防災 最新(2026.08.07)震源被害想定 震度7以上 静岡県富士宮市の中心地を震源とする震度7以上の大地震発生時の被害想定

富士宮市中心地直下・震度7級大地震の被害想定レポート

かなり厳しい条件の想定ですが、富士宮市の地形・都市機能・産業構造を踏まえ、被害を過小評価しない前提で整理します。以下は静岡県富士宮市の中心市街地付近を震源とする、浅い内陸直下型地震を仮定したシナリオ分析です。実際の地震予知や公的被害想定ではなく、防災・事業継続・生活準備の検討を目的とする推計です。

富士宮市は駿河湾沿岸都市ではないため、中心市街地に津波が直接到達する可能性は基本的にありません。一方で、強い揺れ、土砂災害、火災、道路寸断、長期断水、観光・製造業・物流の停止が被害の中心になります。

なお、富士宮市が公開する静岡県第4次地震被害想定では、南海トラフ巨大地震の最大クラス想定において、富士宮市で震度6弱~6強程度、全壊・焼失約4,000棟、死者約40人、直後の断水率・停電率が各89%という想定が示されています。これは広域巨大地震を前提とした公的想定であり、本レポートの「市中心地直下・震度7級」の局地的な強震シナリオとは前提が異なります。<<1>><<2>>

1. 想定する地震の条件

本レポートでは、次のような最悪級に近い条件を置きます。

  • 震源:富士宮市中心市街地付近、富士宮駅・市役所・浅間大社周辺を含む市街地近傍
  • 地震タイプ:浅い内陸直下型地震
  • 地震規模:マグニチュード7.0~7.3程度
  • 震源の深さ:地下5~15km程度
  • 最大震度:富士宮市中心部で震度7
  • 強い揺れの継続時間:おおむね20~60秒
  • 発生時刻:冬の平日18時ごろ
  • 気象条件:乾燥、比較的強い風、日没後
  • 被災人口:市内人口約12万人規模に加え、通勤・通学者、観光客、富士山周辺の登山・宿泊利用者を含む
  • 想定する二次災害:建物倒壊、家具転倒、地震火災、斜面崩壊、道路閉塞、停電、断水、通信障害、工場停止、医療逼迫、風評被害

震度7は「立っていることが困難」であり、多くの固定されていない家具が移動・転倒し、耐震性が不足する建物では倒壊の危険が高い揺れです。富士宮市は平地だけではなく、富士山麓の傾斜地、河川沿いの低地、山間部集落を抱えているため、同じ市域でも被害の出方が大きく異なります。

2. 富士宮市の地域特性と被害を拡大させる要因

富士宮市の地震被害を考えるうえで重要なのは、「富士山麓の内陸都市」でありながら、観光・製造・農畜産・交通結節の機能が重なっている点です。

2-1. 地形と地盤

富士宮市には、富士山西麓から市街地、芝川地区などの山間・谷地形まで、高低差の大きい地形があります。

  • 富士山麓の傾斜地では、斜面崩壊、落石、擁壁損壊、道路法面の崩落が起こりやすい
  • 河川沿いや低地では、軟弱地盤の揺れの増幅、液状化、護岸や橋梁への被害が生じうる
  • 山間部では、孤立集落の発生、救急搬送の遅れ、復旧資材の搬入困難が懸念される
  • 市街地では、古い木造住宅、狭い道路、ブロック塀、老朽化した店舗兼住宅が局地的被害を拡大させる可能性がある

特に、急傾斜地に近い住宅地、盛土造成地、河川沿い、谷筋にある道路では、揺れそのものに加えて地盤変状が被害を左右します。

2-2. 火山地域であること

富士宮市は富士山の麓に位置しますが、今回の想定は地震による被害であり、地震発生後に富士山が必ず噴火するという意味ではありません。地震と噴火は別の現象であり、直下地震が起きたからといって噴火を断定することはできません。

ただし、住民や観光客の間では「富士山噴火との関連」を不安視する情報が急速に広がる可能性があります。その結果、根拠の乏しい避難、買い占め、交通混乱、観光キャンセル、宿泊施設の大量解約など、社会的・経済的な二次被害が生じるおそれがあります。

2-3. 観光都市としての脆弱性

富士宮市には富士山本宮浅間大社、白糸ノ滝、朝霧高原、富士山登山・周遊ルートなど、国内外から人を集める観光資源があります。

地震が休日、連休、夏山シーズン、イベント開催日などに発生した場合、次の問題が重なります。

  • 観光客が地理や避難所の場所を把握していない
  • 外国人旅行者との情報伝達に時間がかかる
  • 宿泊施設が避難者受け入れ・帰宅困難者対応を迫られる
  • 観光地へのアクセス道路が寸断される
  • 富士山周辺で登山者・キャンパー・車中泊者の安否確認が難航する
  • 「富士山周辺は危険」という風評が長期化し、観光需要が急減する

2-4. 製造業・農畜産業への依存

富士宮市および周辺地域には、紙・パルプ、食品、医療関連、金属加工、輸送機器関連、精密部品などの製造拠点があり、朝霧高原周辺を中心に酪農・畜産なども重要です。

工場が倒壊しなくても、停電、断水、ボイラー停止、原材料不足、従業員の被災、道路・鉄道の不通によって操業は止まります。特に部品供給型の工場では、一つの中小工場の停止が県内外の完成品メーカーへ波及する可能性があります。

3. 揺れによる直接被害

3-1. 住宅・建物被害

震度7の範囲が中心市街地に広がった場合、1981年以前の旧耐震基準の木造住宅、耐震補強が未実施の住宅、老朽化した店舗兼住宅、狭い道路沿いの建物などで、倒壊・大破の危険が高まります。

想定される建物被害は以下のとおりです。

  • 全壊・焼失:3,000~8,000棟
  • 半壊・大規模半壊:8,000~20,000棟
  • 一部損壊:20,000棟以上
  • 家具転倒・室内損壊が発生する世帯:市内の広範囲
  • 避難生活が必要となる住民:2万~6万人程度

市内全域が同じ被害を受けるわけではありませんが、震源近傍の市街地では、建物倒壊と火災が重なる地区が発生する可能性があります。

古い木造住宅が密集する地域では、建物の損壊で道路が塞がり、消防車や救急車が進入できなくなることが大きな問題です。倒壊した建物の下敷きになった人を、近隣住民が工具や人力で救助する「共助」が生死を分ける局面も多くなります。

3-2. 非構造部材と室内被害

比較的新しい建物であっても、安全とは限りません。

  • 天井材、照明、看板、ガラスの落下
  • 家具・冷蔵庫・食器棚・本棚の転倒
  • 自動販売機、屋外設備、ブロック塀の転倒
  • 学校体育館や公共施設での天井材落下
  • 工場内の棚・設備・薬品容器の転倒
  • 病院・福祉施設での医療機器・介護設備の損傷

住宅の倒壊だけでなく、家具転倒による圧死や負傷が増える可能性があります。とくに高齢者、乳幼児、障害のある人、寝たきりの人は、自力避難が難しく、発災直後の救助が遅れやすい層です。

4. 津波・河川・浸水の想定

4-1. 富士宮市中心地への津波

富士宮市中心地は内陸部にあり、駿河湾に面していません。そのため、海から押し寄せる津波が富士宮市中心市街地まで直接到達する可能性は、地形上きわめて低いと考えられます。

したがって、この地震シナリオでの主たる危険は津波ではなく、強い揺れ、火災、土砂災害、ライフライン停止です。

ただし、静岡県全体では南海トラフ巨大地震を含む津波対策が重要であり、富士宮市でも広域避難・交通・物流・支援受け入れの面で沿岸被災地の影響を受けます。県の第4次地震被害想定は、最大クラスの地震・津波を対象に被害を推計しています。<<3>>

4-2. 河川・ため池・水路の被害

津波の直接リスクは低い一方で、地震後には次のような水害が起こりえます。

  • 河川護岸のひび割れ、沈下、崩落
  • 橋台・橋脚の損傷
  • 用水路、農業用水施設、ため池堤体の損傷
  • 上水道管の破断による道路冠水
  • 下水道管破損による汚水流出
  • 豪雨が重なった場合の土砂流入と内水氾濫
  • 山地斜面崩壊による河道閉塞、天然ダム形成

地震直後に大雨が降らなくても、数日後・数週間後の降雨で被害が顕在化する場合があります。地震でひび割れた斜面や護岸は、その後の雨で崩壊しやすくなるため、復旧期にも避難指示や道路通行規制が続く可能性があります。

5. 地震火災の被害想定

冬の夕方、乾燥、強風という条件では、地震火災が人的被害を大きく左右します。

5-1. 出火要因

主な出火源は以下です。

  • 住宅のガス機器、石油ストーブ、調理器具
  • 電気復旧時の通電火災
  • 工場・倉庫の電気設備、危険物設備
  • 飲食店の厨房機器
  • 車両火災
  • 倒壊した建物内の配線短絡
  • 太陽光発電設備・蓄電池設備の損傷

地震直後の停電そのものでは火災が起きなくても、数日後に電気が復旧した際、損傷した配線や倒れた家電から出火する「通電火災」が大きなリスクになります。

5-2. 延焼の可能性

富士宮市では東京都心のような超高密度市街地火災とは性格が異なるものの、中心部の木造住宅地、店舗・住宅が混在する地区、道路の狭い地区では、複数出火が発生すれば消防力を上回る可能性があります。

特に問題となるのは以下の状況です。

  • 消防署・消防団の車両が瓦礫や道路損壊で現場に入れない
  • 消火栓が断水で使えない
  • 防火水槽や河川からの取水にも時間を要する
  • 住民自身が被災し、初期消火が難しい
  • 強風により火の粉が飛散する
  • ガソリンスタンド、工場、倉庫、プロパンガス設備周辺の火災が拡大する

想定条件次第では、焼失棟数は数百棟から2,000棟程度に及ぶ可能性があります。これは建物倒壊被害と重なるため、避難者数と死者数を大きく押し上げます。

6. 土砂災害・道路寸断・孤立集落

富士宮市では、地震に伴う斜面崩壊や落石が、平地の都市被害と同時に発生することが重要です。

6-1. 想定される土砂災害

  • 急傾斜地のがけ崩れ
  • 山腹の表層崩壊
  • 道路法面・擁壁の崩落
  • 落石による道路・鉄道の遮断
  • 谷筋の土砂堆積
  • 盛土造成地の変形や沈下
  • 河川閉塞による二次的な洪水リスク

山間部や富士山麓の観光道路では、道路の一部が崩落すると、集落・宿泊施設・観光地が孤立する可能性があります。ヘリコプターによる救助や物資輸送が必要になる場面も想定されますが、悪天候、夜間、余震、火山性ガスへの不安などが重なれば、運航には制約が生じます。

6-2. 交通への影響

道路交通では、国道139号、主要地方道、東名高速道路・新東名高速道路への接続道路、富士市・御殿場市・山梨県方面への幹線が重要です。これらが部分的にでも通行止めになると、救援・物流・通勤・観光のすべてが滞ります。

想定される影響は次のとおりです。

  • 橋梁・高架・盛土区間の緊急点検
  • 落石・土砂崩れ・路面亀裂による通行止め
  • 信号停止による交差点混乱
  • ガソリン不足による車両移動制限
  • 緊急車両優先に伴う一般車両の通行抑制
  • 帰宅困難者による道路混雑
  • 鉄道の安全確認・復旧工事に伴う長期運休

JR身延線などの鉄道が不通となれば、通勤・通学だけでなく、静岡県東部と山梨県方面の人流・物流にも影響が出ます。

7. ライフライン被害

富士宮市中心地直下で震度7となった場合、住民の生活を最も長く苦しめるのは、建物被害に続くライフライン停止です。

公的な南海トラフ巨大地震の想定でも、富士宮市では地震直後の断水率・停電率が各89%とされるケースがあります。直下地震では被害範囲はより局地的でも、震源近傍では配水管・送電設備・通信設備が集中的に損傷する可能性があります。<<1>>

7-1. 電力

  • 発災直後の停電世帯:市内の50~90%程度
  • 復旧まで数日以内:中心部の一部
  • 復旧まで1週間以上:被害の比較的軽い地域
  • 復旧まで2週間~1か月超:倒壊・土砂災害・設備損壊が大きい地域

停電は照明が消えるだけの問題ではありません。冷蔵庫、携帯電話充電、エアコン・暖房、給水ポンプ、医療機器、工場設備、店舗の決済端末、信号機、給油所などが同時に止まります。

7-2. 上下水道

水道管、とくに古い管路や地盤変状のある地域の配水管が破断すれば、断水は長期化します。

  • 断水世帯:市内の60~90%程度
  • 応急給水への依存:数万人規模
  • 下水道損傷:汚水逆流、マンホール浮上、悪臭、衛生悪化
  • 入浴困難:数週間単位
  • 医療・介護・避難所運営への重大な支障

水道復旧には、道路啓開、漏水調査、管路修理、水質確認が必要です。復旧が遅い地域では、給水車だけでなく、仮設給水所、飲料水備蓄、井戸水の衛生確認、入浴支援が不可欠になります。

7-3. ガス・燃料

都市ガス供給区域では安全装置作動による停止、LPガス地域では容器・配管損傷による漏えい確認が必要になります。富士宮市ではLPガス利用世帯・事業所への影響も重要です。

  • 調理不能による避難所の食事供給不足
  • 給湯停止による衛生環境悪化
  • 工場の熱源停止
  • 給油所の停電・在庫減少
  • 軽油不足による物流・非常用発電機の停止

7-4. 通信・情報

通信は完全に「使えなくなる」よりも、「混雑してつながらない」「基地局の非常用電源が尽きる」「地域によって不安定」という形で悪化します。

  • 音声通話の輻輳
  • 携帯基地局の停止
  • インターネット回線の断線
  • 防災無線が聞き取りにくい地域の発生
  • デマ・偽情報の拡散
  • 家族の安否確認遅れ
  • 観光客・外国人への情報伝達不足

電源と通信が失われると、住民は正確な避難情報、給水場所、医療機関の稼働状況、道路通行止め情報を得にくくなります。

8. 人的被害の想定

人的被害は、建物耐震化率、発災時刻、火災の有無、気象条件、住民の避難行動、救助活動の速度によって大きく変動します。

8-1. 死者数

本シナリオにおける死者数の目安は、以下の範囲が考えられます。

  • 比較的抑えられたケース:300~800人程度
  • 厳しいケース:1,000~2,500人程度
  • 火災・建物倒壊・救助遅延・斜面崩壊が重なる最悪級ケース:3,000~5,000人程度

主な死因は以下です。

  • 建物倒壊による圧死・窒息
  • 家具転倒・室内閉じ込め
  • 火災による焼死・一酸化炭素中毒
  • 土砂崩れ・落石
  • 避難中の転倒、がれき落下
  • 医療機器停止や治療中断による災害関連死
  • 発災後の低体温症、脱水、感染症、持病悪化

死者数の中心は倒壊住宅や火災の発生地区に集中する可能性が高いですが、山間部での救助遅延や、避難生活中の健康悪化も無視できません。

8-2. 負傷者数

  • 重傷者:2,000~6,000人程度
  • 軽傷者を含む負傷者:1万~3万人程度
  • 医療搬送・医療相談が必要な人:さらに多数

病院は建物が無事でも、電力、水、医療ガス、医薬品、職員出勤、道路事情の影響を受けます。透析患者、在宅酸素療法利用者、インスリン使用者、要介護者、妊産婦、乳幼児など、継続医療が必要な人への支援が急務になります。

8-3. 災害関連死

地震直後に助かった人でも、避難生活の長期化によって亡くなる「災害関連死」が増える可能性があります。

主な原因は以下です。

  • 避難所での感染症
  • 車中泊によるエコノミークラス症候群
  • 持病の悪化
  • 服薬中断
  • 心理的ストレス
  • 低栄養・脱水
  • 介護サービス中断
  • 孤立と自殺リスクの増加

高齢化が進む地域では、建物被害の死者数と同じくらい、復旧期の健康被害対策が重要です。

9. 医療・福祉・避難所の逼迫

9-1. 医療機関

地震後の医療現場では、軽傷者が大量に来院する一方、重症患者の受け入れ先が不足します。

  • 救急外来の混雑
  • 手術室・集中治療室の電源確保
  • 透析の継続困難
  • 医薬品・酸素・輸血用血液の不足
  • 医療従事者自身の被災
  • 救急車の不足
  • ヘリ搬送の制約
  • 周辺自治体の病院も同時被災する可能性

富士宮市内だけで対応しきれない場合、富士市、沼津市、静岡市、山梨県側などへの広域搬送が必要になります。しかし、道路寸断やヘリの運航制約により、搬送時間が延びる可能性があります。

9-2. 避難所

避難所には、自宅倒壊者だけでなく、余震不安、断水、停電、火災不安、家族の安否不明などを理由に多くの人が集まります。

  • 指定避難所の収容力不足
  • 体育館や公民館の設備損傷
  • トイレ不足
  • 水・食料・毛布不足
  • プライバシー不足
  • ペット同行避難への対応不足
  • 女性・子どもへの安全配慮
  • 福祉避難所の不足
  • 感染症対策の困難

避難所に入れない人が自宅前、車内、親族宅、ホテル、キャンプ場などに分散するため、行政は避難者数を把握しにくくなります。

10. 経済被害・経済損失の想定

経済的影響は、「壊れた建物や設備を復旧する費用」である直接被害と、「操業停止・売上減少・観光減少・物流停滞」などの間接損失に分けて考える必要があります。

10-1. 直接経済被害

直接被害には、住宅、店舗、工場、公共施設、道路、橋梁、上下水道、電力・通信設備、農業施設、観光施設などの復旧・再建費用が含まれます。

想定される直接経済被害は、以下の規模です。

  • 住宅・民間建物:3,000億~9,000億円
  • 工場・事業所・設備:2,000億~7,000億円
  • 道路・橋梁・河川・公共施設:1,000億~3,000億円
  • 上下水道・電力・通信等:1,000億~3,000億円
  • 農業・畜産・観光施設等:500億~2,000億円

これらを合計した直接被害は、約8,000億~2兆4,000億円程度に達する可能性があります。

市の人口規模だけを見ると非常に大きく見えますが、製造設備、物流施設、広域交通、観光資産、ライフラインの損傷が重なると、被害額は地域人口に単純比例しません。

10-2. 間接的な経済損失

間接損失は、被害が表面化しにくい一方で、復旧の長期化によって膨らみやすい部分です。

  • 工場の操業停止
  • 部品供給停止による県外企業への波及
  • 観光客減少、宿泊予約キャンセル
  • 飲食店、小売店、サービス業の休業
  • 農畜産物の出荷停止
  • 乳製品・食品加工の停止
  • 物流網の混乱
  • 従業員の避難・転居による人手不足
  • 住宅再建の遅れによる消費低迷
  • 保険金支払いと資金繰り悪化
  • 地価下落や投資延期
  • 「富士山周辺は危険」という風評被害

間接損失は、約1兆~3兆5,000億円程度に広がる可能性があります。

10-3. 総経済損失

直接被害と間接損失を合わせた総経済損失は、次の程度を想定します。

  • 比較的抑えられたケース:約1兆5,000億円
  • 厳しいケース:約3兆~4兆円
  • 最悪級ケース:約5兆~6兆円規模

これは単年度で終わる損失ではありません。住宅再建、企業再建、インフラ復旧、観光回復、人口流出対策まで含めると、地域経済への影響は5~10年以上に及ぶ可能性があります。

11. 産業別の影響

11-1. 製造業

製造業では、建物倒壊よりも設備損傷、電力・水・蒸気供給停止、部品不足、従業員出勤不能が操業停止の原因になります。

  • 精密機械の位置ずれ
  • 生産ラインの停止
  • 在庫品・原材料の破損
  • 冷蔵・冷凍設備停止
  • 危険物・薬品の漏えい
  • 品質保証手続きの長期化
  • 取引先への納期遅延
  • サプライチェーン全体の減産

自動車、医療、食品、紙・パルプ、精密部品などは、供給網の一部が止まるだけで広域的な生産調整につながる可能性があります。

11-2. 農業・酪農

朝霧高原などの畜産・酪農地域では、家畜の命を守るために水、飼料、電力、搾乳設備、道路が不可欠です。

  • 牛舎・畜舎の損壊
  • 搾乳機停止
  • 飼料搬入の遅延
  • 生乳輸送の停止
  • 家畜のストレス・疾病
  • 停電による冷却・保管機能の喪失
  • 農地・農道・用水施設の損傷

生乳は長期保存が難しく、集乳・加工・輸送が止まれば、農家の収入減と食品ロスが同時に発生します。

11-3. 観光業

観光業は建物が直ってもすぐには回復しない可能性があります。

  • 富士山周辺への旅行控え
  • 宿泊施設の長期休業
  • 観光バス・レンタカーの減少
  • イベント中止
  • インバウンド需要の減退
  • 歴史・文化資産の修復費増大
  • 富士山噴火不安を背景とした風評被害

富士山本宮浅間大社、白糸ノ滝、朝霧高原などの観光資源が直接大きく壊れなくても、アクセス障害と心理的不安だけで来訪者が減少する可能性があります。

12. 行政機能・教育・治安への影響

12-1. 行政機能

市役所や消防、警察、上下水道、保健所関連機能が被災すれば、避難所運営、罹災証明、給水、道路啓開、安否確認、物資配分などの行政対応が遅れます。

特に発災初動では、以下の情報が不足します。

  • どの地域で建物倒壊が集中しているか
  • 道路がどこまで通れるか
  • 火災件数と延焼範囲
  • 避難所の収容人数
  • 断水地域
  • 医療機関の稼働状況
  • 孤立集落の有無
  • 観光客・帰宅困難者の人数

行政職員自身も被災者であるため、職員の参集率が低下することを前提に、県・国・他自治体・民間事業者との応援体制が必要になります。

12-2. 学校・子ども

平日日中に発生すれば、児童・生徒は学校にいる可能性があります。学校建物の安全確認、保護者への引き渡し、通学路の危険確認、給食停止、避難所との併用などが課題になります。

夕方以降の発災では、塾、部活動、習い事、駅周辺、商業施設などに子どもが分散している可能性があります。通信障害で家族と連絡が取れず、引き渡しが長期化することも想定されます。

12-3. 治安・地域コミュニティ

大規模災害後には、犯罪の増加だけでなく、避難所内のトラブル、物資配布をめぐる不満、デマ拡散、詐欺、空き巣、無許可の訪問販売などが問題になります。

一方で、自治会、自主防災組織、消防団、地域の事業者、福祉関係者の連携が機能すれば、初動救助と安否確認の力になります。行政だけでは対応しきれないため、地域単位の共助が被害を大きく左右します。

13. 時間経過別の被害推移

発災直後~3時間

  • 建物倒壊、家具転倒、火災、道路閉塞が同時発生
  • 停電、断水、通信混雑
  • 自宅や職場、車内に閉じ込められる人が発生
  • 住民が屋外へ避難し、道路や公園に人が集中
  • 消防・救急への通報が殺到
  • 火災現場への到達遅れ
  • 余震への恐怖から無秩序な避難が起こる

この段階では、近隣住民による救助、火の始末、初期消火、安否確認が極めて重要です。

発災後1日~3日

  • 救助活動が本格化
  • 避難所が急速に混雑
  • 水・食料・毛布・簡易トイレが不足
  • 病院の受け入れ能力が限界に近づく
  • 断水地域で給水車待ちが発生
  • 携帯電話の充電不足が深刻化
  • 道路啓開が進む一方、山間部では孤立が残る
  • 市外からの支援車両が到着し始める

人命救助の「72時間」が最も重要な時期です。倒壊家屋の下敷きとなった人を救出できるかどうかが死者数を左右します。

発災後4日~2週間

  • 応急給水、物資配布、仮設トイレの運用が本格化
  • 電力は一部地域から復旧
  • 水道は復旧地域と断水継続地域の格差が広がる
  • 学校再開や企業操業の可否判断が始まる
  • 住宅被害調査、罹災証明の申請が始まる
  • 車中泊や避難所生活による健康被害が表面化
  • 通電火災、空き巣、詐欺などが問題化する可能性

発災後1か月~半年

  • 仮設住宅・みなし仮設住宅への移行
  • 被災住宅の解体、がれき処理
  • 事業再開と廃業の分岐
  • 観光需要の低迷
  • 被災者の生活再建格差が拡大
  • 心のケア、子どもの学習支援、介護継続が課題化
  • 地盤変状・斜面不安定化に対する対策工事が続く

発災後1年~10年

  • 中心市街地の再建計画
  • 老朽住宅地の集約・移転
  • 道路・上下水道の耐震化
  • 工場の再投資または市外移転
  • 観光ブランドの回復施策
  • 人口流出と地域コミュニティの弱体化
  • 防災まちづくりへの転換

14. 被害を軽減するために重要な対策

14-1. 家庭・個人

  • 住宅の耐震診断・耐震補強
  • 家具固定
  • 感震ブレーカーの設置
  • ガラス飛散防止
  • 最低3日分、できれば1週間分の水・食料・常備薬の備蓄
  • モバイルバッテリー、簡易トイレ、携帯ラジオの準備
  • 家族の安否確認方法と集合場所の確認
  • 避難所だけでなく、在宅避難の準備
  • 車中泊をする場合の血栓症対策の理解
  • 土砂災害警戒区域、避難経路、危険なブロック塀の確認

14-2. 地域・自治会

  • 要配慮者名簿と個別避難計画の整備
  • 消火器、防災倉庫、救助工具の点検
  • 夜間発災を想定した訓練
  • 外国人旅行者向け多言語案内
  • 地域の井戸・給水拠点の確認
  • 避難所運営訓練
  • ペット同行避難ルールの整理
  • 災害時のデマ対策と情報共有手段の確保

14-3. 事業者

  • 事業継続計画の策定・更新
  • 建物・設備・棚・危険物の耐震対策
  • 非常用電源と燃料の確保
  • 従業員の安否確認システム
  • 取引先・物流ルートの複線化
  • データの遠隔バックアップ
  • 復旧優先業務の明確化
  • 工場停止時の安全手順整備
  • 断水時の衛生・食品安全対策
  • 帰宅困難者の一時滞在計画

14-4. 行政・インフラ事業者

  • 住宅耐震化支援の強化
  • 老朽水道管・橋梁・公共施設の耐震化
  • 斜面・盛土・擁壁の点検
  • 緊急輸送道路の耐震化と啓開計画
  • 孤立集落向け通信・備蓄・ヘリポート対策
  • 福祉避難所と医療搬送体制の拡充
  • 観光客・外国人への情報提供体制
  • 罹災証明発行の迅速化
  • 事業者再建支援と雇用維持策
  • 富士山噴火に関する正確な情報発信体制

15. 総括

富士宮市中心地を震源とする震度7級の内陸直下地震では、中心的な脅威は津波ではなく、建物倒壊、地震火災、土砂災害、道路寸断、長期断水、医療逼迫、産業・観光への打撃です。

富士宮市中心地に海からの津波が到達する可能性は基本的に低い一方、県内沿岸部が同時に大きく被災する広域地震であれば、救援能力や物流が沿岸被災地へ集中し、富士宮市の復旧にも影響が出る可能性があります。

本想定における被害規模の目安は、次のとおりです。

  • 死者数:300~2,500人程度、最悪級では3,000~5,000人規模
  • 負傷者数:1万~3万人程度
  • 全壊・焼失建物:3,000~8,000棟程度
  • 避難生活が必要な人:2万~6万人程度
  • 直接経済被害:約8,000億~2兆4,000億円
  • 間接経済損失:約1兆~3兆5,000億円
  • 総経済損失:約1兆5,000億~6兆円規模

これらはあくまで条件を置いたシナリオであり、実際の被害は震源の深さ、断層の向き、地盤、発生時刻、気象、耐震化率、火災件数、初動対応によって大きく変わります。

富士宮市では、住宅耐震化と家具固定、感震ブレーカー、断水への備え、斜面災害への警戒、地域での安否確認体制、工場・観光業の事業継続計画を平時から積み上げることが、被害を現実に減らす最も重要な対策になります。

防災関連情報

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今日にも来るかもしれない津波に備え、自宅に家族分、自家用車に乗車人分、職場にも人数分のライフジャケットを用意しておきましょう!

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※高い標高を基準とした防災移住のご参考に。標高60メートル以上(理想は100メートル以上)を推奨します。候補地は奈良県、京都府、兵庫県、岡山県、群馬県、埼玉県(大宮、所沢)です。地盤の強さも確認し、候補地の周りに豪雨による土砂崩れ、河川の氾濫による浸水の恐れが無いかも確認してください。

極地の氷が解けると日本も水没しちゃうってホント? GX入門/身近な疑問vs東大

標高・地盤認知の推奨

ステップ1

あなたの勤務先やお住まいの住所から標高を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地理院地図 / GSI Maps|国土地理院のサイトの検索窓に住所を入れると標高がサイトの左下に表示されます。

移転予定先の標高も調査しておきましょう!

※標高は100m以上推奨です。(備えあれば憂いなし!)

ステップ2

あなたの勤務先やお住まいの住所から地盤の状態を知りましょう!
↓ ↓ ↓
地盤の状態は地盤サポートマップ【ジャパンホームシールド株式会社】のサイトで知ることができます。

移転予定先の地盤状態も調査しておきましょう!

ステップ3

地震による津波や温暖化による氷河融解による水位上昇をシミュレーションしましょう!

海面上昇シミュレーター | JAXA Earth Appsのサイトで水位が上昇した場合のシミュレーションが可能です。希望の地区へカーソルで移動してください。

縄文時代は今よりも120m水位が高かったようです。縄文海進(Wikipedia) とは?

防災認知ソース

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