能性があります。
4-2. 海底火山噴火による津波(沿岸部)
仮定として、伊勢湾〜遠州灘方面で海底火山噴火が起こり、津波が発生した場合を想定します。
| 地域 | 到達時間(仮定) | 津波高(仮定) | 影響 |
|---|---|---|---|
| 伊勢湾奥(名古屋港、港区、海部地域) | 30〜90分 | 2〜5m | 港湾・低地の浸水、ゼロメートル地帯の長期浸水 |
| 知多半島沿岸 | 20〜60分 | 3〜8m | 漁港・工業地帯・住宅地の被害 |
| 三河湾(渥美半島、蒲郡、西尾) | 15〜50分 | 3〜10m | 漁港、観光、化学・自動車関連工場 |
| 遠州灘沿岸(浜松以西) | 数分〜30分 | 5〜15m | 数百〜数千人規模の死者の可能性 |
ただしこの津波は、犬山市の被害とは別枠で、愛知県全体の被害を押し上げます。内陸の直下型地震で緊急車両・救援・物資が犬山・尾張北部に集中する時に、沿岸の津波が重なると、広域的な救助資源の取り合いが起きます。
4-3. 津波に関する死者数(仮定)
- 犬山市内の津波による死者は、ほぼゼロです。ただし入鹿池や木曽川が絡めば「津波様の水害」として上記の死者が出ます。
- 沿岸の津波による死者は、噴火の規模と警報の伝達度合いに左右され、仮に数百〜3,000人規模になりえます。
- 愛知県の南海トラフ被害予測(理論上最大)で想定される津波・浸水の被害規模を見ても、沿岸の備えは重要です。<<3>>
5. 火山噴火の想定
5-1. 愛知県内の火山事情
- 愛知県内には、気象庁が常時観測する活火山はありません。このため、「犬山市の中心地で火山が噴火する」という事象は、現在の科学的知見では想定しにくい仮想条件です。
- 本レポートでは、ご指定のシナリオに沿い、次の2つの形で扱います。
- 仮想の割れ目噴火(局所的なマグマ噴出)を想定する。これは極めて起こりにくい事象として「感度分析」的に取り扱う。
- 現実的に近い想定として、御嶽山、富士山、浅間山などの噴火による広域降灰を考える。
5-2. 仮想の局所的噴火(犬山周辺)
仮定:
- 噴火規模は小〜中規模(火山灰噴出が主、溶岩流・火砕流は限定的)。
- 影響範囲は半径数km〜十数km。
想定される被害:
- 噴火地点付近は、火砕物落下・噴石・火砕流で立入不能となり、死者は数百人規模(100〜800人)。
- 降灰は、風向きにより、名古屋方面(南東)または岐阜方面(北西)へ流れる。
- 地震で損壊した建物の屋根に降灰が重なり、荷重で倒壊が進行する。湿った火山灰は1平方メートルあたり数十kgになり、木造屋根では危険水準です。
- 避難は、地震による道路寸断と重なり、極端に困難です。
5-3. 広域降灰の影響(御嶽山・富士山など)
遠方火山の噴火による降灰を併せて仮定します。
| 降灰厚(仮定) | 主な影響 |
|---|---|
| 1cm未満 | 視界不良、呼吸器症状、鉄道・航空の運休、農作物への被害 |
| 1〜10cm | 道路の通行困難、電力設備の碍子汚損による停電、浄水場の濁り、屋根荷重 |
| 10cm以上 | 木造家屋の損壊の可能性、長期の物流停止、除灰の限界超過 |
- 降灰時は、雨が加わると灰が重くなり、停電・断水・交通麻痺が悪化します。
- 精密機械・自動車・半導体関連の工場は、空気中の灰の影響で稼働停止になりえます。
- 名古屋空港(県営名古屋空港、小牧)、中部国際空港は、降灰による滑走路閉鎖と視界不良で、運航が止まります。
6. 人的被害の想定
6-1. 犬山市内の死者・負傷者
| 要因 | 死者数(仮定の幅) | 説明 |
|---|---|---|
| 建物倒壊・家具転倒 | 約800〜3,500人 | 旧耐震木造、城下町、冬の夕方〜夜間が最大 |
| 火災 | 約100〜1,200人 | 同時多発火災、消防力不足、水道断水 |
| 液状化・地盤災害 | 数十〜200人 | 低地の宅地、河川沿い |
| 土砂災害 | 約50〜300人 | 丘陵部、斜面、造成地 |
| 入鹿池・堤防の水害(低確率) | 0〜800人 | 決壊した場合のみ |
| 噴火関連(局所噴火を仮定) | 0〜800人 | 現実には想定しにくい仮想条件 |
| 災害関連死(発災後の長期) | 約300〜1,500人 | 高齢者、持病、避難所環境、医療停止 |
| 合計 | 約1,500〜6,000人(中央約3,000人) | 時間帯・季節で大きく変動 |
6-2. 負傷者・要救助者
- 負傷者は、数万人規模(重傷者3,000〜1万人、軽傷者を含め2万〜4万人)と見込まれます。
- 倒壊家屋に閉じ込められた要救助者は、市内だけで数千人〜1万人規模に達しえます。
- 消防・警察・自衛隊が、同時に周辺市町(小牧、春日井、江南など)でも対応しなければならず、1つの現場に十分な人員が届かない状態が続きます。
6-3. 時間帯による差
| 時間帯 | 状況 | 死者の傾向 |
|---|---|---|
| 冬の早朝5時 | 就寝中。木造住宅の倒壊で圧死が多い | 建物倒壊による死者が最大化 |
| 平日昼12時 | 学校・職場に分散。観光客も多い | 建物倒壊は減るが、帰宅困難者・観光客の被害が増える |
| 冬の夕方18時 | 火気の使用。帰宅ラッシュ | 火災による死者が最大化。交通麻痺も加わる |
6-4. 観光客・帰宅困難者
- 犬山市の既存想定でも、帰宅困難者は約12,000人とされています。<<1>>
- 本想定では、観光客(城下町、明治村、リトルワールドなど)、通勤・通学者、広域からの来訪者を含め、帰宅困難者は3万〜6万人規模に増えるでしょう。
- 鉄道(名鉄)・道路・橋の寸断で、徒歩帰宅も困難になります。
6-5. 要配慮者
- 高齢者(犬山市の高齢化率は約28%前後)、障害のある方、乳幼児、妊産婦、外国人住民・観光客は、避難や情報入手で困難に直面します。
- 要配慮者の死者・災害関連死の割合は、全体の過半を占める恐れがあります。
- 福祉避難所の不足、介護施設の機能停止、在宅医療・透析・人工呼吸器使用者への電力確保が課題です。
7. ライフライン・インフラの想定
7-1. 電力
- 犬山市内の停電は、発災直後に市内ほぼ全域に及びます。
- 復旧の目安(仮定)は次のとおりです。
- 1日後:30〜50%
- 1週間後:80〜90%
- 1か月後:ほぼ復旧(ただし火山灰・火災地域は別)
- 降灰があれば、碍子の汚損による追加停電が発生します。
7-2. 上水道・下水道
- 断水率は、発災直後に市内で80〜95%と想定します。
- 管路の被害は、液状化地帯で大きくなります。
- 復旧には、1か月から数か月かかる地域も出ます。
- 下水道は、管の損傷・マンホール浮上・処理場の被災で、トイレが使えなくなります。避難所のトイレ問題が深刻化し、感染症・災害関連死に直結します。
7-3. ガス・通信
- 都市ガスは、安全のため供給停止。復旧は数週間〜2か月程度。
- 携帯電話は、発災直後から輻輳(回線混雑)、基地局のバッテリー切れ(半日〜1日)で、通信が困難になります。
- 光回線・固定電話の復旧は、1〜数週間かかります。
7-4. 道路・鉄道・橋
- 国道41号、国道19号、県道、名神高速・東海北陸自動車道、中央自動車道などへの影響。通行止め、橋梁損傷、路面の亀裂・段差。
- 犬山橋、ライン大橋、木曽川に架かる橋の損傷は、愛知・岐阜間の移動を極端に制限します。
- 名鉄犬山線、小牧線、広見線は、数週間〜数か月の運休を覚悟する必要があります。
- 降灰があれば、道路の除灰が追いつかず、緊急車両の通行にも支障が出ます。
7-5. 燃料・物流
- 発災後は、ガソリンスタンドの停電・タンクの損傷で、燃料不足が起きます。
- 緊急車両、発電機、病院の自家発電用の燃料確保が重要課題になります。
- 名古屋港が津波・噴火の影響を受ければ、燃料・物資の広域輸送も止まります。
8. 医療・保健・福祉への影響
8-1. 医療機関の被災
- 犬山中央病院、江南厚生病院、小牧市民病院、春日井市民病院、各務原の病院など、地域の医療機関が同時被災します。
- 停電・断水・医療機器の損傷・スタッフの参集困難で、機能が大きく低下します。
- 負傷者数が収容能力を何倍も超える「医療崩壊」状態が、数日〜数週間続きます。
8-2. 広域搬送
- ヘリコプター搬送、自衛隊・DMAT(災害派遣医療チーム)が重要です。
- ただし降灰があればヘリは飛べません。道路も寸断されれば、孤立地域が発生します。
8-3. 感染症・衛生
- 避難所の過密、トイレ不足、水不足で、ノロウイルス、インフルエンザ、新型コロナなどの集団感染が懸念されます。
- 冬の地震であれば、低体温症・インフルエンザ・一酸化炭素中毒(暖房器具使用)も増えます。
- 降灰があれば、呼吸器疾患(喘息、COPD)・眼症状が増えます。
- エコノミークラス症候群、誤嚥性肺炎、持病悪化が、災害関連死の主因になります。
8-4. 心のケア
- 被災による急性ストレス反応、PTSD、うつ、アルコール依存が、中長期で増えます。
- 子どもの心理的影響、教職員・救援者の燃え尽きにも配慮が必要です。
9. 避難・避難所・住まい
9-1. 避難者数
- 発災直後の避難者は、犬山市内で約3万〜5.5万人(人口の4〜8割)と想定します。
- 1週間後の避難所生活者は、約2万〜4万人と見込まれます。
- 車中泊、在宅避難、親戚宅避難を含めると、実態把握が難しくなります。
- 周辺市町を含む尾張北部・岐阜県南部で、20万〜50万人規模の避難者となります。
9-2. 避難所の課題
- 避難所の収容能力不足。体育館の損傷、非構造部材の落下で、使えない施設が出ます。
- プライバシー、女性・子ども・高齢者への配慮、ペット同行避難、外国人への多言語情報提供が課題です。
- 冬の発災では、暖房・毛布・食料の確保が緊急課題です。
- 降灰があれば、窓の閉鎖・マスク・ゴーグルの配布も必要になります。
9-3. 応急仮設住宅・住まいの再建
- 全壊・焼失・大規模半壊で自宅を失う世帯は、市内で約1万〜2万世帯と想定されます。
- 応急仮設住宅(建設型、賃貸型みなし仮設)の確保に、数週間〜数か月かかります。
- 住宅再建の期間は、数年規模です。人口流出(市外・県外への転居)が起きる恐れがあります。
- 同時に県内他地域も被災しているため、資材・職人不足と建築費高騰が重なります。
9-4. 食料・飲料水・物資
- 想定される必要量は、避難者1人1日あたり飲料水3L、食料3食です。避難者4万人なら、1日あたり水12万L、食料12万食です。
- 道路・物流の寸断で、最初の3日間は公的支援が届かない恐れがあります。
- 家庭の備蓄(最低3日分、できれば1週間分)が生死を分けます。
10. 経済被害・経済損失の想定
10-1. 直接被害(資産の損失)
| 区分 | 犬山市内(仮定) | 説明 |
|---|---|---|
| 住宅・建物 | 約8,000億〜2兆円 | 全壊・焼失1.2万〜2.5万棟、半壊を含む |
| 工場・事業所の設備・在庫 | 約3,000億〜8,000億円 | 製造業、物流施設、研究施設 |
| 公共インフラ(道路・橋・上下水道・電力など) | 約3,000億〜8,000億円 | 復旧に長期間 |
| 文化財・観光施設 | 数百億円以上(金額換算困難) | 国宝犬山城、博物館明治村などは代替不能 |
| 農林水産業 | 数十億〜数百億円 | 農地の液状化、降灰、ハウス被害 |
| 合計(直接) | 約1.5兆〜4兆円 | 中央見積もり約2.5兆円 |
周辺広域(尾張北部・岐阜県南部)を含む直接被害は、約8兆〜20兆円規模に達する可能性があります。
10-2. 間接被害(経済活動の停止・低下)
- 工場の稼働停止、物流の寸断、観光の落ち込み、小売・サービス業の売上減が主な内容です。
- 犬山市内の間接被害(1〜2年)は、約1兆〜3兆円と仮定します。
- 周辺広域を含めると、約5兆〜15兆円規模になる可能性があります。
- 愛知県の南海トラフ被害予測では、県全体で直接約19.4兆円、間接約3.4兆円です。<<3>>本シナリオは、局所的に震度7が出るぶん、被害の密度が高い想定です。
10-3. 産業構造への影響
- 愛知県北部〜岐阜県南部は、自動車関連、航空宇宙(小牧・各務原)、機械、精密、食品などの産業集積があります。
- 小牧・各務原周辺の航空機・部品産業が止まれば、全国・海外のサプライチェーンに影響します。
- 内閣府の南海トラフ想定でも、製造拠点の被災・サプライチェーン寸断が全国的な経済活動の低下をもたらすとされています。<<4>>
- 自動車産業は、部品1点の不足でライン全体が止まる構造です。「ティア2、ティア3」の中小部品メーカーが被災すれば、広域で操業停止が起こります。
10-4. 観光・地域経済
- 犬山は、国宝犬山城、城下町、木曽川の鵜飼、明治村、リトルワールド、モンキーパークなどの観光地です。
- 観光客の激減(風評被害を含む)は、数年規模で続く恐れがあります。
- 宿泊、飲食、土産物、体験施設、地場産業(和菓子、酒蔵、陶器など)に長期の打撃となります。
- 噴火の降灰があれば、観光地としてのイメージ低下も深刻です。
10-5. 港湾・海底噴火の経済影響
- 名古屋港は、日本最大級の貿易港であり、自動車・部品・機械の輸出入拠点です。
- 津波・軽石・降灰・海上の障害物で、港の機能が止まれば、日本の貿易に影響します。
- 海底噴火の軽石が海面を覆えば、船舶の取水口が詰まり、漁船・貨物船の運航に支障が出ます。
- 漁業・養殖(のり、あさり、真珠など)にも、長期の被害が出ます。
10-6. 金融・財政・雇用
- 企業の倒産・廃業、二重ローン問題、保険金支払の集中、地域金融機関の経営悪化。
- 自治体の税収減・復旧費用の増大。
- 雇用の喪失(数万人規模)と、人口流出による地域の縮小。
- 国の財政支出(激甚災害指定、補正予算、復興特別措置)が必要になります。
10-7. 経済損失の時系列
| 期間 | 状況 |
|---|---|
| 発災〜1週間 | 生産・販売の停止、物流の停止、ライフライン途絶 |
| 1週間〜3か月 | 仮復旧、一部操業再開、部品調達の混乱、観光の停止 |
| 3か月〜1年 | 工場の再建、住宅の仮設、取引先の切り替え、資金繰りの悪化 |
| 1〜3年 | 本格的な再建。人口・企業の流出と、復興需要の併存 |
| 3〜10年 | 地域構造の変化。一部産業は回復、一部は縮小・移転 |
11. 火災・二次災害
11-1. 同時多発火災
- 冬の夕方は、暖房・調理の火気が多く、出火件数が最大化します。
- 通電火災(停電復旧時に、損傷した電気機器から発火する)への警戒が必要です。
- 城下町の木造密集地では、延焼が拡大しやすく、断水で消火栓が使えない状況になります。
- 消防車が、道路の寸断・倒壊物で現場に入れない場合、延焼は拡大します。
11-2. 危険物・化学物質
- 工場・倉庫の危険物、LPガス、ガソリンスタンド、農薬、医療用ガスなど。
- 漏洩・火災・爆発のリスクがあります。
- 降灰や降雨と重なれば、汚染水が河川に流れる恐れもあります。
11-3. ため池・河川・ダム
- 愛知県は、全国でもため池の数が多い県です。入鹿池以外の小規模ため池も、堤体損傷・決壊の可能性があります。
- 木曽川上流のダム群の安全確認、放流の判断も重要になります。
11-4. 土砂災害・斜面崩壊の連鎖
- 地震後に降雨があれば、緩んだ地盤が崩れます。
- 降灰が堆積すると、雨で灰が流出し、土石流(火山泥流)・河道閉塞・排水路詰まりを引き起こします。
12. 行政・社会機能への影響
12-1. 行政機能
- 市役所庁舎の被災、職員の被災・参集困難で、初動が遅れます。
- 罹災証明書の発行・被害認定調査は、数万件規模になり、数か月かかります。
- 国・県・全国の自治体からの応援職員(広域応援)が不可欠です。
12-2. 教育
- 学校は、避難所として使われるため、再開が遅れます。
- 学校の被災(校舎・体育館の損傷)、通学路の寸断、児童生徒の被災・転校があります。
- 教育の中断が、学力・心理面に長期の影響を与える恐れがあります。
12-3. 治安・情報
- 空き家・避難後の住宅の窃盗、詐欺、デマ・誤情報の拡散。
- SNSの偽情報(「入鹿池が決壊した」「噴火がまた来る」など)によるパニックの危険があります。
- 外国人観光客・住民への、多言語での正確な情報提供が必要です。
12-4. 広域連携と受援
- 犬山、小牧、春日井、江南、岩倉、扶桑、大口、各務原、可児などが同時被災すれば、近隣の応援が期待しにくくなります。
- 遠方(関東・九州・東北など)からの支援を受ける「受援体制」が重要です。
- 名古屋市・愛知県が、南海トラフ地震・津波・噴火にも対応する場合は、資源の奪い合いが起こります。
13. 復旧・復興のシナリオ
13-1. 復旧の目安(仮定)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 電力 | 1〜4週間で大半が復旧 |
| 通信 | 1〜3週間 |
| 上水道 | 1〜3か月(被害の大きい地域はそれ以上) |
| 下水道 | 3か月〜1年 |
| 都市ガス | 1〜2か月 |
| 鉄道 | 数週間〜1年(橋梁・高架の被災状況による) |
| 幹線道路 | 数日〜数週間で緊急輸送路を確保、本復旧は1年以上 |
| 住宅の仮設 | 1〜6か月 |
| 住宅の本格再建 | 2〜10年 |
| 観光・商業の回復 | 3〜10年(風評含む) |
13-2. 復興の課題
- 城下町の景観・文化財をどう復元するか。木造密集地を、防災性と歴史性の両立で再整備できるか。
- 人口流出(若い世代の転出)、高齢化が進む中での、地域コミュニティの再生。
- 産業の再構築、事業継続計画(BCP)の見直し、サプライチェーンの多重化。
- 火山灰・がれきの処理。数百万トン規模の災害廃棄物の仮置場、最終処分の確保。
- 被災者の生活再建支援、メンタルケア、孤立防止。
14. 複合災害ならではの重大な影響
14-1. 資源の分散と奪い合い
- 地震、噴火、津波が同時に発生すると、救助隊・自衛隊・消防・医療チームを、どこに送るか選択を迫られます。
- 犬山の内陸被害と、沿岸の津波被害が同時なら、救助の優先順位付け(トリアージ)が極めて難しくなります。
14-2. 避難行動の矛盾
- 地震の揺れ後は、建物外に出るのが基本ですが、降灰時は屋内退避が基本です。
- 津波警報(沿岸)と、屋外の火災・降灰(内陸)で、避難方針が衝突します。
- 情報が錯綜すると、避難の遅れ・混乱が起きます。
14-3. 被害の相乗効果
- 地震で損傷した建物に、降灰の荷重がかかると、倒壊の危険が増します。
- 停電・断水に降灰が加わると、復旧がさらに遅れます。
- 液状化した土地、降灰後の降雨で、土石流・洪水が起きやすくなります。
- 物流・港湾の停止と、工場の被災が重なると、全国規模で部品不足・価格高騰が起こります。
14-4. 心理・社会の影響
- 複数の災害が同時に起きると、「次は何が来るのか」という不安が増大します。
- 避難の長期化、将来不安、地域への愛着と離脱の葛藤が起きます。
- 過去の濃尾地震の記憶、地域の伝承、教訓の継承が、あらためて重要になります。
15. 被害を減らすための対策(教訓と提案)
15-1. 個人・家庭でできること
- 住宅の耐震診断・耐震改修(旧耐震の木造は優先)。自治体の補助制度の活用。
- 家具の固定、ガラスの飛散防止、感震ブレーカーの設置(通電火災対策)。
- 食料・水の備蓄(最低3日、できれば1週間分)、簡易トイレ、携帯トイレの準備。
- 防災マスク(火山灰対応)、ゴーグル、ヘルメット、懐中電灯、モバイルバッテリー、ラジオ。
- ハザードマップ(南海トラフ地震、入鹿池、木曽川、土砂災害など)で、自宅周辺のリスクを確認。<<2>>
- 家族での安否確認方法、避難場所・避難経路の共有。
- 要配慮者がいる家庭は、個別避難計画の作成、福祉避難所の確認。
15-2. 地域・自治体の対策
- 木造密集地の不燃化、道路拡幅、延焼遮断帯の整備。
- 学校・公民館など避難所の耐震化・非構造部材対策、トイレ・電源・水の確保。
- ため池(入鹿池など)、堤防の耐震点検・補強、ハザードマップの周知。
- 観光客・帰宅困難者対策(一時滞在施設、多言語の案内、観光施設の避難計画)。
- 文化財の防災計画(防火設備、耐震補強、データのバックアップ)。
- 災害時応援協定、広域連携、受援計画の整備と、実践的な訓練。
15-3. 企業の対策
- BCP(事業継続計画)の策定・見直し。工場の耐震化、データのバックアップ、複数拠点化。
- サプライチェーンの可視化、代替調達先の確保。
- 従業員の安否確認、帰宅困難対策(備蓄、一時待機)。
- 降灰を想定した設備(フィルター、屋根荷重、換気)の見直し。
16. 本想定の限界と留意点
- 本レポートは、極端な条件を重ねた仮定の想定です。実在する公的な被害予測ではありません。
- 犬山市付近には、気象庁が監視する活火山がありません。このため、「市中心部での陸上噴火」は、現時点の科学的知見では現実性が極めて低い条件です。また、愛知県周辺に、津波を起こすような海底火山が確認されているわけでもありません。これらは、感度分析のための仮想条件であることをご理解ください。
- 現実的に備えるべき災害としては、南海トラフ地震(愛知県全体で甚大な被害)、内陸の活断層型地震、木曽川・庄内川などの水害、入鹿池などのため池、土砂災害、遠方火山の降灰などがあります。
- 公的な最新情報は、犬山市(防災交通課)、愛知県防災会議、内閣府(防災情報)、気象庁などの公式発表をご確認ください。<<1>><<3>><<5>>
- 数値は丸めた幅で、確定値ではありません。「約」の付く値は、シナリオ設定が変われば大きく変動します。
17. まとめ
- 犬山市の中心部直下で震度7級の地震が起きた場合、市内の死者は、仮定で約1,500〜6,000人、全壊・焼失は約1.2万〜2.5万棟、直接被害は約1.5兆〜4兆円という、極めて深刻な被害が想定されます。
- 津波は、犬山市内では直接発生しません。ただし、入鹿池や木曽川の損傷による内陸水害と、沿岸(伊勢湾・三河湾・遠州灘)の海底噴火津波が、愛知県全体の被害を押し上げます。
- 火山噴火は、犬山付近では現実性が低いものの、仮に起きれば、降灰と地震が重なって、倒壊・停電・交通麻痺・医療崩壊が悪化します。
- 経済面では、自動車・航空宇宙など製造業の集積が止まることで、地域だけでなく、全国のサプライチェーンに影響が及びます。<<4>>
- 最大の教訓は、「住宅の耐震化」「火災対策」「備蓄」「ハザードマップの確認」といった、基本的な備えの効果が最も大きいことです。
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※高い標高を基準とした防災移住のご参考に。標高60メートル以上(理想は100メートル以上)を推奨します。候補地は奈良県、京都府、兵庫県、岡山県、群馬県、埼玉県(大宮、所沢)です。地盤の強さも確認し、候補地の周りに豪雨による土砂崩れ、河川の氾濫による浸水の恐れが無いかも確認してください。
極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント? GX入門/身近な疑問vs東大
標高・地盤認知の推奨
ステップ1
あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。
移転予定先の標高も調査しておきましょう!
※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)
ステップ2
あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。
移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!
ステップ3
地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!
海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。
縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?
防災認知ソース
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