防災 最新(2026.08.27)震源被害想定 震度7以上 茨城県日立市の中心地を震源とする震度7以上の大地震発生時の被害想定
茨城県日立市中心地直下・震度7以上の大地震に関する被害想定レポート
1. はじめに
日立市は太平洋に面する沿岸都市であり、海岸部の市街地・工業地帯と、西側の丘陵・山地が近接しています。このため、日立市中心地付近を震源とする震度7以上の直下型地震では、強い揺れによる建物倒壊だけでなく、津波、沿岸工業・港湾施設の被害、崖崩れ、交通網の寸断、広範な停電・断水、企業活動の停止が同時に起こる複合災害となるおそれがあります。
茨城県は、県北地域の活断層が連動する地震を想定した被害想定を公表しており、そのケースでは日立市で最大震度7、建物全壊約4,900棟、冬季深夜の死者約340人などが想定されています。これは日立市中心地直下を震源とする完全に同一の地震ではありませんが、県北部で起こり得る震度7級地震の公的な被害規模を把握する重要な基準です。〔茨城県地震被害想定調査・2018年12月〕<<1>><<2>>
本レポートでは、日立市中心地付近を震源とする浅い内陸・沿岸近傍の地震を仮定し、最大震度7、マグニチュード7級、冬季の深夜または平日昼間に発生するケースを中心に、被害の全体像を整理します。数値は既存の茨城県想定を基礎にしつつ、震源位置、季節、時刻、津波の有無、建物耐震化率、気象条件によって大きく変動する幅を含んだ推計です。
2. 想定する地震の条件
想定地震
- 震源:日立市中心地付近の地下
- 地震規模:マグニチュード6.8~7.3程度
- 震源の深さ:地下10~20キロメートル程度
- 最大震度:日立市中心部、海岸部、丘陵地の一部で震度7
- 強い揺れの継続:おおむね30秒~90秒程度
- 発生時刻の代表例:
- 冬季深夜:住宅内に人が集中し、倒壊建物・火災による死傷者が増えやすい
- 平日昼間:学校、事業所、商業施設、工場、道路上での被害が増えやすい
- 夕方:帰宅交通、買い物客、調理火気、交通集中が重なりやすい
日立市は細長い市域を持ち、東側に太平洋、西側に山地・丘陵があるため、地域によって被害の性質が大きく異なります。海岸低地では津波・液状化・港湾被害、丘陵地では斜面崩壊・道路寸断、中心市街地では建物倒壊・火災・帰宅困難、工業地帯では生産設備や危険物施設の損傷が重要な課題になります。
3. 揺れによる直接被害
住宅・建築物の倒壊
震度7では、耐震性が十分でない木造住宅、老朽化した建物、狭い道路沿いの建築物、擁壁や盛土の上にある住宅などで、全壊・半壊が集中する可能性があります。
特に大きな被害が懸念されるのは、次のような建物です。
- 1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅
- 1981年以降でも耐震改修が行われていない住宅
- 1995年以前の一部の木造住宅や、接合部の耐震性能が不足する住宅
- 狭い道路沿いに密集した木造住宅
- 急傾斜地、造成地、擁壁周辺に立地する住宅
- 老朽化した店舗併用住宅、小規模雑居ビル
- 天井、照明、外壁、ガラス、設備機器が落下しやすい商業施設・工場・学校
茨城県の県北部活断層連動地震を想定した公表資料では、日立市で揺れによる全壊建物が約4,900棟とされています。日立市中心地付近を震源とする場合、震源断層の位置や破壊方向によっては、市中心部や海岸低地に被害がさらに集中する可能性があります。〔茨城県地震被害想定・2018年12月〕<<1>><<2>>
本レポートのシナリオでは、日立市内の被害規模は以下の程度を想定します。
- 全壊・焼失建物:4,000~8,000棟程度
- 半壊・一部損壊建物:15,000~35,000棟程度
- 一時的に居住継続が困難となる住宅:10,000~25,000世帯程度
- 自宅避難を含む影響人口:5万人~10万人規模
ただし、耐震化の進展状況によって全壊棟数は大きく減少し得ます。住宅の耐震補強、家具固定、感震ブレーカーの普及は、死者数や火災件数を左右する非常に重要な対策です。
家具転倒・室内被害
震度7では、耐震性の高い住宅であっても、家具固定が不十分ならば室内の安全は確保されません。大型家具、冷蔵庫、食器棚、本棚、テレビ、電子レンジなどが転倒・移動し、就寝中の住民が下敷きになる危険があります。
冬季深夜に地震が起きた場合は、住民の多くが寝室にいるため、家具転倒と建物倒壊が重なり、避難開始までに時間を要する可能性があります。高齢者、乳幼児、障害のある人、単身世帯、在宅医療を受けている人では、避難の遅れが重大な被害につながります。
ブロック塀、看板、外壁、擁壁の倒壊
市街地では、古いブロック塀、石塀、看板、外壁タイル、窓ガラス、自動販売機などが倒壊・落下する可能性があります。歩行中の人、自転車利用者、避難者、救助活動を行う消防・警察・自治体職員にとって危険です。
また、丘陵部や宅地造成地では、擁壁の亀裂・崩壊、斜面の土砂崩れ、盛土の変形が発生し、住宅への土砂流入や道路閉塞が起こり得ます。
4. 津波の想定
津波リスクの特徴
日立市は太平洋に直接面しており、日立市中心地付近で発生する地震が海底断層の変位や沖合の地殻変動を伴う場合、津波が発生する可能性があります。
一方、直下型地震が主に内陸の横ずれ断層で起き、海底の大きな上下変動を伴わない場合は、津波が小さい、または顕著な津波が発生しない可能性もあります。したがって、津波被害は「必ず巨大津波になる」とは限りませんが、沿岸部にいる人は、強い揺れを感じた時点で津波の可能性を前提に行動する必要があります。
日立市は南海トラフ巨大地震に関する想定では、最大津波高4メートルとされています。ただし、これは南海トラフ地震を前提とした数値であり、日立市近傍の地震による津波と同じ条件ではありません。〔日立市「南海トラフ地震及び南海トラフ地震臨時情報について」〕<<4>>
到達時間
日立市近傍の海域で地殻変動が起きた場合、津波到達までの時間は非常に短くなるおそれがあります。震源が沿岸近傍または沖合であれば、最初の津波が数分から十数分程度で到達する可能性があります。
この場合、警報を待ってから避難するのでは間に合わないことがあります。海岸、港、河口、海沿いの道路、漁港、海浜公園、低地の工業地区などにいる人は、強い揺れまたは長い揺れを感じたら、ただちに海から離れ、高台や津波避難ビルへ向かうことが原則です。
想定される津波高と浸水
本シナリオでは、地震の断層変位が海底へ及んだ場合、日立市沿岸で概ね1~5メートル程度、局地的にはそれ以上の津波が発生する可能性を想定します。
津波の高さは、海底地形、潮位、河口、港湾施設、防潮堤の損傷状況によって大きく変わります。地震で防潮堤や護岸が壊れた状態で津波が到来すれば、平時の浸水想定を上回る被害となるおそれがあります。
特に注意が必要な場所は次のとおりです。
- 海岸に近い低地
- 港湾・漁港周辺
- 河口部および河川沿いの低地
- 海沿いの工場、倉庫、物流施設
- 海岸道路、海浜施設、駐車場
- 地下通路、地下駐車場、地下設備室
- 防潮堤や護岸の背後にある住宅地・事業所
津波は一度で終わらず、複数回到来することがあります。最初の波が小さく見えても、その後により大きい波が来る可能性があるため、津波警報・注意報の解除まで海岸や河口に近づくことは危険です。
津波による人的被害
津波による死者数は、発生時刻と避難の成否で大きく変動します。
- 夜間に発生し、停電で避難情報が届きにくい場合
- 冬季で屋外避難が困難な場合
- 高齢者施設、医療機関、福祉施設で移動支援が遅れる場合
- 海岸・港湾・海沿いの工場に勤務者がいる平日昼間の場合
- 自動車避難による渋滞で避難経路が塞がる場合
これらの条件が重なると、津波による死者・行方不明者が数十人から数百人規模となる可能性があります。逆に、迅速な徒歩避難、高台・避難ビルの確保、地域ごとの避難訓練が機能すれば、被害を大幅に抑えられる余地があります。
5. 火災・危険物事故
市街地火災
震度7の地震では、電気復旧時の通電火災、ガス器具からの出火、暖房器具、調理器具、配線損傷、可燃物への着火などにより、複数地点で同時に火災が発生する可能性があります。
冬季の夕方から深夜にかけては、暖房機器の使用、乾燥、強風、在宅率の高さが重なり、火災リスクが上がります。道路ががれきや倒壊家屋で塞がれ、断水で消火栓が使えない場合、消防力だけ真正面では初期消火が追いつかないこともあります。
想定される火災被害は以下のとおりです。
- 出火件数:数十件規模
- 延焼被害:数百棟から、条件次第で1,000棟以上
- 焼失面積:木造住宅が連担する地区では拡大のおそれ
- 消防活動の阻害:断水、道路閉塞、消防車両不足、通信障害
工場・港湾・危険物施設での事故
日立市は製造業の集積があり、工場、物流拠点、倉庫、燃料・化学物質を扱う施設が存在します。設備の耐震化が進んでいても、配管破損、タンク損傷、薬品漏えい、火災、停電による生産設備停止、クレーンや搬送装置の損傷などが発生する可能性があります。
特に重大なケースでは、次の影響が懸念されます。
- 可燃性ガス・油類の漏えいと火災
- 化学物質の流出による海域・河川・土壌の汚染
- 高圧設備・変電設備の損傷
- 大型機械・精密機器の転倒、位置ずれ、校正不良
- 工場火災の煙や有害物質への対応
- 港湾荷役施設の損傷による物流停止
- 事業所の従業員・協力会社・通勤者の安全確認の長期化
こうした事故は地域住民の避難にも影響するため、企業は自社の操業停止だけでなく、周辺地域への二次災害防止を最優先にする必要があります。
6. 液状化、地盤沈下、斜面崩壊
液状化
日立市の沿岸低地、埋立地、港湾周辺、河口部、砂質地盤が広がる地域では、地下水位や地盤条件によって液状化が起こる可能性があります。
液状化が起きると、地面が沈下・変形し、建物が傾く、マンホールが浮き上がる、道路が波打つ、上下水道管が破損する、地下タンクが浮き上がるなどの被害が発生します。
液状化による影響は、建物が倒壊しなくても長期避難につながる点が重大です。住宅が傾斜し、排水ができず、上下水道が復旧しない場合、居住継続が困難になります。
斜面崩壊・土砂災害
西側の丘陵地や急傾斜地では、地震動により崖崩れ、落石、地すべり、擁壁倒壊が発生するおそれがあります。大雨の直後や、地震後に降雨が続いた場合は、余震によって二次的な斜面崩壊が拡大する可能性があります。
被害が起きた場合、山側から海側へ向かう道路、住宅地への進入路、集落を結ぶ生活道路が寸断され、孤立地区が発生する可能性があります。救助や物資輸送には時間がかかり、ヘリコプターによる確認・搬送が必要になる事態も想定されます。
7. 人的被害の想定
死者数・負傷者数
人的被害は、建物倒壊、家具転倒、火災、津波、崖崩れ、交通事故、避難中の転倒、低体温症、医療中断などの複合で発生します。
茨城県の公表想定では、県北地域の活断層が連動する地震において、県全体の死者数は約330~730人、日立市では冬季深夜の揺れによる死者が約340人とされています。〔茨城県地震被害想定・2018年12月〕<<1>><<2>>
日立市中心地直下の震度7級地震では、本レポートでは次の規模を想定します。
- 死者:300~1,200人程度
- 重傷者:1,000~3,500人程度
- 軽傷者:4,000~12,000人程度
- 要救助者:数百人~1,000人超
- 避難が必要な住民:3万人~7万人程度
- 長期避難者:1万人~4万人程度
死者数が上振れするのは、冬季深夜に建物倒壊と火災が重なり、さらに津波避難が遅れた場合です。反対に、住宅耐震化、家具固定、感震ブレーカー、迅速な津波避難が進んでいれば、死者数は大きく抑制できます。
災害関連死
地震直後の直接死だけでなく、その後の避難生活や医療中断による災害関連死が問題になります。特に高齢者や持病のある人は、停電、断水、寒さ、薬不足、透析中断、感染症、精神的ストレス、避難所での生活機能低下によって健康を悪化させるおそれがあります。
冬季であれば、暖房停止による低体温症、一酸化炭素中毒、車内避難によるエコノミークラス症候群も重大です。災害関連死を減らすには、避難所の環境改善、福祉避難所の早期開設、医療・介護情報の共有、在宅医療利用者への優先支援が必要です。
8. ライフラインへの影響
電力
強い揺れにより変電所、送電線、配電設備、電柱、引込線、受電設備が被災し、大規模停電が発生する可能性があります。茨城県の被害想定では、日立市などで電気・水道・下水道・通信が9割以上機能停止する可能性が示されています。〔茨城県地震被害想定・2018年12月〕<<1>>
停電は照明が消えるだけではなく、次の機能停止につながります。
- 信号機の停止による交通混乱
- 携帯電話基地局の停止
- エレベーター閉じ込め
- 冷蔵・冷凍設備の停止
- 病院・福祉施設の医療機器への影響
- 給水ポンプ停止による断水
- ガソリンスタンドの営業停止
- 工場生産設備の停止
- キャッシュレス決済、銀行ATM、電子行政手続の停止
復旧は送電設備の被害程度によりますが、沿岸部・山間部・道路寸断地域では数日から数週間を要する可能性があります。
上水道・下水道
水道管や浄水施設、ポンプ場、配水池が被災すれば、広範な断水が発生します。断水は飲料水不足だけでなく、トイレ、手洗い、入浴、調理、医療、消防活動、介護施設の運営に直結します。
下水道が停止すると、トイレが使えない、汚水が逆流する、衛生状態が悪化するなど、避難生活の質を大きく低下させます。マンホールの浮上や管路破損が生じた地域では、復旧まで長期間を要する可能性があります。
ガス・燃料
都市ガスやプロパンガスは安全装置により停止する場合がありますが、配管破損や復旧点検に時間がかかります。都市ガス供給地域では、完全復旧まで数週間以上かかる可能性があります。
また、停電や道路寸断によりガソリン・軽油・灯油の供給が滞ると、救急車、消防車、物流車両、発電機、暖房器具、建設機械などの運用に影響します。冬季には灯油不足が生活維持に直結します。
通信
地震直後には、安否確認や情報収集のために通信が集中し、携帯電話・インターネットがつながりにくくなります。停電で基地局の非常用電源が尽きれば、通信障害はさらに広がります。
自治体・消防・警察・病院・企業の間で情報共有が途絶えると、救助、避難所運営、物資供給、道路啓開、被害把握が遅れます。衛星電話、防災行政無線、無線機、複数通信事業者の回線、紙の連絡網など、多重的な通信手段が必要です。
9. 交通・物流への影響
道路
日立市では、国道6号、常磐自動車道、主要地方道、市道が地域生活と広域物流を支えています。地震により橋梁、法面、盛土、トンネル、擁壁、交差点、信号機が被災すると、道路網が機能不全に陥る可能性があります。
想定される事態は次のとおりです。
- 倒壊建物、電柱、看板、がれきによる道路閉塞
- 斜面崩壊による山側道路の通行止め
- 液状化による海側道路の段差・沈下
- 橋梁や高架部の安全確認による通行規制
- 信号停止による交差点事故・渋滞
- 緊急車両の通行妨害
- 自動車避難集中による津波避難ルートの渋滞
道路啓開では、人命救助、消防活動、病院アクセス、緊急輸送道路の確保が優先されます。しかし、被害が広範囲に及ぶ場合、一般車両の移動制限や燃料配分の優先順位付けが必要になります。
鉄道
JR常磐線をはじめとする鉄道は、地震発生直後に安全確認のため運転を停止します。線路、橋梁、駅舎、電力設備、信号設備、法面などに損傷があれば、運転再開には相当の時間を要します。
列車内や駅構内で乗客が滞留し、停電・通信障害・寒さ・トイレ不足が問題になる可能性があります。鉄道の長期停止は、通勤・通学だけでなく、工場従業員、医療従事者、物流関係者の移動にも大きな影響を及ぼします。
港湾・物流機能
港湾施設、岸壁、クレーン、荷役設備、倉庫、コンテナヤード、燃料タンクなどが被災すれば、海上輸送と陸上物流の双方が停滞します。津波が重なれば、船舶の漂流・衝突、コンテナ流出、航路障害、港内への漂流物堆積が起こるおそれがあります。
港湾機能の停止は、地域の物資不足だけでなく、製造業の部品調達、製品出荷、燃料供給、復旧資材輸送にも影響します。
10. 医療・福祉・行政機能への影響
医療機関
日立市内および周辺の医療機関では、地震直後から外傷患者、圧迫症候群、火傷、津波被災者、低体温症患者が集中します。一方で、病院自体も停電、断水、エレベーター停止、医療ガス供給障害、建物損傷、職員参集困難に直面します。
特に問題になるのは、次の患者です。
- 人工透析が必要な人
- 在宅酸素療法・人工呼吸器を使用する人
- インスリンなどの継続投薬が必要な人
- 妊産婦、新生児
- 要介護高齢者
- 精神疾患や認知症のある人
- 介護施設・福祉施設の入所者
医療機関の非常用発電機は燃料が限られるため、燃料供給が止まれば診療機能を維持できません。県内外の医療チーム派遣、患者の広域搬送、医薬品・酸素・透析資材の緊急輸送が必要になります。
行政機能
市役所、消防、警察、学校、避難所運営拠点なども被災者であり、職員自身の安否確認や家族の被災によって初動体制が低下する可能性があります。
行政の主な課題は以下です。
- 被害状況の把握
- 避難指示・津波情報の伝達
- 救助要請の整理
- 避難所の開設・物資配分
- 要配慮者支援
- 罹災証明書の発行
- がれき処理
- 応急仮設住宅の確保
- 復旧工事・復興計画の調整
庁舎が使用できない場合を想定し、代替庁舎、クラウド上の行政データ、衛星通信、非常用電源、職員参集計画を平時から整備しておくことが重要です。
11. 避難生活と生活再建
避難者数
茨城県の被害想定では、県北部の大規模地震により、日立市で被災直後に約2万6,000人、1か月後にも約3万7,000人が避難生活を送る可能性が示されています。〔茨城県地震被害想定・2018年12月〕<<1>>
日立市中心地直下の地震では、建物被害、津波浸水、断水、斜面崩壊、余震不安などにより、避難所だけでなく車中泊、自宅避難、親族宅避難、ホテル・旅館への分散避難が発生すると考えられます。
避難所の課題
避難所では、収容人数不足、プライバシー不足、トイレ不足、冷暖房不足、感染症、騒音、ペット問題、女性・子どもの安全、障害者・高齢者への対応など、多くの問題が発生します。
避難生活が長期化すると、次の課題が深刻になります。
- 段ボールベッドや簡易ベッド不足
- 衛生用品、生理用品、おむつ、介護用品の不足
- 食物アレルギー、糖尿病、腎疾患などへの食事対応不足
- 入浴機会の不足
- ごみ処理・し尿処理の逼迫
- 避難所内の感染症流行
- 心的外傷後ストレス、孤立、家庭内暴力
- 学校再開の遅れ
- 地域コミュニティの分断
避難所だけに人を集中させないため、在宅避難者への給水・物資支援、福祉避難所、ホテル・旅館、広域避難、応急仮設住宅、みなし仮設住宅を組み合わせる必要があります。
12. 経済被害・経済損失
経済被害の考え方
経済被害は、大きく「直接被害」と「間接損失」に分けられます。
直接被害は、住宅、建物、道路、鉄道、港湾、上下水道、電力設備、工場設備、在庫、車両などが壊れることによる損害です。
間接損失は、操業停止、売上減少、雇用悪化、物流停滞、観光減少、サプライチェーンの断絶、行政サービス低下、復旧遅延などによる経済的な損失です。
直接被害
日立市中心地直下の震度7級地震では、住宅・事業所・工場設備・公共インフラ・港湾設備などの被害を合計し、直接被害はおおむね1.5兆円~4兆円程度に達する可能性があります。
主な内訳のイメージは次のとおりです。
- 住宅・店舗・事務所の損壊:3,000億~9,000億円
- 工場・生産設備・在庫の損壊:4,000億~1.5兆円
- 道路・橋梁・鉄道・港湾などの公共インフラ:2,000億~8,000億円
- 電気・ガス・水道・通信設備:1,000億~4,000億円
- がれき撤去、応急復旧、仮設対応:数百億~数千億円
県北地域の大規模地震では、災害廃棄物が県全体で約189万トンに及ぶ想定も示されています。日立市で建物倒壊が集中すれば、がれきの仮置場確保、分別、運搬、処理能力が復旧速度を大きく左右します。〔茨城県地震被害想定・2018年12月〕<<1>>
間接損失
日立市では製造業と関連企業の集積が大きく、工場停止が市内だけで完結しない影響を持ちます。電子部品、電機機器、機械、金属加工、物流、保守サービスなどで供給網が止まれば、県内外の企業活動に波及します。
間接損失として想定されるものは次のとおりです。
- 工場の操業停止と生産遅延
- 部品供給不足による全国の製造ライン停止
- 港湾・道路・鉄道停止による物流遅延
- 小売店、飲食店、宿泊業、観光業の売上減少
- 従業員の避難・住宅損壊による人手不足
- 企業の復旧投資・設備更新コスト
- 保険金支払い、金融機関の業務停滞
- 土地価格・不動産取引への影響
- 学校休校や介護機能低下による就労制約
間接損失は、復旧期間が長いほど増えます。主要工場や物流網の停止が数週間で収まるのか、数か月以上続くのかによって、被害額は大きく変わります。
総経済損失
本シナリオにおける日立市および周辺地域への総経済損失は、直接被害と間接損失を合わせて、おおむね3兆円~8兆円程度となる可能性があります。
特に次の条件が重なる場合、上限側に近づくおそれがあります。
- 津波が港湾・沿岸工業地帯に大きな被害を与える
- 工場の精密設備や大型生産設備の復旧に長期間を要する
- 常磐線、国道6号、常磐自動車道、港湾機能の復旧が遅れる
- 大規模火災や危険物事故が発生する
- 広域停電・断水が数週間継続する
- 住宅再建や事業再開が進まず、人口流出が起きる
この金額は被災した建物の価格だけではなく、地域の雇用、所得、企業の取引、税収、住民の生活再建に長期間影響する規模です。
13. 復旧・復興に必要な期間
発災直後から72時間
発災直後の最優先事項は、人命救助、津波避難、火災抑制、医療救護、道路啓開です。
- 津波警報下での避難誘導
- 倒壊建物からの救助
- 火災の消火
- 重傷者のトリアージと搬送
- 孤立地区の確認
- 緊急輸送道路の確保
- 避難所の開設
- 飲料水、毛布、食料、簡易トイレの配布
- 停電・通信障害下での情報伝達
この72時間を乗り切れるかどうかが、直接死と災害関連死を左右します。
発災後1週間から1か月
この時期には、救助中心から避難生活・生活再建支援へ重点が移ります。
- 断水地域への給水
- 下水道、電力、通信の応急復旧
- 医薬品、燃料、食料の安定供給
- 避難所の衛生・感染症対策
- 罹災証明の調査開始
- がれき仮置場の確保
- 学校教育の再開準備
- 事業所の操業再開支援
- 仮設住宅・みなし仮設の確保
数か月から数年
本格復旧・復興では、単に元に戻すのではなく、次の災害に強い都市構造へ変える視点が必要です。
- 耐震性の低い住宅・建物の再建支援
- 高台移転や津波避難経路の整備
- 港湾・工場の耐震・津波対策の強化
- 電力・通信の分散化
- 水道管・下水道管の耐震化
- 道路・橋梁・斜面の耐災害化
- 地域企業の事業継続計画支援
- 被災者の心のケア
- 若年層・事業者の流出防止
- 復興需要を地域雇用につなげる仕組みづくり
14. 被害軽減のために重要な対策
家庭・個人に必要な対策
- 住宅の耐震診断と耐震改修
- 家具の固定、ガラス飛散防止、寝室の安全確保
- 感震ブレーカーの設置
- 3日分ではなく、可能なら1週間分の水・食料・簡易トイレを備蓄
- モバイルバッテリー、ラジオ、懐中電灯、携帯トイレの準備
- 津波ハザードマップと避難場所の確認
- 海岸部では「揺れたらすぐ避難」を家族で共有
- 車に頼らない徒歩避難ルートの確認
- 高齢者、子ども、障害のある人、ペットを含めた避難計画の作成
- 家族の安否確認方法・集合場所の事前決定
地域・自治体に必要な対策
- 津波避難ビル、高台避難場所、避難路の整備
- 夜間でも使える避難誘導灯の設置
- 地区ごとの防災訓練と個別避難計画
- 消防水利、耐震性貯水槽、非常用電源の強化
- 避難所の空調、トイレ、通信、段ボールベッドの整備
- 福祉避難所と医療・介護支援体制の強化
- 道路啓開計画、がれき仮置場、応援受入計画の事前策定
- 行政データの分散保管と代替庁舎の確保
- 防災行政無線、スマートフォン、ラジオ、戸別受信機など多重的な情報伝達
日立市は国土強靭化地域計画においても、地震・津波を含む大規模災害に対し、建物耐震化、緊急輸送道路、非常用物資、消防力、情報通信確保などを重点施策として位置づけています。〔日立市国土強靭化地域計画・概要版〕<<5>>
企業に必要な対策
- 事業継続計画の策定・定期訓練
- 工場設備、ラック、配管、薬品棚、タンクの耐震化
- 非常用電源と燃料の確保
- 部品・原材料・物流ルートの複線化
- 従業員の安否確認システム
- 津波避難計画と高所避難設備
- サイバー攻撃や情報漏えいを含む非常時の情報管理
- 復旧優先設備の明確化
- 地域住民への二次災害防止策
- 協力会社や取引先を含むサプライチェーン対策
15. 総括
日立市中心地付近を震源とする震度7以上の大地震では、建物倒壊、火災、津波、液状化、斜面崩壊、ライフライン停止、交通網の寸断、医療逼迫、工場操業停止が同時に起こる可能性があります。
特に日立市は、海と山が近く、住宅地・商業地・工業地・港湾が近接しているため、被害が局地的に極めて深刻化しやすい地域です。津波の規模は地震の断層形状に左右されますが、沿岸部では「強い揺れを感じたら津波を疑い、すぐ高い場所へ避難する」という原則が生死を分けます。
想定される人的被害は、死者約300~1,200人、負傷者数千人規模、避難者数万人規模となる可能性があります。経済面では、住宅・インフラ・工場設備などの直接被害に加え、製造業・物流・港湾機能の停止による間接損失を含め、総経済損失は約3兆円~8兆円規模に及ぶおそれがあります。
ただし、これらの被害は固定された未来ではありません。住宅耐震化、家具固定、感震ブレーカー、津波即時避難、企業の事業継続計画、非常用電源、道路・上下水道の耐震化、地域訓練を積み重ねることで、死者数、火災被害、避難生活の長期化、経済損失を確実に減らすことができます。
防災関連情報

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※高い標高を基準とした防災移住のご参考に。標高60メートル以上(理想は100メートル以上)を推奨します。候補地は奈良県、京都府、兵庫県、岡山県、群馬県、埼玉県(大宮、所沢)です。地盤の強さも確認し、候補地の周りに豪雨による土砂崩れ、河川の氾濫による浸水の恐れが無いかも確認してください。
極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント? GX入門/身近な疑問vs東大
標高・地盤認知の推奨
ステップ1
あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。
移転予定先の標高も調査しておきましょう!
※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)
ステップ2
あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。
移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!
ステップ3
地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!
海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。
縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?
防災認知ソース
今日のシューマン共鳴予報(ライブ周波数チャート&健康影響)
PM2.5 環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)
移住・住宅・移住先の仕事
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